ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

横谷溜池

2018-10-23 01:21:13 | 鳥取県
2018年10月12日 横谷溜池
 
横谷溜池は鳥取県倉吉市志津の天神川水系北谷川右支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
倉吉市街南部から旧関金町にかけての小鴨川沿いには古くからの溜池が点在していますが横谷溜池もそのうちの一つで、ダム便覧には天神野土地改良区の事業で1952年(昭和27年)にと記されています。
たぶん県や農水省の補助を受けた団体営事業で整備されたものと思われ、現在も管理は天神野土地改良区が行っています。
 
横谷溜池周辺には3基の溜池が寄り添うように並んでいますが、真ん中にある横谷溜池のみ堤高15メートル以上のダムとしてダム便覧に掲載されています。
下流面は草ぼうぼう
この辺りはまだ稲刈りが終わっていないので仕方ないですね。
 
貯水池左岸に沿って水路がありますが、池周辺の志津地区の農地を潤す用水路で池とは関係ありません。
 
貯水池は総貯水容量18万2000立米
かんがい期が終わり水が抜かれています。
 
右岸の斜樋。
 
上流面
特にコンクリートなどで護岸されている様子はありません。
 
斜樋。
 
7つ並ぶ斜樋のハンドル
ダム便覧にあるこのショットを撮りたかったのです。
 
天端も草ボウボウ
手前は洪水吐に架かる橋、この橋もかなり年季が入っています。
 
右岸の横越流式洪水吐
草が伸びて越流部の高さが田んぼの畔と変わらなくなってる・・・。
 
これが洪水吐導流部ということになります。
 
溜池は草刈りされているか否かで見た目の印象が全く変わりますが、西日本は稲刈りが遅く10月でもまだ草ぼうぼう。
まあこの時期に来た私が悪いんですけど。

1677 横谷溜池(1409)
ため池コード
鳥取県倉吉市志津
天神川水系北谷川右支流
16.7メートル(ため池データベース19.3メートル)
118.6メートル(ため池データベース119メートル)
182千㎥(ため池データベース146.6メートル)/150千㎥
天神野土地改良区
1952年


中尾尻溜池

2018-10-22 16:00:35 | 鳥取県
2018年10月12日 中尾尻溜池
 
中尾尻溜池は鳥取県倉吉市鴨河内の天神川水系小鴨川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
倉吉市街南部から旧関金町にかけての小鴨川沿いには古くからの溜池が点在していますが中尾尻溜池もそのうちの一つで、ダム便覧には天神野土地改良区の事業により1923年(大正12年)に竣工と記されています。
大正期には土地改良区はありませんので、前身となる耕地整理組合によって建設されたものと推察されます。
竣工年度と事業者はすぐ下流にある池ノ谷溜池と同じですので、同時に建設されたんでしょう。
ただ地図で確認すると中尾尻溜池と池ノ谷溜池それぞれの池からの灌漑水路は別ルートになっていますので、いわゆる上池、下池の関係ではないようです。
中尾尻溜池の管理は周辺の溜池ともども天神野土地改良区が行っています。
 
県道237号線に中尾尻溜池への入口が分岐します。
訪問時は改修工事中。
 
この道路が池の天端へと続いていますが関係者以外立ち禁。
 
今度は右岸に回り込みますが、こちらもこの先通行禁止。
 
立ち入り禁止のゲートから写真を撮ります。
 
遮水壁を造り直し上流面を盛り立て直すとともに、洪水吐を一新するようです。
 
下流側の工事。
 
改修工事終了後に再訪できればいいのですが。
 


1670 中尾尻溜池(1408)
ため池コード
鳥取県倉吉市鴨河内
天神川水系小鴨川左支流
15.2メートル(ため池データベース19.1メートル)
115メートル(ため池データベース111.8メートル)
153千㎥(ため池データベース148.8千㎥)/153千㎥
天神野土地改良区
1923年

池ノ谷溜池

2018-10-22 14:54:45 | 鳥取県
2018年10月12日 池ノ谷溜池
 
池ノ谷溜池は鳥取県倉吉市鴨河内の天神川水系小鴨川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
倉吉市街南部から旧関金町にかけての小鴨川沿いには古くからの溜池が点在していますが池ノ谷溜池もそのうちのひとつで、ダム便覧には天神野土地改良区の事業で1923年(大正12年)に竣工と記されています。
大正期には土地改良区はありませんので、前身となる耕地整理組合によって建設されたものと推察されます。
現在は周辺の溜池ともども天神野土地改良区が管理を行っています。
 
まず池の下流に向かいますが、荒神社が祀られており下流面は垣間見るのみ。。
この社の向こうに底樋があるようで、放流の音が響きますが姿は見えません。
 
下流面は草ぼうぼう。
周辺の田んぼではまだ稲刈りが済んでいないので仕方ないですね。
 
天端上流側を用水路が通っています。
地図で確認すると小鴨川からの水路で池ノ谷池とは立体交差になっています。
川の取水堰や溜池ごとに用水を補給する水田や農地は厳格に決められていることが分かります。
 
上流面は繊維状の遮水材で護岸されています。
 
左岸の斜樋。
 
天端からの眺め
真下に荒神社があり、左下に底樋ゲートが見えます。
 
総貯水容量61万6000立米とこのあたりの溜池としては比較的大規模です。
晴れていれば正面に大山が見えるのですが、残念ながら雲が掛かっています。
左手の山は蒜山三座。
 
天端は車道。
 
右岸の横越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部
草が伸び放題でなんの写真かよくわかりません。
 
堤体上流側に別系統の水路が流れるという珍しい構造になっています。

1669 池ノ谷溜池(1407)
ため池コード
鳥取県倉吉市鴨河内
天神川水系小鴨川
16メートル(ため池データベース16.3メートル)
78メートル(ため池データベース79メートル)
616千㎥(ため池データベース659千㎥)/399千㎥
天神野土地改良区
1923年

坂根ダム

2018-10-22 14:02:17 | 島根県
2018年10月11日 坂根ダム
 
坂根ダムは島根県仁多郡奥出雲町八川の斐伊川水系室原川源流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
1974年(昭和49年)より国営の横田地区農地開発事業が着手され、その中核施設として1992年(平成4年)に竣工しました。
運用開始後は奥出雲町土地改良区が管理を行っており、管内370.8ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
おろちループ北側の国道314号線に坂根ダムを示す標識があります。これに従って分岐を南に向かうと1キロほどで坂根ダムが見えてきます。
ダム下は立ち入り禁止ですが、左岸の道路から堤体が見えます。
農水省のダムらしく洪水吐は自由越流式のクレストゲートだけ、それ以外に利水および河川維持放流施設があります。
導流壁は緩やかにカーブした漸縮型で同時期の農業用ダムでよく見られる特徴。
 
左岸から。
 
坂根ダムの概要碑。
 
竣工記念碑
しかし農水省のダムの竣工記念碑って竣工当時の農政局長が必ず名前を残すね。
政治家と言い役人と言い…。
 
天端。
 
上流面
台風の影響かこの季節にしては水位がずいぶん高くなっています。
 
取水設備は多孔式。
 
天端から。
 
貯水池は総貯水容量79万立米。
 
右岸から。
 
(追記)
坂根ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
 
1758 坂根ダム(1406)
島根県仁多郡奥出雲町八川
斐伊川水系室原川
50.6メートル
157メートル
790千㎥/670千㎥
奥出雲町土地改良区
1992年
◎治水協定が締結されたダム


賀祥ダム

2018-10-19 14:38:41 | 鳥取県
2018年10月10日 賀祥ダム
 
賀祥ダムは鳥取県西伯郡南部町下中谷の日野川水系法勝寺上流部にある鳥取県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、法勝寺川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、米子市への上水道用水の供給を目的として1988年(平成元年)に竣工しました。
また2013年(平成25年)には河川維持放流を利用した鳥取県企業局賀祥発電所が増設され、最大出力260キロワットの小水力発電が開始されています。
 
ダム下から。
非常用洪水吐として自由越流式クレストゲートが9門、常用洪水吐としてコンジットに高圧ラジアルゲートが1門、さらにしてジェットフロートゲート1門を装備しています。
時期的に中規模ダムにおける完全ゲートレス化への過渡期のダムと言えます。
ダム下右手の建屋は2013年(平成25年)に増設された鳥取県企業局賀祥発電所。
 
コンジットゲートゲートハウス
点検のため操作室に人がいます。
 
クレストゲートには切欠が2箇所入っています。
 
ダムサイトに上がります。
がっちりした堤趾導流壁。
 
天端は車両通行可能、ただしダム周回道路は反時計回りの一方通行です。
 
コンジットの予備ゲート施設。
本来ここには予備ゲートが装備されていますが、訪問時は点検のため予備ゲートが稼働しており姿が見えませんでした。
 
天端から
 
ダム湖は総貯水容量745万立米
緑水湖という名前とは裏腹に、台風の影響で水は濁りまくっています。
 
右岸にある制限水位調整ゲート
洪水期に制限水位を低下させるためにコースターゲートの開閉によって制限水位の調整を行います。
 
左岸の艇庫とインクライン。
 
クレストは自由越流頂、コンジットは高圧ラジアルゲートとゲートレスダムへの移行期形態。
さらに、クレストゲートの切欠や制限水位調整ゲートなど細かい部分に見所の多いダムとなっています。
 
(追記)
賀祥ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
1685 賀祥ダム(1405) 
鳥取県西伯郡南部町下中谷
日野川水系法勝寺川
FNW
46.4メートル
174メートル
鳥取県県土整備部
1988年
◎治水協定が締結されたダム

椿谷溜池

2018-10-19 14:06:28 | 鳥取県
2018年10月10日 椿谷溜池
 
椿谷溜池は鳥取県西伯郡南部町絹屋の日野川水系絹屋川右支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1890年(明治23年)に大黒第1土地改良区の事業により竣工と記されています。明治時代には土地改良区はありませんので、前身となる水利組合等によって築造されたものと推察されます。
記念碑や由来碑等がないためその後の経緯なども不明です。
現在は土地改良区の統合に伴い南部町土地改良区が管理を行っています。
 
絹屋川沿いの町道を西に向い奥絹屋集落に入ると左手に椿谷池の堤体が現れます。
 
池への道はダートのため町道の路肩に車を置いて歩きます。
と言っても距離にしてたかだか150メートルほど。
 
下流面は夏に草刈りされたようです。
堤高は16.3メートル。
 
堤体下の底樋枡
非灌漑期にもかかわらず結構な勢いで水が出ています。
 
天端。
 
左岸の洪水吐
切れ込みにコンクリートの越流堤が作られています。
 
天端からの眺め
奥絹屋の集落です。
名前から推察してかつては養蚕業が盛んだったのでしょう。赤い雲州瓦の立派な家が並んでいます。
 
総貯水容量は8万9000立米
水が抜かれ、流入水はそのまま放流しています。
底樋枡から水がジャバジャバ出ていた理由も納得。
ダム便覧フォトアーカイブスの写真でも池が空っぽの写真が多いので、灌漑期が終わると水を抜くようです。
 
上流面中央の斜樋。
一番下のバルブが開かれ、土砂吐も姿を現しています。
 
上流面は中段から下がコンクリートで護岸。
 
1663 椿谷溜池(1404)
ため池コード
鳥取県西伯郡南部町絹屋
日野川水系絹屋川
15メートル(ため池データベース16.3メートル)
90メートル
89千㎥(ため池データベース81千㎥)/81千㎥
南部町土地改良区
1890年


赤田新溜池

2018-10-19 13:24:49 | 島根県
2018年10月10日 赤田新溜池
 
赤田新溜池は島根県松江市鹿島町上講武の斐伊川水系佐陀川左支流講武川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では1987年(昭和62年)に講武村の事業で竣工となっていますが、講武村は1956年(昭和31年)に合併により消滅しています。
もともと講武村が存在した時代に村の事業として赤田新溜池が作られ、1987年は大規模な改修等が竣工した年次ではないかと思われます。
池自体は鹿島町上講武にありますが、池の管理は受益者である下流の北講武および南講武地区が行っています。
 
佐陀川から県道264号線を東進し、鹿島多久の湯をやり過ごし多久神社バス停前に北に折れる枝道があります。
これをまっすぐ登ってゆき、鉄工所を過ぎると赤田新溜池への入口となります。
が!残念ながら立ち禁。
 
池への入口から貯水池は見えますが堤体等は・・・
深山池では関係者が現れますが、そういう奇跡は何度も続きません。
ここは潔く撤退。
 
ちなみにダム便覧の赤田新溜池の写真は別の池の写真が載っています。
投稿者の名誉のためにも早く削除した方がいいと思うのですが。
 
1711 赤田新溜池
ため池コード 323010010
島根県松江市鹿島町上講武
斐伊川水系講武川
25.2メートル
70メートル
138千㎥/100千㎥
北講武地区・南講武地区
1987年


柿原溜池

2018-10-19 03:04:57 | 島根県
2018年10月10日 柿原溜池
 
柿原溜池は島根県松江市西谷町の斐伊川水系西谷川にある灌漑及び上水道用水目的のアースフィルダムです。
現地案内板によれば1939年(昭和14年)の大干ばつを契機に県営事業として着工されるも戦況悪化で中断、戦後改めて再開され1952年(昭和27年)に柿原溜池が竣工、佐陀川沿土地改良区への用水補給が始まりました。
竣工当時は溜池としては中国地方屈指の規模で、現在も貯水容量では島根県最大の溜池となっています。
その後1964年(昭和39年)より松江鹿島水道企業団の水源としても活用されることになり、給水人口1万6000人への上水道用水の供給が始まりました。
しかし2004年(平成16年)に老朽化による漏水事故が発生、これをきっかけに県の事業で大規模な改修工事が行われ2009年(平成21年)に竣工しました。
改修工事の際嵩上げが行われたようで、ダム便覧ではこの2009年(平成21年)を竣工年度としています。
現在は土地改良区、水道事業ともに統合が行われ、池の管理は松江市土地改良区が、上水道施設の管理運用は松江市上下水道局が行っています。
なおダム便覧ではダムの目的が灌漑のみの『A』になっていますが、『AW』の間違いです。
 
ダム下から
見えているのは堤体の一部で、実際の堤頂長は178.6メートルあります。
堤体に階段がありますが、こちらからは立ち入り禁止です。
 
池の東側にある聾学校の裏手からアプローチすると貯水池左岸に到着しました。
ここには柿原池の由来が書かれた案内板があります。
こういうのが有難いのです。
 
池の袂の柿原神社。
 
左岸沿いを天端方面へと進むと対岸(右岸)に斜樋が見えます。
あちらは土地改良区の灌漑用取水設備です。
 
手前にも斜樋が
こちらは松江市上下水道の取水設備となります。
 
天端左岸に到着です。
左岸に洪水吐があり上流面はコンクリートで護岸されています。
横越流式の洪水吐ですが、奥にはゲートがあります。
 
アングルを変えて。
 
洪水吐導流部。
 
天端。
 
総貯水容量129万立米の貯水池。
溜池としては島根県最大規模。
 
1729 柿原溜池(1403)
ため池コード 322010356
島根県松江市西谷町
斐伊川水系西谷川
AW
23.9メートル
178.6メートル
1290千㎥/1000千㎥
松江市土地改良区
1952年竣工
2009年大規模改修工事竣工


湯屋の奥溜池

2018-10-19 01:36:56 | 島根県
2018年10月10日 湯屋の奥溜池
 
湯屋の奥溜池は島根県松江市秋鹿町の斐伊川水系秋鹿川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1981年(昭和56年)に湯屋地区の事業により竣工と記されていますが、記念碑等がないため詳細は不明です。
湯屋地区は溜池のある周辺の小字名だと思われますが、溜池の築造を地区の事業として行えるのかどうかちょっと疑問に思えます。
1981年以前からここに溜池があった可能性が高く、国や県の補助を受けた団体営事業として改修が竣工したのが1981年と見るのが妥当ではないでしょうか?
 
秋鹿川沿いに県道266号線を北上すると右手に湯屋の奥溜池の堤体が見えてます。
 
県道から溜池へ狭い道が通じています。
天端は草ボウボウ・・・。
 
上流面。
 
天端からの眺め
奥の集落が湯屋地区のようです。
 
貯水容量4万3000立米の小さな溜池です。
 
左岸に洪水吐と取水設備があるので草の中を突き進みます。
そばまで行けませんが尺八樋のようです。
 
上流面まで下りてみます。
コンクリートで護岸された様子はありません。
 
洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
池の下に底樋があるはずですが、害獣防除フェンスの開閉が面倒でチェックしませんでした。 
 
1691 湯屋の奥溜池(1402)
ため池コード 322010439
島根県松江市秋鹿町
斐伊川水系秋鹿川左支流
18.4メートル
50メートル
43千㎥/43千㎥
管理者未確認
1981年


深山池

2018-10-19 00:33:42 | 島根県
2018年10月10日 深山池
 
深山池は島根県出雲市野石谷町の斐伊川水系由良川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1997年(平成9年)に竣工と記されていますが、事業者は記載されていません。
ダムの管理者は水利組合のようですが具体的な名称はわかりません。
 
県道232号の唯浦トンネル手前左手に池への分岐があります。
入口にはゲートがあり普段は立ち入り禁止のようですが、今回はたまたま受益者の方が見回りに来ておられ懇願して見学させていただきました。
この時に水利組合の名前を聞けばよかった。
道を下るとすぐに池左岸に出ます。
左岸に洪水吐があり橋が架かっています。
 
洪水吐導流部。
 
洪水吐の越流部。
 
池の下から見上げると
堤高19.1メートルとのことですが、もっと高く見えます。
フィルダムの堤体に洪水吐を作るのは掟破りでは?
 
洪水吐減勢工。
この下に底樋もありますが下りるのは自重しました。
 
天端まで戻ります。
こちらは上流面。
 
下流面。
 
貯水容量4万8000立米の小さな溜池
山には雲が掛かり名前の通り深山の趣です。
 
何やらジェット機のような音が聞こえると思ったら近くで風力発電が回っています。
 
右岸の取水設備
尺八樋です。
 
もともとあった深山池という溜池が20年ほど前に改修され、さらに最近堤体の改修が行われたばかりのようです。
張られたばかりの芝が美しく、溜池というよりはアースフィルダムと呼ぶのがふさわしい深山池です。 
 
3463 深山池(1401)
ため池コード 322081091
島根県出雲市野石谷町
斐伊川伊川水系由良川
19.1メートル
55メートル
48千㎥/48千㎥
管理者未確認
1997年


殿ダム

2018-10-18 13:43:34 | 鳥取県
2018年10月9日 殿ダム 
 
殿ダムは鳥取市国府町殿の千代川水系袋川にある国交省中国地方整備局が管理する特定多目的ロックフィルダムです。
一級河川袋川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、鳥取市営水道への上水道用水の供給、鳥取県企業局への工業用水の供給、鳥取県企業局袋川発電所での最大1100キロワットのダム水路式発電を目的として2011年(平成23年)に竣工しました。
事業計画から建設着手まで長期にわたる補償交渉があったことも踏まえ地域との交流に配慮、ダム下の殿ダム記念広場をはじめダム周辺に4カ所の広場を設け地域住民の憩いの場となっています。
 
県道31号線を進むと右下に殿ダムの姿が見えてきます。
堤高75メートルは鳥取県内のダムでは最高、ダム下は記念広場として整備され見た目にも美しいロックフィルダムです。
 
特筆すべきはその洪水吐で、導流部がカスケードになっています。
右手は放流設備と袋川発電所。
 
明治大正期の上水用アースフィルダムでは階段状の洪水吐導流部をよく見かけます。
しかしこれほど大規模なものは殿ダムだけでしょう。
 
右岸ダムサイトにある管理所とダム下の記念広場を結ぶインクライン。
一般見学者は乗れるのかな?
 
ダムサイトまで上がってきました。
下流面は白い石が積まれていますが、上流は黒い丸石です。
 
天端から
ダム下の記念広場、
サッカー会場として利用されるなど普段は家族連れで賑わうようですがこの日は休園日。
 
下流面は白い石。
 
天端
管理所の開設時間に限り車両通行可能です。
 
左岸の側水路式の巨大な洪水吐
ゲートレスで奥の二つの穴がが常用、横越流部が非常用の洪水吐となります。
 
取水塔。
ダム湖は因幡万葉湖と命名され総貯水容量は1240万立米。
 
2011年に竣工したばかりのダムなので、見た目も美しく周辺の環境整備も行き届いています。
ダム管理事務所では「平成のピラミッド」を標榜していますが、できれば上流面と下流面の異なるロック材を俯瞰できる展望所でも作ってくれればピラミッドも実感できるのですが。
 
(追記)
殿ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
2931 殿ダム(1400)
鳥取県鳥取市国府町殿
千代川水系袋川
FNWIP
75メートル
294メートル
12400千㎥/11200千㎥
国交省中国地方整備局
2011年
◎治水協定が締結されたダム

百谷ダム

2018-10-18 11:42:17 | 鳥取県
2018年10月9日 百谷ダム
 
百谷ダムは鳥取県鳥取市百谷の一級河川千代川水系天神川源流部にある鳥取県県土整備部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
建設省(国交省)の補助を受けて建設された補助治水ダムで天神川の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的として1973年(昭和48年)に竣工しました。
百谷ダムは日本で最初にクレスト自由越流式洪水吐が採用されたダムです。
今でこそ当たり前のように建設されているゲートレスダムですが、その第一歩となったのが百谷ダムで、日本のダム史において大きな転換点となったダムと言っても過言ではないでしょう。
 
ダム下は私有の農地でダム直下には行けません。
ゲートレス黎明期のダムということで、越流した水を中央に集水させるために導流部は独特の曲線形状となっています。
クレストには扶壁を挟んで2門の自由越流式非常用洪水吐、オリフィスに自然調節式常用洪水吐があります。
 
左岸ダムサイトに上がります。
下流から見た洪水吐はダムの一部で、堤体の右岸寄りに洪水吐が位置しています。
 
導流面はアーチダムのように湾曲
クレスト越流部がセットバックされており、コンジットゲート上の扶壁は逆ハングになっています。
 
天端
ここだけ見ると普通のダム。
 
諸元プレート
目的にかんがいが入っていますが、これは既得取水権への灌漑用水補給、つまり『N』の意味かと思います。
 
減勢工もきれいな扇形、そして導流面はアーチ状
ここだけ見たら紛うことなきアーチダムです。
 
ダム下には農地。
 
総貯水容量は28万立米とため池サイズ。
インレットは湿地になっていてスイセンの群落があるよです。
 
越流堤は円形を描き上流側に大きくセットバックされています。
 
越流部をアーチ状にすることでより大きな放流量を確保するとともに、放流された水を減勢工に収束される意図のようです。
写真では見難いですが、ゲート中央にオリフィスの補助ゲートとしてコースターゲートがあります。
 
余所ではちょっと見られない、異形のゲートレス。
日本初のゲートレスとして紆余曲折、さまざま模索しながらたどり着いたのがこの形だったんでしょうね。
 
(追記)
百谷ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

1683 百谷ダム(1399)
千代川水系天神川
FN
18メートル
79メートル
280千㎥/242千㎥
鳥取県県土整備部
1973年
◎治水協定が締結されたダム


桜溜池

2018-10-18 03:07:47 | 鳥取県
2018年10月9日 桜溜池
 
桜溜池は鳥取県倉吉市桜の天神川水系国府川左支流にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1973年(昭和48年)に鳥取県の事業で竣工と記されており、農水省の補助を受けた県の事業で整備もしくは建設されたものと思われます。
ただ既存の溜池を改修したのか、新たに溜池を新設したのかは不明です。
池の管理は久米ヶ原土地改良区が行っています。

桜溜池という名前から、富山の桜ヶ池のような池公園として整備された小奇麗な池を予想していましたが実際は普通の溜池。
桜地区にあるので桜溜池だそうです。
左岸から
山陰では池の草刈りは稲刈後に行われるのが一般的で、当池もあいにく草刈り前。
 
環境整備の看板。
 
池直下の施設。
池は減圧水槽、建屋は揚水機場になります。
 
総貯水容量54万6000立米。
 
左岸の斜樋。
 
天端は車道になっていますが、見学中1台も車は通りませんでした。
 
上流面はコンクリートブロックで護岸。
 
右岸の越流式洪水吐。
 
上流から。
 
洪水吐導流部。
草刈り後に来ればイメージも変わるんでしょう。
 
1684 桜溜池(1398)
ため池コード
鳥取県倉吉市桜
天神川水系国府川
36.6メートル(ため池データベース23.1メートル)
115メートル(ため池データベース124メートル)
546千㎥(ため池データベース534千㎥)/546千㎥
久米ヶ原土地改良区
1973年

鉄山池

2018-10-17 16:55:35 | 鳥取県
2018年10月9日 鉄山池
 
鉄山池は鳥取県東伯郡北栄町上種の由良川右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1940年(昭和15年)に鉄山谷土地改良区の事業で竣工と記されており、土地改良区の前身となる耕地整理組合もしくは水利組合等の事業、つまり受益農家の持ち出しで建設されたものと思われます。
現在の管理者は鉄山谷土地改良区です。
 
池の場所は明確ですが、国土地理院地形図を見てもアプローチがあやふや。
池の周辺は国営東伯地区かんがい排水事業で整備された畑地やビニールハウスが広がり、偶々農作業をされていた農家の方に場所を伺いました。
車で直接池に乗り付けるのは無理で最後は200メートルほどの歩きとなります。
丘陵地を開拓した畑地が広がる中、池の周囲だけは杉林に囲まれ鬱蒼とした雰囲気。
 
天端は下流面はきれいに草が刈られ、いまだ貴重な水源であることが伺えます。
 
貯水容量5万1000立米の小さな溜池。
 
下流面。
 
右岸から天端と上流面。
訪問直前に通過した台風の影響か満水。
 
右岸の小さな洪水吐。
 
堤体右岸に沿って流下する導流部。
 
下流面
夏場に草刈りが行われたようです。
 
このまま池下に下りて底樋管の写真を撮ったはずなのに見当たらない…
あと取水設備も池のどこを探しても見つかりませんでした。
たぶん左岸側に池栓などがあると思うのですが、直前に通過した台風の影響で水位が上がり水没していたのかもしれません。
池周辺は東伯地区かんがい排水事業で開発された畑地やビニールハウスが立ち並んでいますが、この池はそれらとは無関係で由良川流域の水田の水源として利用されています。 

1675 鉄山池(1397)
ため池コード
鳥取県東伯郡北栄町上種
由良川水系由良川右支流
19メートル(ため池データベース19.6メートル)
79メートル(ため池データベース78.5メートル)
51千㎥/50千㎥
鉄山谷土地改良区
1940年

西高尾ダム

2018-10-17 13:49:03 | 鳥取県
2018年10月9日 西高尾ダム
 
西高尾ダムは鳥取県東伯郡北栄町西高尾の由良川水系西高尾川源流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
大山北東山麓に位置する東伯郡琴浦町から北栄町一帯は広く火山堆積物で覆われた台地が広がり、地味は豊かながら水利に乏しく灌漑施設の整備が強く求められていました。
1979年(昭和54年)より農水省による国営かんがい排水事業東伯地区が着手され3基のダム、3箇所の揚水機場、延長38.2キロの幹線水路の整備が開始されました。
まず1992年(平成4年)に西高尾ダム、2003年(平成15年)に船上山ダム、に2006年(平成18年)に小田股ダムが竣工、同年かんがい排水事業全体も完了し約2700ヘクタールの田畑への灌漑設備が整備されました。
運用開始後はダムを含めた灌漑施設全体を東伯地区土地改良区連合が管理を受託しています
 
ダム下から
水田に沿って進むと奥に堤体が見えてきます。


ダム下の放流設備
右手に切れている白い建屋が揚水機場。


リップラップを見上げます。
リップラップ自体は草も少なくきれいに保たれています。

右岸の洪水吐斜水路。
ダム建設にあわせダム下は公園として整備されたようですが、今は荒れ放題。
この写真も蜘蛛の巣をかき分けてようやくシャッターを切りました。

 
左岸ダムサイトに上がります。
完成記念碑。


右岸の洪水吐。


2車線幅の天端ですが車両進入禁止
左奥が管理事務所。


上流面
こちらもきれい。
管理事務所から斜樋が伸びています。


天端から
木の陰になりますが白い建物は揚水機場と放流設備。


総貯水容量は201万立米で同じ国営事業で建設された3ダムの中では最大。
雲が架かっていなければ奥に大山が見えるのですが・・・・。

 
下流面。
奥の草付きの向こうが洪水吐斜水路。

定礎石。
農政局長は就任中に国営事業でダムを完成させれば、碑に名を残せる栄誉を賜ります。

水利使用標識
受益農地の大半は畑作のため年間を通して水利権が配分されます。

 
管理事務所裏手に斜樋と浮桟橋。
斜樋と浮桟橋がセットになっているのは船上山ダム小田股ダム共通。


ダム湖畔にはレークサイド大栄というレクリエーション施設が整備され周辺住民の憩いの場となっています。
 
1690 西高尾ダム(1396)
鳥取県東伯郡北栄町西高尾
由良川水系西高尾川
46.2メートル
237メートル
2010千㎥/1970千㎥
東伯地区土地改良区連合
1992年