ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

高瀬堰

2017-07-26 15:34:03 | 広島県
2017年7月17日 高瀬堰
 
高瀬堰は一級河川太田川の河口から13.6キロ上流の広島市安佐北区高陽と安佐北区八木に跨る多目的可動堰です。
高瀬堰建設以前ここには江戸時代に建設された高瀬井堰という灌漑用固定堰がありましたが、固定堰のため洪水流下能力の阻害となり太田川の治水整備を進めるにあたっては、高瀬井堰の可動堰化が必要不可欠な課題となっていました。
一方で、広島は原爆投下から奇跡的な復興を遂げ自動車、造船など重工業を中心に大きく発展、併せて人口も急増し都市用水の爆発的需要増加に対応するための新たな水源確保が喫緊の課題となっていました。
太田川下流部は既得取水権により新規の水利権設定は不可能なことから、建設省は『江の川総合開発事業』によって江の川上流部で計画されている土師ダムに着目、土師ダムから19キロの導水トンネルを建設し江の川の水を太田川に導水して広島の新たな水源を確保することにしました。
そして太田川には取水口設置のための堰堤が必要となりました。
このような背景のもと5年の歳月をかけて1975年(昭和50年)に竣工したのが高瀬堰です。
高瀬堰は太田川の洪水調節、堰建設の際に太田川から切り離した旧流路である古川の河川流量の保持、広島市・呉市・竹原市・および江田島市などの芸予諸島への上水道用水および工業用水の供給を目的とするほか、土師ダムからの導水トンネル放流口に建設された中国電力可部発電所の逆調整池という機能も担っています。
高瀬堰の堤高は5.5メートルと河川法上のダムの要件である15メートルには及びませんが、特定多目的ダム法に基づいて建設された特定多目的ダムであり、法的にもダムと分類されダム便覧にも正式掲載されています。
 
高瀬堰は堰上を県道271号線を通過しておりアプローチは簡単です。
右岸のダム管理所でカードをもらったのち堰を見学することにします。
右岸にある高瀬堰概要図。
 
右岸上流から
6門の主ゲートと右岸に土砂吐が1門、左右両岸に魚道があります。
 
 
下流から。
 
右岸の魚道。
 
天端は県道271号が通っておりかなりの交通量です。
 
高瀬堰のプレート。
 
右岸の管理事務所。
 
ダム湖
そ右貯水容量は198万立米です。
 
左岸から。
 
なんと肝心要の高陽取水口の写真を撮り忘れるという大チョンボ。
せっかく予習してゆくのだから、もっと予習の成果を生かさないといけませんね?
 
1982 高瀬堰(1079)
左岸 広島県広島市安佐北区高陽町
右岸 広島県広島市安佐南区八木
北緯34度28分42秒,東経132度30分04秒
太田川水系太田川
FW
MB
5.5メートル
286メートル
1980千㎥/1780千㎥
国交省中国地方整備局
1975年

大和池

2017-07-26 13:53:51 | 広島県
2017年7月17日 大和池
 
大和池は広島県安芸高田市八千代町下根にある灌漑用アースダムで、ダム便覧では土地改良区の事業で2004年(平成16年)に竣工となっています。
実際に大和池を見るととても2004年にできた溜池とは思えず、また現地の看板には農業農村整備事業のロゴマークが入っていることから、以前より存在していた大和池が農水省の補助を受けた農業農村整備事業により2004年に改修され、堤高15メートル以上のダムとなったというのが正確なところではないでしょうか?
 
土師ダムから国道54号を南下して八千代町下根地区の集会所前交差点を左折、出口集落を抜けると途中で道路はダートとなりますが路面はさほど悪くないのでそのまま進むとすぐに大和池に到着します。
ダムサイトにある大和池の標識
右下に農業農村整備事業のロゴが入っています。
 
下流面
実は堤体下へ向かう道もあったのですが、草に覆われていたのでパスしました。
 
天端には轍があります。
 
上流面
草に覆われていますがコンクリートで護岸されているようです。
 
さらに上流から
手前に斜樋が、対岸に洪水吐が見えます。
 
貯水池は総貯水容量15万2000立米
池のうしろの山が実は瀬戸内海に注ぐ太田川水系と日本海に注ぐ江の川水系を分ける陰陽分水嶺なんです。
 
右岸の斜樋
斜樋の奥には流入口があります。ただの小河川だと思いますが、まさか遠方の河川から導水されているわけじゃ??
 
左岸の洪水吐。
 
例に洩れずここでも枝葉が覆っており、導流部の写真は撮影不可能。
 
左岸から下流面。
 
1954 大和池(1078)
広島県安芸高田市八千代町下根
北緯34度35分30秒,東経132度35分56秒
江の川水系簸川
15メートル
100メートル
152千㎥/152千㎥
管理者未確認
2004年

香六池

2017-07-26 11:58:21 | 広島県
2017年7月17日 香六池
 
香六池は広島県安芸高田市高宮町にある灌漑用アースダムで、広島県のパイロット事業により1965年(昭和40年)に竣工しました。その後1993年(平成5年)にかけて農水省の補助を受けた県の水環境整備事業によって環境整備が行われました。
現在は安芸高田市が管理を行っています。
香六池は『フィッシングレイクたかみや』として西日本最大規模のルアー・フライフィッシングの管理釣り場が設置され季節に拘わらず多くの釣り愛好家が訪れています。
 
ダム便覧では香六池は経緯度の位置情報が掲載されていませんが、広島県の溜池防災ハザードマップに香六池が記載されているほか、国土地理院地形図にも『香六ダム』としてその名が記載されており池の特定は簡単です。
また便覧では河川について江の川水系清水川となっていますが、実際には江の川水系若幡川が正しいと思われます。
 
中国道高田インターから高北広域農道を北上し、国道433号線を交差すると『フィッシングレイクたかみや』の標識が現れます。
これに従って左折すると香六池に到着します。
 
左岸から洪水吐越しに
堤体に管理釣り場の管理事務所があります。
 
アングルを変えて洪水吐を撮影。
 
下流面
夏場にもかかわらずきれいに刈り払われています。
 
管理釣り場の事務所。
 
右岸の斜樋。
 
天端
左岸の高台は公園として整備されキャンプもできるようです。
ダム湖を周回する遊歩道が整備され天端もその一部となっています。
 
上流面
コンクリートで護岸されています。
 
貯水池は総貯水容量28万6000立米。
 
右岸堤体下に底樋枡があります。
 
堤体下から下流面。
 
追記
ダム協会に位置情報を提供した結果、8月24日にダム便覧の経緯度が確定しました。
 
3547 香六池(1077)
広島県安芸高田市高宮町羽佐竹
北緯34度47分04秒,東経132度40分47秒
江の川水系若幡川
22.5メートル
178.5メートル
286千㎥/274千㎥
安芸高田市
1965年

土師ダム

2017-07-25 19:27:45 | 広島県
2017年7月16日 土師ダム 
 
古来より『中国太郎』と呼ばれ中国地方最大の河川である江の川は流域に大きな水の恵みをもたらす一方で、豪雨の度に洪水被害を引き起こしとりわけ主要支流が合流する三次盆地ではその被害が顕著になっていました。
戦後、江の川水系の治水はまず河川改修による堤防築造などを中心として行われましたが、1965年(昭和40年)6月と7月に連続して大きな洪水被害に見舞われ抜本的な洪水対策を求める声が一気に高まりました。
他方、広島は原爆投下から奇跡的な復興を遂げ自動車、造船など重工業を中心に大きく発展、併せて人口も急増し都市用水の新たな水源確保が喫緊の課題となってきました。
治水・利水両面の課題を解決すべく、建設省(現国交省)は『江の川水系工事実施基本計画』を改定して江の川上流部下土師地点に多目的ダムの建設を決定、ダム建設反対派との交渉を4年でまとめ、1970年(昭和45年)に着工し1974年(昭和49年)に竣工したのが土師ダムです。
 
治水面では2006年(平成18年)に竣工した灰塚ダムと連携して江の川洪水調節を行うほか、既得取水権としての灌漑用水への補給と河川流量の保持を目的としています。
特筆すべきは利水で、約19キロの分水トンネルで1日約30万立米の水を流域変更して太田川に送り、広島市・呉市・東広島市・竹原市さらには瀬戸内海島嶼部に上水道用水及び工業用水を供給しています。また分水トンネル出口の中国電力可部発電所で最大出力3万8000キロワットの発電も行っています。
 
分水トンネルによる流域変更概要図(国交省土師ダム管理ホームページより)
 
今回は中国道千代田インターから県道5号を南下して土師ダムを目指しました。
ダム直下の久保橋からダムと正対できるほか、天端も車道となっており車で通行することができます。
 
クレストにラジアルゲートが3門 オリフィスのラジアルゲートが2門
そのほか利水放流バルブと低位放流設備を備えています。
ダムでは珍しく黄色く塗装されたゲート操作室がとにかくよく目立ちます。
 
左岸のケーブルカー
堤体直下にあった運動施設と連動して使用されていたのでしょうか?
 
右岸から
堤体右岸側が湾曲しており、ミニ弥栄ダムといったところです。
左岸に管理事務所があります。
 
右岸展望台から俯瞰
堤高は50メートルと低めですが、湾曲した右岸がダムを精悍に見せています。
 
左岸から。
 
左岸のインクライン。
 
左は低位放流設備
右手手前は利水放流バルブ 右手奥は増設された管理用小水力発電所。
 
ダム湖(八千代湖)総貯水容量は4730万立米
ダム湖上流にはダム記念公園があり、サイクリングターミナルやスポーツセンターなどが設置されています。
 
天端から
町に隣接したダムです。
 
天端も湾曲しています。
 
上流から
左から低位放流設備の予備ゲート、取水設備(利水放流設備)、ラジアルゲート、オリフィスの予備ゲート、量水塔。
 
日本海に注ぐ江の川の水を流域変更で広島に送る重要な役割を持つ土師ダムです。
 
 
追記
土師ダムには3150万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに738万9000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1980 土師ダム(1076)
広島県安芸高田市八千代町土師
北緯34度38分37秒,東経132度37分16秒
江の川水系江の川
FNAWIP
50メートル
300メートル
47300千㎥/41100千㎥
国交省中国地方整備局
1973年
◎治水協定が締結されたダム

国兼池

2017-07-25 16:39:35 | 広島県
2017年7月16日 国兼池
 
国兼池は広島県庄原市上原町にある灌漑用アースダムです。
説明板によれば池の起源は江戸初期の1646年(正保3年)とされ、その後の堤の決壊の際に人柱となった『お国』と『お兼』という二人の娘の名前が『国兼池』の由来になったそうです。
江戸末期および明治期に2度の嵩上げ工事を行ったのち、1953年(昭和33年)に農水省の改修事業により総貯水容量106万立米と西日本有数の規模を誇る灌漑用溜池となりました。
さらに1995年(平成7年)には国兼池を含む周辺一帯が『国営備北丘陵公園』として整備され、各種レクリエーション施設や自然学習公園、オートキャンプ場などを備えた、総面積340ヘクタールの巨大な総合公園となっています。
 
国兼池を見学するには備北丘陵公園に入園する必要があり、入園料や駐車料金が必要となります。
池の堤体に一番近いのは第2駐車場でそこから徒歩5分ほどで天端に到着します。
天端脇に並ぶ各種記念碑。
奥の祠は『お国』『お兼』の二人を祀っています。
 
説明板。
 
堤体左岸に洪水吐があります。
上は斜樋の機械室。
 
洪水吐導流部。
 
天端上は遊歩道とサイクリングロードが通っています。
ちょうど園内を巡るSL型のロードトレインがやってきました。
 
上流面
奥に斜樋が見えその向こうに上の写真の記念碑などが立っています。
 
斜樋をズームアップ。
 
右岸高台から天端を俯瞰
右手が遊歩道、左手がサイクリングロードです。
 
総貯水容量106万立米は広島県最大、西日本でも有数の規模の灌漑用貯水池です
貯水池奥を中国道が跨いでいます。
 
下流面
ここから見ると初めて国兼池がアースダムだと実感できます。
 
ダム愛好家としてみれば駐車料金はいるわ、入園料はいるわ、どこが堤体やらわかりにくいわと、正直『うーん』となる国兼池ですが、家族で1日楽しく過ごすなら非常に健康的だし経済的な公園だと思います。
 
1953 国兼池(1075)
広島県庄原市上原町
北緯34度50分41秒,東経133度00分06秒
江の川水系国兼川
16.4メートル
100メートル
1060千㎥/1060千㎥
管理者未確認
1953年

灰塚ダム

2017-07-25 14:10:31 | 広島県
2017年7月16日 灰塚ダム 
 
古来より『中国太郎』と呼ばれ中国地方最大の河川である江の川は流域に大きな水の恵みをもたらす一方で、豪雨の度に洪水被害を引き起こしとりわけ主要支流が合流する三次盆地ではその被害が顕著になっていました。
戦後建設省は江の川水系の治水を図るべく、江の川最上流部と主要支流の馬洗川右支流上下川に2基の多目的ダムの建設を企図します。ところが後者については激しい反対運動のため交渉は難航、その間も1972年(昭和47年)の『昭和47年7月豪雨』で三次市一帯が未曽有の洪水被害を受けるなど交渉の早期の解決が求められました。
膠着していた交渉は1980年代になりよう動き出し、事業開始から30年以上の年月をかけ2001年(平成13年)にようやく本体工事が着工され、灰塚ダムは2006年(平成18年)に竣工しました。
 
灰塚ダムは上下川および馬洗川の洪水調節のほか、『江の川上流ダム群』として土師ダムと連携して江の川の洪水調節を行います。また既得取水権として灌漑用水への補給と河川流量の保持、三次市への上水道用水の供給を目的としています。
1997年(平成9年)の河川法改正により『河川環境の維持』が義務付けられましたが、灰塚ダムはこれに対応するためにダムの主要ゲートとしては珍しい環境用水放流ゲートを装備しています。
またダム湖上流2か所に常時満水位とサーチャージ水位間の土地の荒廃防止と洪水時の貯砂を目的とした堰堤が建設されており、そのうちの川井堰堤は全国的に見ても珍しい台形CSGダムとなっています。
 
県道61号線仁賀小学校入口交差点の南側分岐に灰塚ダムへの標識があり、これに従って東進すると灰塚ダムに到着します。
まずはダム下の駐車場に車を止めて見学をします。
堤高50メートル、堤頂長196.6メートルと国交省直轄ダムとしては小さいダムです。
クレストには自由越流式洪水吐が並び、訪問時はオリフィスゲートから放流中でした。
さらにオリフィスの間に全国でも珍しい環境用水放流ゲートとして引張りラジアルゲート2門が装備されています。
 
環境用水放流ゲートの引張りラジアルゲート。
 
自由越流式洪水吐は中央の1門だけ越流面が低くなっており、導流部はわずかに角度を変えジャンプ台式のようになっています。
 
ダム下から監査廊に入りエレベーターで天端に上がることができます。
 
右岸から自由越流式ゲートをズームアップ
越流部は刃先のような形状で天端通路は下流側にずれて作られています。
 
天端は2車線の車道で車両通行可能
右手が取水設備操作室、左手がエレベーター棟です。
 
天端から減勢工。
 
ダム湖(ハイヅカ湖)
写真では小さく見えますが、蛇行しながら奥へと続き総貯水容量5210万立米の規模を誇ります。
ダムの堤体積16万4000立米から比較すると非常に効率よく水を貯めることができるダムとなっています。
 
上流面を遠望
中央に環境用水ゲートの予備ゲートが見えます。
 
ダム湖上流にある小堰堤
こちらは川井堰堤で珍しい台形CSGダムとなっています。
 
越流部から減勢工がスタイリッシュで、越流した水が美しい3重の円を描いています。
 
こちらは和知堰堤
堤高は低いものの鋭角的な堤趾導流壁が堰堤を精悍に見せています。
 
灰塚ダムの完成により長きにわたりたびたび洪水被害に悩まされてきた三次の治水は万全のものとなりました。
今灰塚ダムは開かれたダムとして地域住民の憩いの場となっています。
 
 
追記
灰塚ダムには3800万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに1189万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1998 灰塚ダム(1074
広島県三次市三良坂町仁賀
北緯34度46分51秒,東経132度59分16秒
江の川水系上下川
FNW
50メートル
196.6メートル
52100千㎥/47700千㎥
国交省中国地方整備局
2006年
◎治水協定が締結されたダム

大亀池

2017-07-25 13:16:19 | 広島県
2017年7月16日 大亀池
 
大亀池は広島県三次市東酒屋町にある灌漑用アースダムで、ダム便覧では1987年(昭和62年)の竣工となっています。
事業者等については記載がなく現地にも竣工記念碑等がないため詳細は不明です。
現在は三次市土地改良区が管理を行っています。
 
三次インター南側の東酒屋町交差点から市道をまっすぐ南下すると右手に大きくカーブする手前に大亀池へ通じる道が分岐しています。
入口には車両進入禁止の看板とともにチェーンが掛けられているので、ここからは徒歩です。
といってもたかだか200メートルほど、ほんの5分ほどで大亀池左岸に到着します。
 
上流面はコンクリートで護岸されています。
 
さらに上流から
写真では見えませんが、屈折した手前に池栓があります。
 
池栓。
 
総貯水容量4万1000立米の小さな溜池です。
池の形はカメには見えないので、大亀池の名前の由来は大きなカメが住んでいたと言ったところでしょうか?
 
天端。
 
右岸から下流面
写真左端に池栓が見えます。
 
下流面
春先に刈り払いされたのか?さほど草は伸びていません。
 
右岸の洪水吐。
 
アングルを変えて洪水吐
導流部は枝葉が覆い写真を撮ることができません。
 
3552 大亀池(1073)
広島県三次市東酒屋町
北緯34度46分09秒,東経132度51分46秒
江の川水系戸張川
15メートル
47メートル
41千㎥/41千㎥
三次市土地改良区
1987年

廻神溜池

2017-07-24 19:25:07 | 広島県
2017年7月16日 廻神溜池
 
廻神溜池は広島県三次市廻神町にある灌漑用アースダムで、ダム便覧によれば1959年(昭和34年)に農林省(現農水省)の事業によって建設されました。
廻神池周辺は現在富士三次カントリークラブのゴルフコースとなっており、池を見学するにはゴルフ場内に立ち入る必要があります。
訪問当日は連休の中日ということでプレイヤーが多く立ち入ることはできませんでした。
ゴルフ場西側の林道を進むと樹間から辛うじて溜池の写真を撮ることができます。
 
 
機会があれば平日にでもゴルフ場を訪問して、池を見せてもらえるか交渉してみたいと思います。
 
追記
廻神溜池は洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに4万4000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1962 廻神溜池
広島県三次市廻神町
北緯34度44分46秒,東経132度52分49秒
江の川水系芋面川
18.6メートル
75メートル
144千㎥/144千㎥
二本松水利組合
1959年
◎治水協定が締結されたダム

長田大池

2017-07-24 16:31:04 | 広島県
2017年7月16日 長田大池
 
長田大池は広島県三次市三良坂町長田にある灌漑用アースダムで、ダム便覧では1949年(昭和24年)に広島県の事業で竣工と記載されています。
ところが現地の改修工事碑では1943年(昭和18年)に堤高40尺(約12メートル)で貯水開始、1977年(昭和52年)から3年の歳月をかけて改修工事を行い1980年(昭和55年)に竣工と記されています。
またダムの堤高および堤頂長についてもダム便覧では20メートル・70メートルとなっているのに対して、現地の記念碑ではそれぞれ16.2メートル・76メートルとなっています。
このブログでは一応ダム便覧に従っておくことにします。
現在池は受益者で構成される長田大溜池利用組合によって管理されています。
 
三次市三良坂から県道61号を南下し寄国で左折します。そのまま集落を抜け川沿いの道を進むとダートになるので念のためここに車を置いて数百メートル歩くと長田大池に到着します。
下流面
冬前に刈り払いしたんでしょうが、だいぶ草が伸びています。
 
右岸に建つ改修工事碑。
 
裏面には池の歴史が書かれています。
 
上流面
コンクリートで護岸されています。
 
天端も草が伸びてます。
 
右岸上流側にある取水設備?
他にそれらしきものがなかったのでたぶんこれがそうでしょう。
 
総貯水容量4万1000立米
大池という名前の割に小さな溜池です。
 
左岸から上流面。
 
左岸洪水吐
どこの溜池でもそうですが、この時期は枝葉が茂ってよく見えません。
 
3550 長田大池(1072)
広島県三次市三良坂町長田
北緯34度43分20秒,東経132度55分48秒
江の川水系仮屋谷川
20メートル
70メートル
41千㎥/40千㎥
長田大溜池利用組合
1949年

芝山池

2017-07-24 14:56:10 | 広島県
2017年7月16日 芝山池
 
芝山池は広島県庄原市東城町森にある灌漑用アースダムで、ダム便覧によれば1919年(大正8年)に広島県の事業で建設されました。ダム便覧には左岸所在地と高梁川水系とのみ記載され、具体的な緯度経度の記載はありません。
しかし東城町森地区にはダム便覧に記載された規模に相当する溜池は田殿集落の北西、飯山南山麓にある溜池1基しかありません。そして広島県の溜池防災ハザードマップにはこの池について『芝山池』と記載されていることから、この溜池を芝山池と断定しました。
実は今年5月の中国地方遠征で一度芝山池にはアタックしましたが、この時は詳細地図を持参せず池への到達を断念しました。
今回は国土地理院地形図のほか、グーグルマップ、グーグルの空撮写真を持参し万全の態勢での再チャレンジとなりました。
 
県道53号から田殿集落を抜け地図の緑の直線で示した林道を進んで池へ向かいましたが、この林道は池の左岸のはるか上を通り池へと降りることはできません。
改めて池の下流部分を探すと、池の下流から水路沿いに堤体直下に向かう小径があり(地図の赤の矢印方向)ようやく芝山池に到達することができました。
 
上記地図の赤い矢印方向に小径を進むと減勢工手前で分水工が現れます。
向かって右手が河川、手前方向に灌漑用水路が流れています。
 
奥に堤体が見え手前が減勢工となります。
一寸見づらいですが減勢工の右側に取水設備からの水が吐き出されています。
 
洪水吐導流部と堤体。
 
導流部をズームアップ。
 
下流面
天端へはこの斜面を登ります。
 
洪水吐。
 
天端から
池の受益地となる水田ははるか下流です。
 
総貯水容量6万9000立米の小さな溜池です。
 
草が覆って分かりづらいですがこの下に池栓があります。
 
天端と下流面はきれいに刈り払われています。
 
ダム便覧に経度緯度の記載はありませんでしたが比較的簡単に池の特定はできました。
ただ、池へのアプローチにかなり手間取り、この池だけで1時間半近く時間を食ってしまいました。
詳しい池の位置情報や写真はのちほどダム協会へと報告しようと思います。
 
追記
芝山池の位置情報をダム協会に提供した結果8月24日にダム便覧の位置情報が特定されました。
 
3694 芝山池(1071)
広島県庄原市東城町森
北緯34度57分18秒,東経133度11分01秒
高梁川水系田黒川
15.5メートル
50メートル
69千㎥/69千㎥
1919年

日古木大池

2017-07-24 02:26:03 | 岡山県
2017年7月15日 日古木大池
 
日古木大池は岡山県赤磐市日古木にある灌漑用アースダムで、ダム便覧によれば1974年(昭和49年)に岡山県の事業で建設されました。
ただ実際の起源は17世紀までさかのぼる歴史のある溜池で、従来あったため池が1974年の事業で改修されダム化となったというのが正しい表現かと思われます。
農水省の資料では池は土地改良区が管理を行っています。
 
山陽インターから県道37号を北上し新下市交差点を右折して県道253号を東進、中島交差点の分岐を左に取れば日古木大池に到着します。
まずは下流から
堤高は15.8メートルと高くはありませんが堤頂長は280メートルありかなり横長の溜池です。
 
堤体を車道が斜行しています。
 
日古木大池は左右両岸に洪水吐があります
こちらは右岸の洪水吐。
 
そのまま車道の下を潜り導流部を流下します。
 
天端はかなり草ぼうぼう
釣り師の車が何台か止まっていましたが写らないように撮影しました。
 
階段式斜樋。
 
総貯水容量42万9000立米と溜池としては比較的大きなサイズです
溜池上流は『岡山ネオポリス』として宅地開発されています。
 
上流面はコンクリートで護岸されていますが草が深くて・・・。
 
こちらは左岸の洪水吐。
 
同じ洪水吐を下流側から撮影。
 
右岸に竣工記念碑があったのですが、なんと撮影を失念するという大失態・・・
 
3493 日古木大池(1070)
ため池コード
岡山県赤磐市日古木
北緯34度46分09秒,東経134度02分04秒
旭川水系官ヶ谷川
15.6メートル
280メートル
429千㎥/421千㎥
管理者未確認
1974年

坂根堰

2017-07-23 23:52:24 | 岡山県
2017年7月15日 坂根堰
 
坂根堰は岡山三大河川のひとつで一級河川である吉井川の河口から上流に17.36キロ地点の岡山県備前市坂根(左岸)、岡山市東区瀬戸町(右岸)にある多目的可動堰です。
吉井川は古来より流域の貴重な水資源となってきた一方でたびたび洪水被害をもたらし、その治水・利水は為政者の至上命題となっていました。
戦後、1960年代後半から建設省は治水面から、農林省は利水面から吉井川下流域での可動堰の事業化を模索、両社の事業を統合して1973年(昭和48年)に着工され、1980年(昭和55年)に竣工したのが坂根堰です。
建設に当たっては堰本堤は農林省が、管理設備工事は建設省が担当しました。
完成後は建設省が直轄管理を行い、現在は国交省中国地方整備局岡山河川事務所が管理操作を行っています。
坂根堰は吉井川の洪水調節、既得取水権への補給及び適正な河川流量の保持、旧坂根堰および吉井堰を統合した6つの農業用水路への灌漑用水の供給、岡山市および周辺市町への上水道用水及び工業用水の供給を目的としています
 
国道2号線備前大橋から吉井川左岸沿いの県道79号線を北上すると坂根堰が見えてきます。
主ゲートは6門のローラーゲートで左右両岸に土砂吐としてフラップゲートがあります。
 
左岸のフラップゲート。
 
左岸の大用水(灌漑用水路の一つ)取水ゲート。
 
左右両岸に魚道があります。
こちらは左岸の魚道。
 
坂根合同堰の銘板
坂根堰は農林省・建設省・岡山県の共同事業で、堰本体は農林省の事業として建設されました。
 
右岸の倉安川用水の取水ゲート。
 
天端は歩行者および自転車のみ通行可能
右手奥は国交省の管理事務所。
 
右岸上流から。
 
ズームアップ。
 
左岸大用水取水ゲートわきには農水事務所があり農林省の竣工記念碑が立っています。
 
1891 坂根堰(1069)
岡山県備前市坂根
北緯34度44分07秒,東経134度06分18秒
吉井川水系吉井川
FNAWI
MB
4.9メートル
279.2メートル
2200千㎥/1600千㎥
国交省中国地方整備局
1980年

同道大池

2017-07-21 15:19:33 | 岡山県
2017年7月15日 同道大池
 
同道大池は岡山県備前市鶴海にある灌漑用アースダムで、1924年(大正13年)に当時の備前町の事業により建設されました。
その後1994年(平成6年)に岡山県の溜池等整備事業で改修され現在に至っています。
池の管理は受益者など関係者で構成される鶴海水利委員会が行っています。
 
岡山ブルーラインの片上大橋を渡り鶴海インターから県道を西進、鶴海交差点を右折して北上すると同道大池に到着します。
同道大池直下にも小さな溜池がありその天端から撮影
堤体中央を車道が横断しています。
 
 
右岸堤体直下の洪水吐減勢工
秋冬ならもっとよく見えるんでしょうけど・・・。
 
左岸から
堤体は緩やかに湾曲、上流面はコンクリートで護岸されています。
 
天端
轍がありますが対岸で行きどまり。
 
 
下流の眺め
すぐ下にも溜池があります。
 
総貯水容量16万5000立米の貯水池。
 
堤体上流面2か所に階段式斜樋があります。
 
右岸の洪水吐。
 
洪水吐そばにある2基の記念碑
左手が大正13年の竣工記念碑、右手の小さいのが平成6年の改修工事記念碑。
 
1845 同道大池(1068)
岡山県備前市鶴海
北緯34度42分35秒,東経134度11分01秒
堂々川水系堂々川
23.3メートル
171メートル
165千㎥/165千㎥
鶴海水利委員会 
1924年

安室ダム

2017-07-21 14:07:45 | 兵庫県
2017年7月15日 安室ダム
 
安室ダムは兵庫県赤穂郡上郡町の千種川水系安室川にある兵庫県営の多目的重力式コンクリートダムです。
岡山県境近くに源を発し上郡町を横断して千種川に注ぐ安室川流域では1974年(昭和49年)、1976年(昭和51年)と立て続けに洪水被害が発生し、抜本的な洪水対策を求める声が高まりました。
また生活様式の西洋化に伴い水需要が増加し安定した上水道水源の確保も課題となっていました。
そこで兵庫県は治水・利水を目的とした多目的ダムの建設を進め、1991年(平成3年)に安室川源流部に建設されたのが安室ダムです。
安室ダムは安室川の洪水調節、既得取水権としての灌漑用水の供給・安定した河川流量の保持、上水道用水の供給を目的としています。
 
上郡中心部から県道90号を岡山方面に西進、安室ダムの標識に従って左折するとダム湖(本宮湖)越しにダムの上流面が見えてきます。
クレストには非常用洪水吐として6門の自由越流型ゲートがあります。
 
左岸に置かれたの竣工記念碑
天端左岸側には小さな駐車スペースやベンチがあり小公園となっています。
 
兵庫県営ダムではおなじみのタイムカプセル。
 
ダム湖(本宮湖)は総貯水容量430万立米。
 
副ダムと利水放流設備
左手の利水放流設備は初めて見る形状です。
 
天端は車両通行可能、右手が管理事務所です。
 
上流面
中央に取水設備、左手にオリフィスゲートが見えます。
 
下流面。
 
堤体直下にも行くことができます。
 
減勢工の下流にある小さな堰
ここから河川維持放流を利用して既得取水権としての灌漑用水が取水されています。
 
1520 安室ダム(1067)
兵庫県赤穂郡上郡町行頭
北緯34度52分29秒,東経134度16分53秒
DamMaps
千種川水系安室川
FNW
50メートル
172メートル
4300千㎥/4100千㎥
兵庫県土木部
1991年

金出地ダム

2017-07-21 12:39:29 | 兵庫県
2017年7月15日 金出地ダム
 
金出地で『かなじ』と読みます。
金出地ダムは兵庫県赤穂郡上郡町の千種川水系鞍居川にある兵庫県営の治水目的の重力式コンクリートダムです。
1980年代から兵庫県たつの市、上郡町、作用町にまたがる吉備高原東端部分を切り開く播磨科学公園都市開発事業が進められ、開発に伴う流出量増加や上水道用水の需要増加に対処するため金出地ダム建設が計画されました。
1990年(平成2年)から建設に着手されるも、バブル崩壊やその後の不況により播磨科学公園都市開発事業は大幅に縮小され、ダム建設についても再検討され上水道用水の供給は削除され治水目的のダムとして2015年(平成27年)に竣工、現在は試験湛水が行われています。
運用開始の暁には鞍居川流域の洪水調節と、既得取水権として流域への灌漑用水の供給および安定した河川流量の保持を目的とする予定です。
 
播磨科学公園都市のテクノ中央交差点から県道28号を西進すると県道がヘアピンを描く箇所からダムを俯瞰することができます。
すでにダムは竣工していますが、取り付け道路の工事が行われ堤体に行くことはできません。
 
金出地地区から鞍居川を遡上するとダムの下流に向かうことができます。
途中から車両通行止めとなるため、ここからは徒歩で。
 
ダムの掲示板。
 
下流から金出地ダムと正対できます
非常用洪水吐としてクレストに自由越流洪水吐が4門、常用洪水吐としてオリフィスゲートがあります
洪水期に入ったため試験湛水は一時中断、オリフィスから放流されています。
 
 
ちょっとアングルを変えて
右岸(向かって左側)に利水放流設備が見えます。
 
減勢工の下流は親水公園になっていますが、試験湛水が終わるまでは利用できないようです。
 
ダムの直下には昔ながらの水車が展示されています。
 
本来なら既に試験湛水が終わっている予定ですが、少雨のため計画が遅れているようです。
本格的な運用は来年以降になりました。
 
2954 金出地ダム(1066)
兵庫県赤穂郡上郡町金出地
北緯34度55分40秒,東経134度25分25秒
DamMaps
千種川水系鞍居川
FN
62.3メートル
184メートル
4700千㎥/4400千㎥
兵庫県土木部
2015年