スクランブル！！ 後編

ターゲットを発見！
依然　提灯は点滅している。

右折で幹線道路に侵入した為
タクシーはコロニーから外れ単独で走行している。

久々に鞭打たれ全開走行のMBXは、下り坂の恩恵も受け素晴らしい加速だ。
吐き出した白煙を おいてきぼりにしている。
追い付けそうだ！

3つ…4つ先の信号が奥から順に赤に変わって行く。
しめた向こうが先に捉まるぞ！！

１ブロック後ろの信号でこちらも捉まる。
信号待ちの間に冷静に判断。
なにかあった場合タクシーのナンバーや特徴が必要だよな…

右のケツポケから携帯を取り出しカメラモードにする
さらに、最大ズームの状態で取り出しやすい上着の内ポケにしまう。

再びシグナルブルー！

一気にタクシー後方に追い付き追尾。
後ろから見る限り乗客はいない…
多少用心しながら右車線へ出て併走して車内を確認。

ほっ…誰もいない。誤報か。

そのままタクシーを抜き去り正面へ回りこむ
ブレーキをチョンがけして、こちらに注意を促しハンドシグナルを送る。

左手で上を2～3度指差し
こぶしをグーパーグーパーと、開いたり閉じたりして点滅のサインを送る。

振り返ると運転手が、ハッとした顔をして手元を操作している。
提灯の点滅が消えた。

OK？とサインを出すと

車中から「すいませ～ん。ありがとうございます。」と
声が聞こえてきそうなジェスチャーをしていた。

何事もなくてなによりだ。



駐輪場へ戻りエンジンを切ると
短い時間ではあるが全開走行を行ったせいか

カキーン　キーン　と車体から金属音が

いつもより大きめに鳴り響いていた。




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