2012年 1月25日
東京都労働委員会
会 長 永 井 紀 昭 殿
明治乳業争議支援共闘会議
議 長 松 本 悟
明治乳業賃金昇格差別撤廃争議団
団 長 小 関 守
要 請 書
[ 平成6年不55号事件・その他 明治乳業賃金昇格差別事件 ]
記
昨年12月22日の要請でも解明しましたが、本件での格差(差別)は、例えば、平均年収(平成5年度)で約100万円(最大220万円)もあるなど極めて鮮明です。その結果、会社は否定できない格差の存在について、「何が故の格差なのか」の反証として、格差の「合理性立証」を長時間行ったのです。
しかし、「不当労働行為・差別意思に基づく格差」という、申立人らの立証を覆すものとはなり得ない内容であり、多くの命令例・判例によって確立されてきた、格差の「合理性立証」の要件に照らしても異常なものでした。
1、会社の「相対的に成績を決める」との定義をも否定する個別立証の異常性
格差とは、当然ながら比較を前提とした概念です。本件では、申立人ら集団と、「事業所採用者コース」に属する他の労働者集団との比較が前提であり、格差の「合理性立証」には当然ながら集団間の相対比較が要件となります。
会社自身も、石田弘陳述書(乙5号証)で人事考課成績の相対評価について、「対象者全員の点数分布、すなわち点数の高さ、その順序、その集散の度合いから、従業員間の関係を見て相対的に成績を決めることをいう」と定義付けています(33~38頁)。しかし、本件で会社が執拗に繰り返した個別立証は、自らが定義づけた相対比較をも否定し、申立人らだけの作業ミスを密かに書き溜めた「報告書」や「観察記録」などを理由に、申立人らを絶対評価で「無能力者」「怠け者」と描くことで格差の「合理性立証」だとする、相対比較抜きの極めて恣意的な「個別アラ探し」立証を執拗に行うものでした。
2、虚偽・捏造などで無能力者に仕立てあげる「報告書」の驚くべき実態
相対比較抜き「個別アラ探し立証」自体が、格差の合理性立証となり得ないことは、貴委員会の同種事件への命令例や判例によっても明白です。
しかし、さらに重大なのは「報告書(観察記録)」の中に、申立人らの日記帳などの明確な証拠によって、記載内容が虚偽や恣意的に捏造されたものである事例が、確認できるだけでも10以上も含まれていることなど、立証内容の信憑性が全体的に極めて疑わしいことです。以下に当事者らの日記などによって、その虚偽・捏造の実態が明白となっている幾つかの事例を述べます。
① 乙127号証=退社後に発生した問題を申立人に転嫁する虚偽・捏造
乙127号証は、大阪工場の門脇紀久に関する報告書です。発生日は89年1月30日。しかし、甲387号証(門脇の日記帳)で明白なように、当日、業務命令によって13時出勤した門脇が、21時の定時に退社していることは、残業トータル時間(1/28日29:00、1/31日29:00)に、変化のないことでも明らかです。すなわち、「門脇を指導した」という1月30日の22時30分頃には、門脇はすでに退社して職場には不在なのです。
② 乙148号証=休日で不在の申立人を「作業ミスで指導した」との虚偽
乙148号証も、門脇紀久に関する報告書です。発生日は92年10月3日。しかし、甲390号証(門脇の日記帳)で明白なように、門脇は9月30日から10月2日までの3日間夜勤であり、10月3日は夜勤明けの公休日で、そもそも会社には出勤していないのです。
③ 乙363、364号証=欠勤して不在の申立人を指導したとする虚偽
乙363号証は、大阪工場の糸賀久の2月16日の欠勤連絡票です。この欠
勤連絡自体は勤怠規定に基づいて受理されていますが、年度中この1回だけの欠勤に「早めに連絡しないから混乱した」等と難くせをつけ、人事考課低査定の理由としたのです。しかも、乙364号証「報告書」で「糸賀を注意指導した」のは、2月16日(欠勤して不在の日)だと平気で捏造をしているのです。
④ 乙463号証=職場が休日で出勤者がいない日に申立人を指導したと虚偽
乙463号証は、福岡工場の後藤春士に関する報告書です。「報告書」には、
「たびたびあるため1月31日に日報の重要性と書き方について坂巻主任から注意させたばかりである」と記載。しかし、甲393号証の1(後藤の日記帳)で明白なように、1月31日は日曜日でアイスクリームの職場は休日であり、後藤も含め誰も出勤していない日に「指導した」というのです。
3、鮮明となった格差(差別)への「合理性」立証とは絶対に成り得ない内容
会社が行った「個別アラ探し」の全事例への反論は、申立人ら最終準備書面第二分冊(申立人らの勤務ぶりについての反論)で鮮明です。事例の特徴は、①ミス事例自体が虚偽であるもの。②ミス事例を恣意的な作文で誇張するもの。③職場で頻繁に発生し誰でも経験している些細なミスのもの。④共同作業や上司など職務上の責任を無視し、申立人らに責任を転嫁するもの、等々です。
「合理性」立証の前提である相対評価を無視し、伝聞・再伝聞などを重ね、さらに虚偽・捏造をも含む個別立証が、確立された命令例・判例にも違背することは明らかです。明白となっている格差(差別)及び不当労働行為意思の認定に基づき、早期に全面救済命令が交付されることを強く求めるものです。
以上
東京都労働委員会
会 長 永 井 紀 昭 殿
明治乳業争議支援共闘会議
議 長 松 本 悟
明治乳業賃金昇格差別撤廃争議団
団 長 小 関 守
要 請 書
[ 平成6年不55号事件・その他 明治乳業賃金昇格差別事件 ]
記
昨年12月22日の要請でも解明しましたが、本件での格差(差別)は、例えば、平均年収(平成5年度)で約100万円(最大220万円)もあるなど極めて鮮明です。その結果、会社は否定できない格差の存在について、「何が故の格差なのか」の反証として、格差の「合理性立証」を長時間行ったのです。
しかし、「不当労働行為・差別意思に基づく格差」という、申立人らの立証を覆すものとはなり得ない内容であり、多くの命令例・判例によって確立されてきた、格差の「合理性立証」の要件に照らしても異常なものでした。
1、会社の「相対的に成績を決める」との定義をも否定する個別立証の異常性
格差とは、当然ながら比較を前提とした概念です。本件では、申立人ら集団と、「事業所採用者コース」に属する他の労働者集団との比較が前提であり、格差の「合理性立証」には当然ながら集団間の相対比較が要件となります。
会社自身も、石田弘陳述書(乙5号証)で人事考課成績の相対評価について、「対象者全員の点数分布、すなわち点数の高さ、その順序、その集散の度合いから、従業員間の関係を見て相対的に成績を決めることをいう」と定義付けています(33~38頁)。しかし、本件で会社が執拗に繰り返した個別立証は、自らが定義づけた相対比較をも否定し、申立人らだけの作業ミスを密かに書き溜めた「報告書」や「観察記録」などを理由に、申立人らを絶対評価で「無能力者」「怠け者」と描くことで格差の「合理性立証」だとする、相対比較抜きの極めて恣意的な「個別アラ探し」立証を執拗に行うものでした。
2、虚偽・捏造などで無能力者に仕立てあげる「報告書」の驚くべき実態
相対比較抜き「個別アラ探し立証」自体が、格差の合理性立証となり得ないことは、貴委員会の同種事件への命令例や判例によっても明白です。
しかし、さらに重大なのは「報告書(観察記録)」の中に、申立人らの日記帳などの明確な証拠によって、記載内容が虚偽や恣意的に捏造されたものである事例が、確認できるだけでも10以上も含まれていることなど、立証内容の信憑性が全体的に極めて疑わしいことです。以下に当事者らの日記などによって、その虚偽・捏造の実態が明白となっている幾つかの事例を述べます。
① 乙127号証=退社後に発生した問題を申立人に転嫁する虚偽・捏造
乙127号証は、大阪工場の門脇紀久に関する報告書です。発生日は89年1月30日。しかし、甲387号証(門脇の日記帳)で明白なように、当日、業務命令によって13時出勤した門脇が、21時の定時に退社していることは、残業トータル時間(1/28日29:00、1/31日29:00)に、変化のないことでも明らかです。すなわち、「門脇を指導した」という1月30日の22時30分頃には、門脇はすでに退社して職場には不在なのです。
② 乙148号証=休日で不在の申立人を「作業ミスで指導した」との虚偽
乙148号証も、門脇紀久に関する報告書です。発生日は92年10月3日。しかし、甲390号証(門脇の日記帳)で明白なように、門脇は9月30日から10月2日までの3日間夜勤であり、10月3日は夜勤明けの公休日で、そもそも会社には出勤していないのです。
③ 乙363、364号証=欠勤して不在の申立人を指導したとする虚偽
乙363号証は、大阪工場の糸賀久の2月16日の欠勤連絡票です。この欠
勤連絡自体は勤怠規定に基づいて受理されていますが、年度中この1回だけの欠勤に「早めに連絡しないから混乱した」等と難くせをつけ、人事考課低査定の理由としたのです。しかも、乙364号証「報告書」で「糸賀を注意指導した」のは、2月16日(欠勤して不在の日)だと平気で捏造をしているのです。
④ 乙463号証=職場が休日で出勤者がいない日に申立人を指導したと虚偽
乙463号証は、福岡工場の後藤春士に関する報告書です。「報告書」には、
「たびたびあるため1月31日に日報の重要性と書き方について坂巻主任から注意させたばかりである」と記載。しかし、甲393号証の1(後藤の日記帳)で明白なように、1月31日は日曜日でアイスクリームの職場は休日であり、後藤も含め誰も出勤していない日に「指導した」というのです。
3、鮮明となった格差(差別)への「合理性」立証とは絶対に成り得ない内容
会社が行った「個別アラ探し」の全事例への反論は、申立人ら最終準備書面第二分冊(申立人らの勤務ぶりについての反論)で鮮明です。事例の特徴は、①ミス事例自体が虚偽であるもの。②ミス事例を恣意的な作文で誇張するもの。③職場で頻繁に発生し誰でも経験している些細なミスのもの。④共同作業や上司など職務上の責任を無視し、申立人らに責任を転嫁するもの、等々です。
「合理性」立証の前提である相対評価を無視し、伝聞・再伝聞などを重ね、さらに虚偽・捏造をも含む個別立証が、確立された命令例・判例にも違背することは明らかです。明白となっている格差(差別)及び不当労働行為意思の認定に基づき、早期に全面救済命令が交付されることを強く求めるものです。
以上
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます