毎日が夏休み

LEAVES THAT ARE GREEN TURN TO BROWN

秋の終わりの春香山。。。後編

2007-11-08 21:30:00 | 塩谷丸山、春香山
昨日の続きです。。。

土場が標高570M、銀嶺荘が700M位、山頂が906.9M。。。
残すところ200Mほどの高度なんですが、なかなか進みません。。。
日陰部分は積雪、日の当たるところは泥で斜面が崩れてます。。。



↑の写真、急登ありと書いてありますが、怯むような急登ではありません。。。
ただ、こんなに崩れてどべどべの足場は初めてで。。。
なんと言ってもバスで帰りますから。。。コケたら悲惨です。。。
こんな時、ほんと車ならいいのにって思ってしまいます。。。
たとえ泥まみれになっても、汗で臭くなっても、車に乗ればOKですから。。。




これは小川ではありません。。。登山道です。。。日当たりの良い場所はこのように雪解け水?が流れてます。。。



平坦な部分はこんな感じです。。。あくまでも、これは登山道ですから。。。
もちろん、ここまでひどくない部分もありましたが。。。

そして日当たりの悪いところは雪が残った道です。。。
このトレッキングシューズで雪は初。。。
おそるおそる歩いてみると…なんだか行けそうな感触が。。。

この雪っていうのも、もちろん新雪状態ではなくて、
氷に近い『滑るでこぼこの板』みたいな感じでして。。。人が何度も上を歩いて踏み固められ、圧雪状態が日光と地熱で融けて気温が下がって固まるを繰り返したような。。。春先に出現する、蹴ったらヒビが入って割れるタイプの雪でした。。。

で、平坦なとこではゆっくりなら進めますが、傾斜がキツくなるとツルツルです。。。一歩一歩、確認&たまに蹴って足場を作りながらド慎重に進みます。。。
そして泥で崩れた斜面。。。残っている足形の段を頼りに、足を振り上げ、突き刺したポールに力を込めて上がります。。。

時間がどんどん過ぎていきます。。。頂上はきっとあと少しなはず。。。
ところがっ。。。私の目の前に現れたのは、行く手を遮る非情なロープ場。。。




絶句。。。

私は山に登る前の下調べとして、いろんな人のHPやブログを読みあさります。。。
ほんと、参考になるし、お世話になってます。。。
ただ、この岩に関しての記事は読んではいなかったはず。。。
ロープ場ありは一件あった気が。。。
予想外の出現に、ぱったり足は止まってしまいました。。。

どうすりゃいいんじゃ…どうやってここ上るんじゃ…
ロープ場なら親切に最後までロープをつけてくれぇ…

ここで滑ると痛いでは済まないはず。。。トレッキングポールが副木になるってか。。。
それに上ったとしても下りなくちゃ下山できない。。。
私はちゃんと下りれるか??自信はあるか??

ただでさえ岩恐怖症な私。。。先行者でもいたらお手本にさせてもらうけど、誰もいない。。。岩上りの知識も経験もない。。。
ここで初めて『断念』の2文字が浮かんだのでした。。。

でも、挑戦もしないで無理と決め込むのは悔しいし、私の流儀ではない。。。
この山の山頂を踏んだ人は皆ここを通ってる。。。
きっとおちびちゃんも上っただろう。。。読ませていただいたブロガーの方々も。。。
途中ですれ違った登山者の方々も、今日のこのコンディションの中通ったはず。。。
『よしっ、行くぞっ』と決めました。。。

ちなみに私は『石橋を叩いて引き返す』ほどの心配性です。。。

はい、やればなんとかなるものです。。。三点確保、両手両足でしがみつき、無事クリア致しましたっ。。。

そしてやっとの山頂ですっ。。。苦労して掴んだ景色ですっ。。。




途中で追い越して行った男性が帰る準備中でした。。。
春香山は私と同様初めてだそうで、『ひどい道でしたねぇ。。。』と。。。
お互いの健闘と無事の下山を祈りあったのでした。。。

山頂でじっくり感動を味わいたいところなんですけど、時間がありません。。。
予定では12時半頃に着いてるはずだったのに、13時15分。。。3時間もかかってます。。。そりゃそうかも。。。季節は晩秋。。。のんびりはしてられません。。。
下りはもっと滑るはず。。。

土場で小さなパンをかじっただけで、何も食べてないのに気づく。。。
もう空腹も喉の渇きもどっかにぶっ飛んでました。。。
おにぎりを食べながらも、頭の中はさっきの岩をどうやって下りようでして。。。
10分ほど休んで下山です。。。



さようなら、山頂。。。今度はもっと早い時期に、早い時間に来るからね。。。

さて、難関のロープ場です。。。



真上から見下ろしたところ。。。途中からほぼ垂直になっていて下が見えません。。。
で、おにぎり食べながら閃いたんですよ。。。上ってきた体勢、つまり後ろ向きで梯子の様に下りるのがベストなんじゃなかろうかと。。。下手に前向き(これは危険で無理そう)や横下りするより、後ろ向くのが正解ではと。。。
一人でも無い知恵絞って考えれば、なんとか道は開けるものです。。。
これが正しいのかどうかはわかりませんが、無事難関突破です。。。

あとは銀嶺荘目指して急ぎます。。。って言っても、急ぎたくても急げません、ずるずるつるつるですから。。。
バスで帰るのは弱みかと思いましたが、コケてはいかんという強い意志はかえって強みかも。。。もう必死です。。。




銀嶺荘もお預けです。。。お日様がもう傾いてきています(写真も傾いてる)。。。
急がなくては。。。

一度片足水没しました。。。泥だと思ったら深かった。。。ずぼぼぼぼ~っと靴紐が見えなくなって。。。靴レベルで言うと、かなり安いホーキンス履いてるんですけど、滲みるだろうと思いきや、足を引き上げると泥水の水滴がころころころ。。。いい仕事してくれてます。。。

泥地獄の土場地獄も苦労して通過。。。土場まで戻ってきました。。。
かなり急いだんですけど、1時間20分もかかってます。。。本来の参考コースタイムでは50分となっている。。。道が悪いとこんなに違うんですねぇ、勉強になりました。。。


遅くても3時までには登山口に着きたかったのにまだ山の中。。。残りのコースタイムも50分となってます。。。まずい状況です、これは。。。

なんで私がこんなに急いでいるか。。。ずばり、熊です。。。
熊が一番活動する時間は薄暮~早朝。。。今はまだ明るいけど、出来るだけ早くに下りるべき。。。
登山口には熊目撃情報の赤看板はなかったけど、ブログで熊の糞があったと書いてある記事も読んでいる。。。

土場から登山口までは道の状態はいい。。。コケないよう細心の注意を払い、猛ダッシュです。。。
駆け下りながら(実際には早歩きですけど)、頭の中で熊と遭ってしまったら冷静になれるか、騒がず、駆け出さずに熊とにらみ合いが出来るか、優位に立てるかと考えます。。。
もしも襲われたら、地面に伏せ頚動脈を手で保護だな。。。トレッキングポールで鼻を叩く根性はあるかな。。。

考えれば考えるほど恐怖は増殖していきます。。。
あんなに熊の記事を書いておいて、熊鈴しか用意してない。。。
この音で熊は気づいて逃げてくれるだろうか。。。
そう、人間が熊に遭いたくないように、熊も人に遭いたくないそうな。。。

こんな時間帯には山にいないのが一番なんだけど今さら遅い。。。
金属音を嫌うということを思い出し、新品のブラックダイヤモンドをドラムのスティックのようにクロスさせ、ガツガツ叩いて音を出しながら駆け下ります。。。
こういう使い方もあるとは…

駆けても駆けてももどかしいくらい道は続いていて。。。やっと橋が見えてきた時は泣きたくなりました。。。



無事登山口到着。。。3時15分でした。。。2時間弱。。。土場からは30分で下りてきたっ。。。こんな下山は以後絶対しないっ。。。

なんかほんと、今回の春香山、いい勉強になりました。。。
反省点は多いけど、いい訓練と経験もして得るものも多かったはず。。。

昨日から両腕が筋肉痛です(笑)。。。いかに腕を使ったかわかります。。。おまけに、体育で使うマットレスが積み重なった『岩』を、端に付いてる『耳』を掴んでよじのぼる夢を見ました(爆)。。。
トレッキングシューズの泥を洗い、感謝のお手入れをしました。。。
ブラックダイヤモンド記念(笑)のポールも泥を落とし、磨き上げました。。。あんなにガンガン叩いて歩いたのに、目立った傷はついていません。。。

長文なのに最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。。。