ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

長谷ダム

2017-07-21 11:28:40 | 兵庫県
2017年7月15日 長谷ダム
 
兵庫県には『長谷ダム』が2基ありますが、神河町の長谷ダムが『はせ』と読むのに対して、こちらの長谷ダムは『ながたに』と読みます。
長谷ダムは兵庫県たつの市新宮町光都の千種川水系長谷川にある兵庫県営の治水目的の重力式コンクリートダムです。
1980年代から兵庫県たつの市、上郡町、作用町にまたがる吉備高原東端部分を切り開く播磨科学公園都市開発事業が進められ、開発に伴う流出量増加に対処するために1991年(平成3年)に竣工したのが長谷ダムです。
長谷ダムは長谷川の洪水調節に加えて既得取水権としての灌漑用水の補給、安定した河川流量の保持を目的としています。
 
県道44号線通称播磨テクノラインを北上し、西播磨総合庁舎入口をやり過ごすと長谷ダムへの標識が現れます。これに従って右折するとダムに到着します。
まずは下流から
クレストに自由越流式洪水吐が2門、オリフィスゲートが1門のよくあるゲートレスダムです。
この日はオリフィスから放流していました。
 
ダム直下まで接近できます。
 
左岸天端わきの竣工記念碑。
 
ダムの説明板。
 
下流面。
 
車止めがあり天端は歩行者のみ通行可
ダム湖を周回できるようです。
 
天端から減勢工
右手は利水放流設備です。
 
ダム湖(深山湖)は総貯水容量24万立米と溜池サイズ。
 
左岸の管理事務所。
 
右岸上流から。
 
長谷ダムのほか、播磨科学公園都市周辺には4基の防災調整池がありますが、今回はその存在を知らずスルーしてしまいました。
 
3015 長谷ダム(1065)
兵庫県たつの市新宮町光都
北緯34度56分34秒,東経134度26分30秒
DamMaps
千種川水系長谷川
FN
30.3メートル
125メートル
240千㎥/215千㎥
兵庫県土木部
1991年


栗栖池

2017-07-21 10:18:02 | 兵庫県
2017年7月15日 栗栖池
 
栗栖池は兵庫県たつの市新宮町牧の揖保川支流栗栖川源流部にある灌漑用アースダムです。池に設置されている説明板によれば1941年(昭和16年)に受益者で組織された水利組合によって着工されますが戦争により事業は中断、戦後1952年(昭和27年)になってようやく完成しました。現在はたつの市栗栖土地改良区が管理を行っています。
 
播磨自動車道播磨新宮インターから県道と国道でたつの市新宮町牧まで北上し、牧大荒田橋バス停で左に分岐し麦子口集落を抜けると栗栖池に到着します。
池まで車で行けないことはありませんが、途中から落石が多くなったので我が家は車をデポして最後の500メートルは徒歩で池へと向かいました。
 
下流面
犬走りを挟んで2段で構成されており、堤体表面には石が葺かれています。
 

天端。
 
上流面はきれいに石が積まれています
湖畔にはモミジがあり紅葉の頃は美しい景色が広がると思われます。
 
右岸を少し上流に向かうと斜樋の機械室があります。
 
総貯水容量53万立米と溜池としてはやや大きめのサイズです。
 
左岸の洪水吐
今の時節は葉が茂り全容を撮影できません。
 
堤体左岸を導流部が下ります。
 
上流面の石積み。
 
湖畔に設置された栗栖池の説明板。
 
1478 栗栖池(1064)
ため池コード 282292142
兵庫県たつの市新宮町牧
揖保川水系栗栖川
26.7メートル(ため池データベース 25.7メートル)
90メートル
530千㎥/476千㎥
たつの市栗栖土地改良区
1952年


桜山ダム

2017-07-20 15:53:18 | 兵庫県
2017年7月15日 桜山ダム
 
桜山ダムは兵庫県姫路市太市中にある日本製鉄(株)が管理する工業用水目的の重力式コンクリートダムです。
1939年(昭和14年)に当時の日本製鉄が銑鋼一貫製鉄所として広畑製鉄所を開業、翌年同製鉄所の保安用水貯水池として桜山ダムが着工されました。
しかし1945年(昭和20年)に戦況悪化と資材不足により工事は中断、戦後広畑製鉄所を継承した富士製鉄により1960年(昭和35年)に工事が再開され、1962年(昭和37年)に現在の姿で完成しました。
桜山ダムの水はすべて揖保川から揚水して貯留しており、いわゆる河道外貯留となっています。
堤高39メートルの正真正銘のダムなんですが、なぜかダム便覧には掲載されていません。
 
ダム本体は立ち入り禁止ですが、ダム周辺は桜山公園として整備され、堤体下流には芝生の公園やウォーキングコース、貯水池北岸に自然観察の森、ダム東には県立こどもの館や姫路科学館などがあり市民の憩いの場となっています。
 
今回は国道29号線姫路西バイパスから太市ランプから市道を東に向かい桜山ダムに至りました。
駐車場が桜山公園に設置されています。
まずは天端から
右岸に天端入口がありますが、当然立ち入りはできません。
 
桜山ダムの銘板。
 
天端。
 
上流面
堤体中央にあるのが取水設備でしょうか?
 
ズームアップ。
 
下流は桜山公園になっています。
 
 
 
 
貯水池の水はすべて揖保川からポンプアップされるということで洪水吐も存在しないようです。

桜山ダム
兵庫県姫路市太市中
揖保川水系揖保川
39メートル
350メートル
日本製鉄(株)
1962年

神谷ダム

2017-07-20 13:18:14 | 兵庫県
2017年7月15日 神谷ダム
 
神谷で『こたに』と読みます。
神谷ダムは兵庫県姫路市にある上水道用水目的のロックフィルダムで、兵庫県企業庁により2000年(平成12年)に建設されました。
市川の水量が豊富な時期に神谷ダムに揚水して貯留し、需要期に備えるという役割を持っており、ここで貯留された水は船津浄水場を経て姫路市・太子町・福崎町・加古川市・高砂市に供給されています。
 
実は神谷ダムには3月に一度訪問したのですが、ダムに通じる道路が法面工事のため通行止めで見学を断念した経緯がありました。
ところが帰宅後調べてみると、堤体直下へ向かう道路がありここらからダムの下流面を見ることができるということがわかり今回改めて再訪した次第です。
 
ダム天端へと通じる道路は工事のため来年まで通行禁止。
 
県道373号から岩屋集落を抜け北に進むとどん詰まりに養鶏場があり、その奥に神谷ダムの堤体が見えます。
 
堤体直下には桜が植えられ小さな公園になっています。
春はきれいなんでしょうが養鶏場の臭いが・・・。
 
右岸から洪水吐導流部と下流面
堤体に太陽光パネルが並ぶのは兵庫県企業庁のダムではおなじみ。
 
洪水吐導流部。
 
減勢工。
 
左岸から。
 
市川の水を揚水して貯留という珍しい上水道ダムですが、なにぶん天端に上がることができないので詳細は分かりません。
天端への道路工事は来年まで続く予定なので、工事が終了したら再訪してみたいと思います。
 
1509 神谷ダム(1063)
兵庫県姫路市豊富町神谷
市川水系神谷川
79メートル
303.4メートル
16600千㎥/16100千㎥
兵庫県企業庁
2000年

新郷ダム

2017-07-06 18:03:01 | 福島県
2016年6月19日 新郷ダム
2017年6月24日
 
新郷ダムは福島県喜多方市高郷町塩坪の阿賀野川(福島県内では阿賀川)本流にある東北電力の発電用重力式コンクリートダムです。
阿賀野川の電源開発を行っていた東信電気が、阿賀野川での同社3基目のダムとして1939年(昭和14年)に完成しましたが、直後に日本発送電が誕生し接収、戦後の電力分割民営化で東北電力が事業継承しました。
運用開始当初は新郷発電所で最大出力5万1600キロワットの発電を行っていましたが、1984年(昭和59年)に最大出力3万8800キロワットの第二新郷発電所が増設され、現在は併せて9万400キロワットの認可出力となっています。
新郷ダムはコンクリート製のゲートピアに被膜された管理橋、扶壁前面の歩廊と鹿瀬ダム以来の東信電気のスタイルを継承しているほか、ダム右岸に筏を通す閘門の遺構が残っています。
これらの戦前の貴重な土木建築を評価され近代土木遺産に選定されています。
 
山郷ダムから県道16号を東に走り、県道340号を右折すると阿賀川にかかる塩坪橋からダムを正面に見ることができます。
16門のラジアルゲートが並び左岸に新郷発電所、右岸に第二新郷発電所があります。(2017年6月24日)
 
発電所に向かう側道脇から。
 
コンクリート製のゲートビアに被覆された管理橋が架かるのは鹿瀬ダムや山郷ダムと同じスタイル。
 
右岸側に山郷ダムでも見た構造物があります。
筏を流すための閘門です。
 
右岸を上流に向かいますがフェンスに阻まれなかなかすっきりと見える場所はありません。
沈砂池。
 
発電所の取水ゲート。
 
このアングルで見るとコンクリート製のピア、被覆された管理橋、扶壁前面の歩廊と鹿瀬ダム以来の東信電気のスタイルが継承されていると分かります。
 
右岸に回り込みます。
左岸とダム中央に水叩きが広がります。
 
階段状の水叩きが目を引きます。
新郷発電所もダムと同じ昭和14年竣工です。
 
右岸上流側から。
 
0475 新郷ダム(0472)
近代土木遺産
福島県喜多方市高郷町大字塩坪
北緯37度36分41秒,東経139度44分11秒
阿賀野川水系阿賀野川
27.5メートル
219メートル
22720千㎥/6352千㎥
東北電力(株)
1939年
◎治水協定が締結されたダム

山郷ダム

2017-07-06 12:03:03 | 福島県
2016年6月19日 山郷ダム
2017年6月24日
 
山郷ダムは福島県喜多方市高郷町揚津の阿賀野川(福島県内では阿賀川)本流にある東北電力の発電用重力式コンクリートダムです。
日本発送電時代の1939年(昭和14年)に着工、1943年(昭和18年)に竣工、戦後の電力分割民営化で東北電力が事業継承しました。
運用開始当初より山郷発電所で最大4万5900キロワットの発電を行っていますが、1992年(平成4年)に最大出力2万2900キロワットの山郷第二発電所が増設され、現在の認可出力は併せて6万8800キロワットとなっています。
コンクリート製のゲートピアに被覆された管理橋、扶壁前面の歩廊と東信電気の鹿瀬以ダム以来のスタイルを継承しており、戦前戦時中の貴重な土木建築物として近代土木遺産に選定されています。
ダムと発電所は2011年(平成23年)の新潟・福島豪雨で大きな損害を受けましたが現在は本来の姿に戻っています。
 
西会津から阿賀川沿いに県道16号を東進すると前方に山郷ダムが見えてきます。
左手は第二山郷発電所です。(2017年6月24日)
 
発電所からの放流口
左が第二発電所、右が山郷発電所。(2017年6月24日)
 
左岸下流側から
17門のラジアルゲートが並びます。
 
前面に出っ張ったコンクリート構造物は木材運搬のための閘門の遺構だそうです。
減勢工の造りも特徴的。
 
山郷発電所と放流口
魚道があるので放流口の上がスロープになっています。
 
左岸から
手前には大きな水叩き、被覆された管理橋とゲートビア前面に歩廊があります。
 
上流側から
赤茶色のゲートとクリーム色の管理橋は鹿瀬ダムと同じ組み合わせ。
 
右から4門目の構造物は上流側にも出っ張っています。
 
ダム構内は立ち入り禁止となっています。
が、職員さんによれば地元住民のために職員駐在中に限り生活通路として管理橋を開放しているそうです。
と、いうことで人生初めて被覆された管理橋を歩きます。
 
階段を上り・・・・
 
200メートル強の管理橋です。
空気がよどみ、埃っぽいというのが偽らざる心境。
 
ゲート巻き上げ機が並びます。
 
管理橋の窓を開けると
眼下に水叩きが広がります。
 
右手が山郷発電所、左手が第二山郷発電所です。
手前に例の構造物が近づきます。
 
ダムが建設された昭和10年代後半には木材の運搬にまだ筏が使われていたんでしょうね?
 
 
ダム対岸から。
職員の皆さんはこの歩廊を使って移動されています。
 
山郷発電所の取水ゲート。
 
取水ゲート上流側の沈砂池。
 
右岸側の玄関。
警告板がずらりと貼られ、ぱっと見立ち入り禁止の様相ですがゲートが半開きになっているのには理由があったのです。
 
右岸上流側から
二つの発電所の取水口と沈砂池、取水ゲート、それに本堤が一望できます。
これぞ発電ダムの真髄。(2017年6月24日)
 
ダム巡りを始めて9カ月、人生で初めて被覆された管理橋を歩くことができました。
普通なら車で対岸へ移動するところですが、たまたま職員の方とお話しできたことからこの管理橋が開放されていることを知りました。
発電ダムの連続でちょっと食傷気味でしたが、管理橋の窓から見た下流の眺めは新鮮そのものです。 
 
0478 山郷ダム(0471)
近代土木遺産
福島県喜多方市高郷町揚津
北緯37度36分22秒,東経139度41分15秒
DamMaps
阿賀野川水系阿賀野川
22.5メートル
206.9メートル
7591千㎥/2193千㎥
東北電力(株)
1943年
◎治水協定が締結されたダム

上野尻ダム

2017-07-05 22:13:29 | 福島県
2016年6月19日 上野尻ダム
2017年6月24日
 
上野尻ダムは福島県耶麻郡西会津町上野尻の阿賀野川(福島県内では阿賀川)本流にある東北電力の発電用重力式コンクリートダムで、1958年(昭和33年)に東北電力によって建設されました。
運用当初は上野尻発電所で最大5万2000キロワットの発電を行っていましたが、2002年(平成14年)には最大出力1万3500キロワットの第二上野尻発電所が増設され、併せて6万5500キロワットの発電を行っています。
増設された第二発電所では水力発電としては世界で初めて立軸バブル水車が採用されています。
 
ダムの天端が県道338号線の柴崎橋となっているので、県道338号線を辿れば黙っていてもダムに到着します。
ダムの下流から
実はダムの下流側の撮影ポイントは限られています。この写真を撮った場所も関係者以外立ち入り禁止エリアでしたが、たまたま草刈りをされていた職員の方の許可を得て撮影しました。
 
右岸上流側から
こちらは公園になっていて春には桜が咲き誇るそうです。
左岸側2門だけが自由越流式でゲートがありません。
 
発電所の上のガントリークレーン。
 
取水口の手前に網場を兼ねた桟橋があります。
インクラインの代わりに桟橋を使うのは阿賀野川流域の東北電力のダムではよくみられる光景です。
 
天端は県道338号線の柴崎橋となっており、そこそこ交通量があります。
ゲート部分は歩車分離になっています。
鉄骨トラスのゲートピアに被覆された管理橋が設置されるのは東北電力はおなじみのスタイル。
 
減勢工と発電所。
減勢工のコンクリートが下流側に押し流されていますが、2011年(平成23年)7月豪雨の傷跡です。
発電所の壁面の汚れでわかるように下側の窓直下まで水が上がったそうで、あわや発電所水没の一歩手前だったそうです。
 
左岸下流側から
手前2門だけ自由越流頂になっていますが、たぶん左岸側の護岸目的でしょう。
 
よく見ると天端の下にも鉄骨トラスが見えます。
 
対岸には二つの発電所の取水口が見えます。
左は上野尻発電所、正面が第二上野尻発電所です。
 
左岸に蔦が絡まったプラント跡が残っています。
中にはベンチが置かれ良い日除けとなっていました。
 
ダムの上流には半分落橋した、旧柴崎橋の遺構が残っています。
橋への入り口は草に覆われていたので立ち寄りませんでしたが、廃墟マニアの間では有名な橋だそうです。
 
0495 上野尻ダム(0470)
福島県耶麻郡西会津町大字上野尻
北緯37度37分55秒,東経139度37分53秒
阿賀野川水系阿賀野川
30メートル
190メートル
12370千㎥/2802千㎥
東北電力(株)
1958年
◎治水協定が締結されたダム

鹿瀬ダム

2017-07-05 12:26:00 | 新潟県
2016年6月11日 鹿瀬ダム
2017年6月24日
 
鹿瀬ダムは新潟県東蒲原郡阿賀町鹿瀬の阿賀野川本流にある東北電力の発電用重力式コンクリートダムです。
長野県の千曲川や高瀬川で水力発電を行い、化学工業にも参入していた東信電気は豊富な水量と急流が続く阿賀野川に着目、専務の森矗昶の指揮の下、1928年(昭和3年)に竣工したのが鹿瀬ダムです。
鹿瀬ダムは阿賀野川本流に最初に建設されたコンクリートダムで、1924年(大正13年)に大同電力が木曾川に建設した大井ダムを参考に半川締切工法を採用、着工からわずか1年余りで竣工しました。
運用開始当初は鹿瀬発電所で最大4万8000キロワットの発電を行っていました。
その後日本発送電により接収され戦後の電力分割民営化で東北電力が事業継承しました。
鹿瀬発電所は最大出力4万9500キロワットに増強される一方、1973年(昭和48年)にダム左岸に最大出力5万5000キロワットの鹿瀬第二発電所が新設され、併せて10万4500キロワットの発電を行っています。
鹿瀬ダムの堤高は大井ダムに及ばないものの、20門のラジアルゲートを要する堤頂長304.2メートルは大井ダムを凌駕し、大井ダムとともに日本のダム式水力発電のパイオニア的存在となっており、その歴史的・技術的価値から近代土木遺産に選定されています。
 
津川で国道49号から離れ、阿賀野川沿いの国道459号を進むと、角神温泉の手前の高台で右手眼下にダムが見えてきます。
堤高こそ50メートルの大井ダムには及びませんが、川幅300メートルの阿賀野川を締め切る20門のラジアルゲートはまさに壮観の一言です。
コンクリート製のゲートピアと被覆された管理橋、扶壁前面に架けられた歩廊というスタイルが、こののち阿賀野川・只見川に建設される発電用ダムの標準的スタイルとなります。(2017年6月24日)
 
ズームアップ。(2017年6月24日)
 
旧道に下りると水面レベルからダムを見ることができます。
左手は第二鹿瀬発電所。

堤体をズームアップ
一門だけの放流は河川維持放流でしょうか?

下流に移動してみます。
右岸4門の下に水叩きがあります。

右端は鹿瀬発電所の余水吐のようです。
左岸の水叩きもずいぶん段差がついています。

左岸上流のダムサイトには小さな公園があり、ダム湖に沿って遊歩道が伸びています。
このカスケードはイベントの際にはライトアップされるそうです。

上流から
目の錯覚で三角の支柱が点で支えているように見えます。
 
赤崎荘から。(2017年6月24日)

実は鹿瀬ダムには知る人ぞ知る素晴らしい展望スポットがあります。
ダムの南側に赤崎山という山があり自然公園として整備されています。そしてちょうどダムを俯瞰できるポイントに東屋が作られており、『天女の川筏』と呼ばれる展望台となっています。
東屋から下を見下ろすと!!まるでジオラマのような景色が広がります。
大きく蛇行する阿賀野川とダム、そして発電所・・・
まるで空撮のようなアングルでダムを見ることができます。
 
1年後に同じ場所から
昨年は改修中だった発電所建屋が真っ白に新調されています。(2017年6月24日)

ダムと発電所をズームアップ
発電所は改修中です。
 
こちらも1年後。(2017年6月24日)
 
今や阿賀野川および支流の只見川は木曽川や大井川と並ぶ日本有数の水力発電所集積地となっていますが、その走りとなったのが鹿瀬ダムです。その威容は阿賀野川の王者といっても過言ではないでしょう。

(追記)
鹿瀬ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0724 鹿瀬ダム(0453)
新潟県東蒲原郡阿賀町鹿瀬
阿賀野川水系阿賀野川
32.6メートル
304.2メートル
16525千㎥/2270千㎥
東北電力(株)
1928年
◎治水協定が締結されたダム

豊実ダム

2017-07-05 06:00:00 | 新潟県
2016年6月11日 豊実ダム
2017年6月24日
 
豊実ダムは新潟県東蒲原郡阿賀町豊美の阿賀野川本流にある東北電力の発電用重力式コンクリートダムです。
阿賀野川の水利権を獲得した東信電気が鹿瀬ダムの竣工翌年、1929年(昭和4年)に建設し、運用当初は最大出力4万4800キロワットの発電を行っていました。
その後日本発送電に接収されたののち、戦後の電力分割民営化により東北電力が事業継承しました。
1975年(昭和50年)に最大出力5万7100キロワットの豊美第二発電所が増設、さらに2013年(平成25年)には豊美発電所の最大出力を6万1800キロワットに増強、併せて11万8900キロワットの最大出力を誇っています。
ダムは堤体を中心に竣工当時の姿をとどめその歴史的・技術的価値から近代土木遺産に選定されています。
 
鹿瀬ダムから国道459号線を上流に10キロ弱進むと、右手に豊実ダムが見えてきます。
ダム敷地への道は関係者以外通行止めのため、国道から見学するのみです。
手前の取水ゲートは豊実第二発電所のものです。
 
取水ゲートをズームアップ。
 
奥は豊実発電所
手前は第二発電所の導水路。
ゆるやかに湾曲した導水路ですが、草が邪魔で全景を撮影できません。(2017年6月24日)
 
豊実発電所をズームアップ、2013年(平成25年)に増強された建屋は真っ白に新調されています。
発電所の左側は余水吐でしょうか?
発電所を回り込むように魚道がつくられています。


下流にある変電所脇から
左岸の水叩きはずいぶん高い段差がついています。
 
 
 
九十九折れになった魚道。
ここから発電所の脇を回り込んでダム湖へと続いています。

近代土木遺産に選定された歴史のあるダムですが、国道から見学するのみでやや消化不良。
2017年4月からダムカードの配布もスタートしたので、できれば見学会などの開催があればと思うのですが・・・。

(追記)
豊実ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0725 豊実ダム(0454)
新潟県東蒲原郡阿賀町大字豊実
阿賀野川水系阿賀野川
34.2メートル
223.2メートル
18667千㎥/3100千㎥
東北電力(株)
1929年
◎治水協定が締結されたダム

揚川ダム

2017-07-04 11:08:00 | 新潟県
2016年6月11日 揚川ダム
2017年6月24日
 
揚川ダムは左岸が新潟県東蒲原郡阿賀町谷沢、右岸が同町黒岩の一級河川阿賀野川本流にある東北電力(株)が管理する発電目的の重力式コンクリートダムで、東北電力により1963年(昭和38年)に建設されました。
福島から新潟へと豪雪地帯を貫通する阿賀野川は、支流の只見川ともどもその豊富な水量を背景に日本有数の水力発電所密集エリアとなっています。そんな阿賀野川の発電ダム群の中で最下流に位置するのが揚川ダムです。
揚川ダムで取水された水は蛇行した阿賀野川の山向こうにある揚川発電所に送られ最大出力5万3600キロワットの発電を行っています。
揚川発電所は最大使用水量460㎥/秒と一般水力発電では最大使用水量日本一の発電所となっています。
 
三川から国道49号を福島方面に走り黒岩トンネルの手前で旧道に入ると揚川発電所に出ます。さらに蛇行する阿賀野川に沿って進むと揚川ダムに唐突に飛び出します。
ずらっと並ぶスライドゲートと巨大な足のような導流壁、独特の減勢工が対岸まで続く姿は圧巻です。
 
減勢工をズームアップ。

鉄骨トラスのゲートピアに被覆された管理橋が乗るスタイルは東北電力のダムではおなじみ。

導流壁にスポットを当てて撮ってみます。
巨人の足ですね。

右岸の取水口。
 
天端は車道で、時折車が通り抜けてゆきます。

右岸高台から俯瞰。

左岸下流から
ようやくダムの全景がファインダーに収まりますが、横幅が広すぎるので実際の姿よりも小さくまとまった感じになります。

切り取ったほうが迫力があります。
 
左岸上流側から
対岸にバッチャープラントが残りその上に管理事務所があります。

揚川ダムの一番の展望スポットは下流を走る磐越道ですが、さすがにそれは・・・・

(追記)
揚川ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
0751 揚川ダム(0452)
左岸 新潟県東蒲原郡阿賀町谷沢
右岸         同町黒岩
阿賀野川水系阿賀野川
19メートル
316.2メートル
13748千㎥/5039千㎥
東北電力(株)
1963年
◎治水協定が締結されたダム

床木ダム

2017-07-02 14:23:03 | 大分県
2017年6月18日 床木ダム
 
床木ダムは大分県佐伯市弥生の一級河川番匠川水系床木川にある大分県営の治水目的の重力式コンクリートダムです。
急峻な山間部から谷あいの平野を流下して井崎川に注ぐ床木川流域では梅雨や台風による豪雨のたびに洪水被害をもたらしてきました。とりわけ1966年(昭和41年)8月の19号台風では壊滅的な被害が発生、抜本的な洪水対策を求める声が高まりました。
一方で、佐伯市一帯は瀬戸内海式気候の影響で年間降水量が2000ミリ程度と少なく、渇水による用水不足も頻発していました。
そこで大分県は治水・利水を目的とした多目的ダムの建設を進め、1985年(昭和60年)に床木川上流部に建設されたのが床木ダムです。
床木ダムは青江川の洪水調節と既得取水権への補給・安定した河川流量の保持を目的としています。
 
床木ダムは県道36号線沿いにありアプローチは簡単です。
今回は津久見から県道36号を南下、彦岳トンネルを抜けて床木ダムに至りました。
 
まずは下流から
クレストにずらっと並ぶ10門の自由越流式洪水吐が特徴で、堤体中央にはオリフィスゲートがあります。
 
下流面。
 
竣工記念碑。
 
ダムの説明板。
 
総貯水容量352万立米
右手に見える橋脚は東九州自動車です。
 
減勢工
利水放流設備から河川維持放流が行われています
ダム下右岸は公園になっており立ち入り可能です。
 
天端は車両通行可能
対岸に管理事務所があります。
 
上流面。
 
管理事務所に艇庫が併設されており、そこからインクラインが伸びています。
 
上流から。
 
大分の県ダムはどこも開放的かつ管理人さんの人柄が素晴らしいのですが、特に床木ダムの管理人さんは非常に素晴らしい方でした。
わざわざ東京から訪問したと話すと、周辺のお薦めの食事処や、日帰り入浴施設などダムに関係のないことまで親切に教えていただけました。
 
追記
床木ダムには263万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに3万1000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2784 床木ダム(1060)
大分県佐伯市弥生床木
番匠川水系床木川
FN
 
58.5メートル
249メートル
大分県
1985年
◎治水協定が締結されたダム

青江ダム

2017-07-02 13:04:46 | 大分県
2017年6月18日 青江ダム
 
青江ダムは大分県津久見市の青江川にある大分県営の治水目的の重力式コンクリートダムです。
津久見市・臼杵市境界にある標高619.9メートルの姫岳付近に源を発し津久見市を横断して津久見湾に注ぐ青江川は、急流河川のため豪雨や台風のたびに洪水被害を繰り返し抜本的な洪水対策が求められていました。
一方で、津久見市周辺は瀬戸内海式気候の影響で年間降水量が少なく、渇水による用水不足も頻発していました。
そこで大分県は治水・利水を目的とした多目的ダムの建設を進め、1977年(昭和52年)に青江川上流部に建設されたのが青江ダムです。
青江ダムは青江川の洪水調節と既得取水権への補給・安定した河川流量の保持を目的としています。
 
津久見市街から県道204号を西進すると青江ダムが見えてきます。
非常用洪水吐としてクレストに自由越流式ゲートが2門、常用洪水吐としてオリフィスゲートがあります。
43メートルと堤高はさほどありませんがV字の導流壁がダムに精悍さを与えています。
 
左岸にあるプラント跡
ダム下は公園になっていますが、時節柄草が伸びています
ダム直下にも行けますが、減勢工が屈曲しているためダムを真下から撮るポイントはありません。
 
左岸の竣工記念碑。
 
下流面。
 
天端は車両通行可能ゲート。
左手の階段も開放されダム下に歩いて降りることもできます。
 
逆方向から
手前は取水設備操作室。
 
ダム湖は総貯水量150万立米と多目的ダムとしては小規模です。
 
減勢工は左手に緩やかに湾曲しています
減勢工左手は利水放流設備。
 
上流面
オリフィスゲートのコースターゲートが見えます
対岸は管理事務所。
 
上流から
取水設備やゲートの並びがよくわかります。
 
セメントの町津久見の守り神青江ダムです。
 
2794 青江ダム(1059)
大分県津久見市上青江
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
青江川水系青江川
FN
 
43メートル
160メートル
 
大分県土木建築部
1977年

佐賀関ダム

2017-07-02 02:53:16 | 大分県
2017年6月18日 佐賀関ダム 
 
佐賀関ダムは大分市志生木の小志生木川にある灌漑用のアースダムで、1996年(平成8年)に農水省の補助を受けた大分県の灌漑排水事業によって建設されました。現在は佐賀関土地改良区が管理を行っています。
 
国道197号線の小志生木バス停から小志生木川に沿って市道を南下すると佐賀関ダムに到着します。
右岸に事業概要碑と竣工記念碑が設置されています。
 
 
天端は車両通行可能
上下流面ともに草が伸び放題。  
 
右岸の洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
総貯水容量75万6000立米と灌漑用アースダムとしてはそこそこのサイズ
折から周辺地域は田植えシーズン、さらに空梅雨で水位はずいぶん下がっています。
 
水位低下で顔を出したダム湖右岸の砂防ダム
普段は水没して見えないそうです。
 
天端からは別府湾が見えますが、あいにく霞みがひどく・・・。
 
ダム下流へ向かう道もありましたが、とにかく上下流面ともに草の繁茂がひどく撮影スポットはあまりありませんでした。
やはりアースダムは刈り払いが終わった後じゃないとだめですね。
 
2759 佐賀関ダム(1057)
大分県大分市志生木
小志生木川水系小志生木川
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
42メートル
170メートル
 
佐賀関土地改良区 
1996年

阿曽田ダム

2017-07-02 02:12:07 | 大分県
2017年6月18日 阿曽田ダム
 
阿曽田ダムは大分市志生木にある防災・灌漑目的のアースダムで、竣工記念碑によれば1910年(明治43年)に阿曽多溜池として竣工、1999年(平成11年)に小規模防災溜池事業により防災機能を付加して改修され、阿曽田ダムとなりました。
現在は阿曽田溜池水利組合が管理を行っています。
ダム便覧には阿曽田ダムの正確な位置情報は記載されていません。所在地の大分市志生木と河川の志生木川から推察して、志生木ダム直上の溜池もしくは志生木ダムの東約750メートルにある溜池のいずれかと目星を付けました。
国土地理院地形図とグーグルの写真地図から後者の公算が強いと判断、現地を訪れたところ『阿曽多溜池』の記念碑があり阿曽田ダムと判別しました。
地図の赤マルが阿曽田ダム。
 
国道197号線の大志生木交差点を南に折れ志生木川沿いの市道を南に進みます。十谷集落を過ぎてすぐに『蓮勝寺』の標識に従って左に折れると阿曽田ダムが見えてきます。
下流面
左岸に洪水吐があります。
 
左岸の改修記念碑
『阿曽多溜池』の名があります。  
 
左岸の洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
上流面。
 
天端には轍があります。
 
総貯水容量3万4000立米の小さな溜池。
 
右岸の斜樋。
 
右岸から上流面。
 
斜樋。
 
2717 阿曽田ダム(1056)
大分県大分市志生木
志生木川水系志生木川
FA
19.3メートル
114メートル
阿曽田溜池水利組合 
1910年