ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ニッキ・パロット・トリオ & ハリー・アレン @岡山蔭涼寺

2018年12月02日 | ライブ
【Live Information】


 「コントラバス弾き歌い」というと、現在ではエスペランサと、このニッキ・パロットが最も知られた存在でしょうか。
 地元岡山のジャズ発展を長年陰から支えている平井さんから、「ニッキ・パロットが来るよ」と教えてもらったとき、やはり「一度は見てみたい」と思ったことでした。
 ベーシストとしてとか、ボーカリストとして、というより、「ニッキ・パロットというタレントの存在」を見たい、という方が当たっているかもしれません。
 ニッキのトリオと、現代ジャズ・ジャイアントのひとりハリー・アレンの共演とあって、入れ替え制2セット、そしてそれなりのチケット代にも関わらず、会場はさすがに満席状態でした。
 ニッキ・トリオのヤコブ・フィッシャー(guitar)や、ジョン・ディ・マルティーノ(piano)目当てのジャズ・ファンも多かったようです。



リハーサル風景


ファースト・セットはニッキとジョンのデュオでスタート。次の曲でヤコブが入り、また次の曲で御大ハリーが加わる、という構成。ハリーの登場時にはさすがに拍手もひときわ高まります。
セット・リストは、日本で馴染みのあるスタンダードがほとんどです。
途中、ある曲でいきなり照明が全て落ちました。
エンディング前だったので、自分も含めて会場みんなは演出かと思ったんです。ところが曲が終わっても照明は戻らず次第にザワザワ、それでやっと「トラブルだ」と気づいたわけです。
でもバンドのみんなはそのアクシデントをも面白がっていた感じもあり、また客席でiPhoneの照明をつける人がいたり、それに対してニッキが笑顔で「Thank you~」と応えたりで、逆に会場はフレンドリーな雰囲気に包まれたくらいです。





 ニッキは、とにかくキュートでした。終始ニコニコ顔なのがちょっぴりときめいたりするんです。
 1960~70年代のアメリカのコメディドラマに出てくる、美人でユーモアと愛嬌がある奥様役がお似合いな感じです。
 彼女は、どちらかというとアンサンブルに気を配っているようなプレイに徹していたようでした。派手フレーズやソロはほとんどなく、演奏ぶりは堅実そのものでした。でも、だからといって下手でもなんでもなく、素晴らしいソロ・ワークにはやはり目が釘付けになりましたし、ピッチの正確さや、グルーブ感、アンプラグドに徹しての楽器の扱いなど、流石と思わされるところは多かったです。
 歌もなかなかいい感じでした。たしかに派手さはないのですが、丁寧で少し淡々とした感じがあって、ニッキ自身の持ち味が自然に出ていたように思います。
 ともすれば音楽の世界もビジュアル重視の風潮が濃くなっているようですが、ニッキは(当然ではありますが)そんなことには目もくれず、ただただ自分の音楽を奏でているだけなのだろうと思いました。


 そして、流石はハリーの存在感と安定感。評判違わず、といった感じです。
 音色といい、その歌い方といい、「心地良い」以外の何物でもなかったですね。
 知的というか、会社の重役だとか医師だとかのような風貌も、なんとなくハリーの持つ安心感みたいなものに一役買っているのでしょう。


 ピアノのジョンの演奏には初めて接したのですが、大胆に間を取り、かつメロディを最大限に生かそうとしているようなピアノには感銘を受けました。まるで秋の夜の静けさの中でひっそり鳴く鈴虫の音色のようでした。
 



 
 とても雰囲気のよいサウンドに満足しながら、この夜のちょっとした幸せの仕上げに炙りチャーシューの旨いラーメン屋さんに寄って帰ろう、と会場をあとにしたのでした。



2018年11月15日 岡山蔭涼寺
ニッキ・パロット・トリオ & ハリー・アレン

 ニッキ・パロット(Nicki Parrott/bass, vocal)
 ジョン・ディ・マルティーノ(John di Martino/piano)
 ヤコブ・フィッシャー(Jacob Fischer/guitar)
 ハリー・アレン(Harry Allen/tenor-sax)






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大野俊三ジャズ・コンサート@岡山ルネスホール

2018年11月13日 | ライブ
【Live Information】


 素晴らしい作品を目や耳にしたあとは、その感動が大きければ大きいほどその作者や演奏者に、自分がいかに感動したかを伝えたくなります。
 しかし、そんな時に出てくる言葉はえてしてありきたりのものばかり。そうでなければ、心が揺さぶられたあまり思わず訳のわからない言葉を発してしまったり。どちらにしても、あとでちょっとした自己嫌悪に陥るのが関の山です。
 昨夜の大野俊三ジャズコンサートの余韻がまさにそんな感じでした。
 
 
 ライブの感想として浮かんでくる言葉は、「惹き込まれる」「広い」「奏」「温かい」「知的」「芳醇」「盤石」「昇華」「美」「揺るぎない」「別世界」などなど。
 全員が桁外れの実力の持ち主なのに、不思議と「超絶技巧」「凄い」「圧倒」のような類の、陳腐な言葉とは距離があるような気がしました。
 メンバー4人みなが自分だけの強烈な世界を持っていました。
 そしてその世界に対して互いに敬意を払い、互いに受け入れ合って作った景色の、なんとも美しく楽しかったこと。
 

 
 

 午後7時。
 メンバーがステージに現れるや、すぐに山田さんがビートを刻み始めました。これがまたこちらのテンションを一挙に高めてくれるような、体を動かさずにはいられないような、ゴキゲンなドラミングなのです。
 石橋さんのベースは、まさにバンドにとっての生命の源。驚異的なテクニックに裏打ちされたそのプレイはゆとりがあり、豊穣な音色とグルーブ感を持ちながら、いわば音楽的司令塔の役割を果たしているように思えました。
 このふたりがガッチリ手を組んだリズム・セクションの幹の太さがこのユニットの土台です。
 しきりにリズム・セクションと笑顔でアイコンタクトを取る木畑さん。日野皓正さんのグループに在籍したこともある木畑さんのピアノはとても叙情的で、リズム・セクションの作り出す太いグルーブにいろいろな音楽的演出を施しています。
 大野さんは、トランペッターとしても素晴らしいですが、とても美しい曲を書く方でもあります。演奏中の大野さんは、細身の体とはうらはらにとても存在感がありました。
 アンコールでは急遽ベースの石橋さんにソロ交換を持ちかけ、急に振られて笑いながら応える石橋さんと熱のこもった演奏を繰り広げていたのが印象的でした。

 



 4人の名手が持ち味を出して作り上げた一夜限りの世界は、とても高いところにありました。 
 下から見上げると、キリマンジャロもエベレストも、「どちらもただ高く見えるだけ」で、どちらがどのように高いかは見当もつかないものです。
 しかし、どれだけ高いかを知ってその知識を誇るのではなく、そこへ行きたくてワクワクウズウズし続けていたいと思いました。
(行くことができればそれに越したことはなのですが、そこに辿り着けるかどうかよりも、行くことに決めて出発することや道中をとにかく楽しむ、というか。。。)
 

  


 こんなライブを体感できて、とてもhappyです。
 まだ余韻に浸っています。
 このグループのツアーは、11月10日(土)が和歌山Desafinado、11日(日)が加古川喫茶いるかと続きます。行けるものならもう一度行きたいです。

 



11月8日(木) 岡山ルネスホール
 大野俊三(trumpet)
 木畑晴哉(piano)
 石橋敬一(bass)
 山田玲(drums)




 

 


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ザ・ヒロシ・トリオ with 新井雅代 @岡山壱番館

2018年10月09日 | ライブ
【Live Information】

 
 
 関西屈指のドラマーのひとりである田中ヒロシさんが、リーダー・アルバムをリリースしたのを記念して、ツアーを行いました。
 田中ヒロシさんといえば、2007年の第44回なにわ芸術祭ジャズ部門・第15回中山正治ジャズ大賞を受賞、岸ミツアキさんとの数々の海外公演でも知られている名ドラマーです。かつて、来日したアート・ブレイキーが急病となった時には、急遽一週間の代役を務めて絶賛されたのは有名な話です。


 セット・リストはジャズのスタンダード・チューン主体でした。
 トリオのメンバーがみな、楽器を通じて歌う歌う。
 バップの香りに満ちているサウンドには血が通っているような温かみがあり、ジャズの楽しさを存分に味わうことができました。
 ジャズが敬遠される理由のひとつに「わからない」というのがありますが、ソロ、フィル・イン、バッキング、どれをとっても伝わってくるもの、迫ってくるものが大きく、説得力に満ちていたように思いました。





 ピアノの志水さん、ベースの光岡さんは、現在関西を中心に引っ張りだこのミュージシャン。このふたりは「ハード・バップ研究会」で日々研鑽を積んでいます。もちろんバップだけではなく、幅広い音楽性を持っていて、ちゃんと自分の「歌」を歌っています。
 実力派ボーカリスト新井雅代さんの存在感の大きさ、中味の濃い歌も相変わらずです。
 声量、抑揚の付け方、ダイナミックなスキャットなどなど、実力的にも素晴らしいことを改めて感じました。
 4人のメンバーがそれぞれに音で意思を伝え合い、瞬時に反応し、作り上げていく様を見る(聴く)のも楽しく、あっという間の2セットでした。


 

 
 いわば百戦錬磨のベテランのヒロシさん、新井さんの音楽観に、光岡さん、志水さんが新鮮な感性を持ち込んでしっかり練り上げたサウンド、とでも言ったらいいのかな。
 とても楽しく、素晴らしいライブでした。
 




2018年9月28日(金)
・田中ヒロシ(drums)
・志水愛(piano)
・光岡尚紀(bass)
・新井雅代(vocal)









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木畑晴哉、萬恭隆 & 森下啓 @岡山喫茶壱番館

2018年10月07日 | ライブ
【Live Information】


 木畑晴哉さんは、関西在住のジャズ・ピアニスト。
 日野皓正さんのグループに加入していたこともある、関西でも指折りのピアニストです。
 たまたまぼくの友人が木畑さんの友人だったり、以前関西のあるボーカリストから「木畑さんのピアノ、めっちゃええよ~」と聞いていたりで、いつかは木畑さんのライブに行ってみたかったんですが、念願かなって岡山で木畑トリオのライブを聴く機会に恵まれました。


 beautiful、そして cool。
 演奏というか、サウンドは終始緊張感に包まれていたのですが、こんなに柔和な「緊張感」もあるんですね。
 知らぬ間にこのトリオの音楽に魅かれていて、気がつけば我に返る瞬間がないままライブが終わっていたほどでした。
 時計の針の進み方が早く感じられた、とても魅力のあるライブでした。


 


 木畑さんの演奏は、さながらペンがわりにピアノで自分の想いを綴っているような、存在感と美学に満ちた素晴らしいものでした。
 それを支える萬さんのベースは安定感抜群。終始堅実にグルーブし続けていました。
 木畑さんに自由に弾いてもらいたい、そのためにはまずしっかり4ビートのラインをウォーキングし、しっかりボトムを支える、という意識をはっきり持っていたように感じました。あとで木畑さんにその辺りを伺ってみると、やはり演奏の自由度が高まってやりやすい、という意味のことをおっしゃっておられました。
 ドラムの森下啓くんは、一、二度共演したこともあるので注目して聴いていましたが、さすがに関西の一流ミュージシャンとの共演を重ねて研鑽を積んでいるだけあって、さらなる成長を遂げているように思いました。


 気持ちが満たされた、とても素晴らしい演奏でした。
 木畑さんのピアノは、機会を作ってまた聴きに行きたいと思います。




 2018年10月6日(土)
 木畑晴哉トリオ @岡山壱番館
 木畑晴哉(piano)
  萬恭隆(bass)
  森下啓(drums) 
 
 





 


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トニー・モナコ、小沼ようすけ & ジーン・ジャクソン @岡山蔭涼寺

2018年10月02日 | ライブ

【Live Information】


 ハモンド・オルガンの音は大好きです。
 ハード・ロック、ファンク、R&B、ジャズ、ゴスペル。。。なんにでも合う。
 優しさ、激しさ、黒っぽさ、温かさ、それらすべてを包み込んだ音色だと思います。
 

 オルガン・トリオのライブに行ったことあったけ、、、いや、ないな~
 じゃ、行ってみようか。メンバーの組み合わせにも興味津々だし。
 と、いう理由もあって、トニー・モナコ、小沼ようすけ & ジーン・ジャクソンのライブに行ってまいりました。
 
 



 「炎のオルガニスト」の異名を取るトニー・モナコは、名前から察するに、ラテン系でしょうか。
 ステージに現れるや否やハイ・テンションで「Everybody Say Yeah~!♪」と客席をあおります。思いきり陽気で、とてもフレンドリーな感じ。
 演奏も、感情をほとばしらせながらのアツいものでした。
 ほとんど顔芸と言えるくらい表情の変化が豊かで、それはつまり自分の演奏に魂を込めているということに他ならないと思います。
 オルガンを、まるで声のように操り、多彩な音色を繰り出すのですが、ソロの流れの作り方や、盛り上げ方、テーマの歌い方、どこを聴いても圧倒的な存在感がありました。
 
 



 トニーは、あのジミー・スミスの弟子です。
 少し師匠についての思い出も語ってくれました。
 師の訃報を聞いた時のショックはとても大きかった、と。そして、その時に作った曲も披露してくれました。タイトルは「I'll Remember Jimmy」。チャーリー・パーカーの「Confirmation」のコード進行を借りて作った曲です。

 



 小沼ようすけは、いわずと知れた日本の音楽シーンを代表する名ギタリスト。ジャズに限らず幅広い音楽性を持っているコンテンポラリーなギタリストです。
 ブルースなんかを聴いていると、内なる自分から湧き出るものをギターで紡ぎ出しているかのようでした。
 トニーのバックにまわっている時のバッキングなんかも、とっても味のあるものだったと思います。
 また、演奏中にメンバーと目が合った時の笑顔がとても気持ち良さそうで、見ているこちらまで楽しくなります。
 




 ジーン・ジャクソンを初めて見たのは「マウント・フジ」のビデオの中でした。ハービー・ハンコック、デイブ・ホランドとのトリオで「カンタロープ・アイランド」を演奏していたのですが、そのグルーヴィーなドラミングは強烈に印象に残りました。
 ジーンも茶目っ気があって、トニーがセッティングに少し時間を使っている時に、「ショウショウオマチクダサイ」。トニーの準備が整うと、「オマタサシマシタ」と言って客席を笑わせていたのがカワイかったです。
ジーンの凄さはファンク系の曲でひしひしと感じました。なにせ聴いているぼくの勝手に体が動くんです。とにかく超ゴキゲン!、凄まじくグルーヴィー!
 なんとなく顔つきがつのだひろさんに似ていたような気がしたところにも親近感を覚えました。





 演奏前に、「写真撮影はOKです。動画の撮影も良識の範囲内でOKです。ただし(SNSにアップして)シェアすること」とのアナウンスがあって、客席から笑いと拍手が起きました。
 もちろんバンドのPRになるというメリットもあるからでしょうけど、お客さんみんなにより楽しんでほしいという旺盛なサービス精神を感じました。
 




  このトリオは、2011年の東日本大震災がきっかけ、というか、その時の安否を気づかう連絡がもとで生まれたそうです。
 音楽的コミュニケーションもきっと風通しが良いに違いない、そんなことも感じました。
 当たり前のことではありますが、三人とも自分以外の人の出す音にとても神経を張り巡らせているんです。その時その時にできうる限り最良の音を出そうとしているんですね。


 ライブは2セット。時にトニーの歌をまじえながらの実にアツいステージでした。
 最後は、熱烈なスタンディング・オベーション。
 ステージと客席が一体となった、フレンドリーで温かいライブだったと思います。
 





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2018年8月5日 明石、豊中

2018年09月27日 | ライブ
                               ♪豊中の老舗ジャズ・クラブ「我巣灯」。少し鄙びた雰囲気がとてもいい感じです。


【Live Information】


 ジャズの生演奏に浸るべく、思い立って神戸へ来た平成最後の8月。
 4日は神戸に泊まり、明けて5日はまず須磨区へ。


 JR須磨駅で下りると、相変わらずの酷暑です。
 帽子がなかったので、前日は夕方からずっと軽い頭痛がありました。熱射病にやられたのでしょう。
 この日も日射しが強烈。しかし、タオルを一枚頭にかぶせておくだけで全く大丈夫でした。


 須磨寺は、2012年の大河ドラマ「平清盛」で一躍全国的に知られましたが、886年に光孝天皇の命によって建立された福祥寺を始まりとする、歴史のある古刹です。

 


 門前へと続く道沿いには、「亜細亜万神殿」があります。2016年に建てられたもので、中山流石氏が生前アジア各地で収集した石像が奉納されています。
 物言わぬ石像群ですが、不思議な存在感があります。



 

 

 




須磨寺の塔頭「正覚院」は、実は仲良くさせていただいている某ミュージシャンの実家です。


龍華橋。その先には仁王門。


源平の庭。平敦盛と熊谷直実の一騎討ちの場面を再現しています。笛の名手だった敦盛が愛用していた青葉ノ笛は今も須磨寺に伝えられています。


昭和59(1984)年に再建された三重塔。


敦盛塚。1184年の一ノ谷の戦いで戦死した平敦盛の首塚です。この近くにある須磨浦公園の敦盛塚には胴体が祀られています。



須磨駅からは須磨の海が見えます。夏真っ盛り、海への人出も大賑わいです。




 昼からは明石のジャズ・クラブ「POCHI」へ。
 この日の出演は、山口真文(sax)、奥平真吾(drums)、広瀬未来(trumpet)、中島徹(piano)、荒玉哲郎(bass)。
 いわば「日本のウェイン・ショーター」山口真文さんに、小学生時代から天才ドラマーの名をほしいままにした奥平真吾さん。このふたりに、地元関西の実力者である中島さん、広瀬さん、荒玉さんの三人が加わるクインテットです。
 セット・リストは、ショーターやハービー・ハンコックゆかりのナンバーを中心としたものでした。


 奥平さんはぜひ生で聴いてみたかったので、それだけでも明石に来た甲斐がありました。19年にわたるアメリカでの活動歴は伊達ではなく、フレーズのキレ、グルーブ感など、抜群のドラミングでした。
 現在関西で引っ張りだこの広瀬さんの演奏を体感できたのも大満足でした。
 








 明石からは、いったん大阪へ行きます。宿にチェックインしなくてはならないのです。
 なんとかすこ~しだけ携帯電話に充電したあと、休憩する間もなく、すぐに東梅田に向かいます。
 今度は阪急に乗って豊中へ行くのです。
 それにしても、四方八方から人が行き交う梅田の地下街、これを平然とやり過ごせたら日体大の「全体行動」の二手が交錯するやつに出られそうな気がします。(^w^)

 豊中駅で下車し、老舗ジャズ・クラブの「我巣灯」へ。
 すこし鄙びた感じがとてもいい感じのお店です。どこか椎名桔平を彷彿とさせる渋いマスターが切り盛りしています。
 我巣灯では、「テカテカトリオ」のライブが目的なのです。
 吉尾敬彦(piano), 三原脩(bass) & 田中ヒロシ(drums)というメンツの濃さに惹かれてフラフラと豊中へ。(なんちゅーユニット名かw)
 昔よく一緒にやっていたトリオで、いわば同窓会的ライブだそうです。



 
 店内はギッシリ満席。
 大御所たちの、存在感たっぷりの、歌心溢れる熱い演奏は、とにかくとても素敵で、しっかり浸りきりました。
 外の暑さより演奏の熱さで熱中症になるわ、って感じです。(*´Д`*)
 ピアノの吉尾さんは、MCを聞くとコテコテの大阪人な感じなのですが、独特の美学を持っておられるようで、とくにバラードでは情緒豊かな演奏を聴かせてくれました。



 
 ぼくも1曲弾かせていただきましたが、吉尾さんとは、20年ぶりくらい。
 当時オープン間もないミスター・ケリーズはミッドナイトのステージがありました。ぼくが遊びに行っていた時、今は亡き津田清さんが「ちょっと弾いてこい。これも勉強や。なにぃ?楽器がない?楽器なら店の入り口に置いてあるのを使たらええがな」と半ば脅されるようにして上がったステージでピアノを弾いていたのが吉尾さんだったんです。
 ソロの時に吉尾さんが「もう1コーラス行け」と煽ってくださって感無量。ひどかった20年前の自分(今も威張れたもんじゃないですが)を思い返すととても嬉しかった。




 アフターでは大先輩方のいろんな(面白くて)貴重な裏話で時間の過ぎるのもあっという間。
 ぼくもいいトシなんですが、大先輩だらけの前でキンチョーして大人しくしている状況も久しぶりでした(๑˃̵ᴗ˂̵)
 しかし吉尾さんのシャツの柄といい、MCといい、なんか他人のような気がしませんw。駅まで歩く吉尾さんの後ろ姿は、もはや月亭可朝にしか見えませんでした(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ (吉尾さんすみません ^^;)




 いずれにせよ、とても楽しいライブでした。
 三原さん、ヒロシさん、マスターともいろいろ話せて、とてもディープな夜でした。
 ぜひぜひ再演してほしいトリオです。



 こうして西宮~神戸~明石~豊中と続いた、2日間の「関西ジャズ紀行」は終了しました。
 本当は一週間くらいこのようにしてあちこち行くのが理想なんですが、それはまた次の楽しみにとっておこうと思います。
 いずれは東京、横浜、いえいえそれだけではなく、日本全国のジャズ・クラブを巡ってみたいものです。
 
 



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2018年8月4日 神戸、西宮

2018年09月26日 | ライブ
【Live Information】


 時間があったらやりたいことのひとつ、それはジャズ・クラブ巡りです。
 例えば一週間ほど毎晩いろんなジャズ・クラブで、時にはハシゴをして、どっぷりライブの空気に浸ってみたいのです。
 時間も、サイフの中身も必要ですけれどね。
 自分にとっては、このうえないゼイタクです。(もちろん、この場合は「至福の時」とでも言ったらいいのか、まあそんな意味です)
 今年はふと思い立って、8月の4日と5日の二日間でしたが、西宮、神戸、明石、豊中の計5ヵ所でジャズの生演奏を堪能してきました。
 

 今回は交通機関で行くことにしました。
 歩くのは苦にならないのと、神戸や大阪の花火大会と重なっていて渋滞が予想されたからです。
 でも気の向くままあちこち歩くのはわるくないですね。あたりをキョロキョロ見回しながらの徒歩行、とても楽しかったです。
 そして、行く前の大事な作業、つまりいろいろなお店のスケジュールの確認です。
 悩みながら予定を組むのも楽しいものです。


 8月4日(土)
  神戸(ジャズ喫茶木馬→生田神社→異人館→北野天満宮)~西宮(ピアノ・クラブ)~神戸(ソネ→グレート・ブルー)


 お昼前に三ノ宮に着きました。
 快晴、そして猛烈な暑さです。
 今年は、7月上旬に記録的な大雨が降りましたが、その後はくる日もくる日も猛暑日。気温も35℃なんてまだマシ、37℃や38℃の日も珍しくないくらいでした。
 まあしかし、雨にたたられるよりマシだし、なんといっても青空に白い雲、の2トーン・カラーが気持ち良い。


 三ノ宮に着くと、まず北長狭通に向います。
 最初の目的地、ジャズ喫茶「木馬」(MOKUBA'S TAVERN)に行くためです。
 「木馬」は1977年にオープン。1995年の震災を機にトアウエストの一角へ移転、さらに北長狭通へ移転し、今年で42年目を迎えた老舗です。
 座った席のほぼ正面でアニタ・オデイとバド・パウエルが出迎えてくれました。









 少し時間があるので、気の向くままブラブラ歩くことにします。
 まずは生田神社。
 神戸市の神社といえば真っ先に名があがるところで、稚日女尊(わかひるめのみこと)をお祀りしています。
 当初は布引山に祀られていましたが、799年に現在地にある生田の森に移転したと言われています。
 源平合戦の古戦場としても知られていて、梶原景季が境内の梅の一枝を箙に挿して戦った話は有名です。
 ぼくが行ったのはちょうど夏祭りの日で、境内にセットされたステージでは「LUV K RAFT」というバンドがリハーサルをしていました。
 メロディックなパワー・ポップで、とてもカッコ良かったです。
 まだ昼過ぎの早い時間だったので、あまり人はいませんでしたが、それでもぼくを含む立ち止まって見ている人たちにステージからアピールしてくれたりして、思わず聴き入ってしまいました。







 生田神社を出て、中山手通を歩きながら東へ向かっていると、2年前の2016年7月に44年の歴史を閉じたジャズ・クラブ「サテンドール」の看板がまだそのまま残っていました。





 そこから北野坂を北へ上ります。足元には「神戸ジャズストリート」のプレートが。





 北野坂にあるのは異人館。その中で「風見鶏の館」に入ってみました。
 1909年にドイツの貿易商ゴットフリート・トーマスの邸宅として建てられたものです。









 風見鶏の館の東側に石段があります。そこを上ると北野天満神社です。
 1180年、平清盛が都を京都から神戸に移すにあたり、禁裡守護、鬼門鎮護の神として京都の北野天満宮を勧請して建立したといいます。「学問の神様」として知られている菅原道真公をお祀りしています。
 夏らしい青空と、眩しい日射し、そして山の深い緑が清々しかったです。









 その後はJRで移動。西宮のさくら夙川で下車、「PIANO CLUB」へ向かいます。
 オーナーでピアニストの岩崎恵子さんとは何度か共演させていただいたことがあります。
 岩崎さんはNHKのど自慢の関西地区のピアノ伴奏者として知られています。ジャズはもちろん、クラシック、フュージョン、ポップスなんでもござれの実力派です。



ピアノの周りにはジャズ・レジェンドたちの写真が。


この日昼は岩崎恵子(piano)さんと泉正浩さん(bass)の演奏のあと、スタッフでドラマーの和田秀樹さんを加えてのセッションでした。






夕方、神戸に戻ります。
まずは「ソネ」。神戸のジャズといえば、まずソネの名が挙がるのは万人が認めるところ。
この夜のメンバーは、"巨匠"こと岩佐康彦(piano)さんに、畠山令(bass)さんと中村雄二郎(drums)さんの気鋭のリズム隊。そしてボーカルに北牧チカさん。
ベテランの味というか、流石の貫録というか、岩佐さんのピアノはまさに「ジャズ」でした。畠山さんと中村さんのリズム隊の織り成すグルーブもとても気持ち良かった。







1セットだけ聴いて、同じ三宮の「グレート・ブルー」へ。ソネのライブがとても素晴らしかったのでもっと聴いていたかったのですが、迷いに迷ったすえ予定どおり移動しました。
ここでのこの夜の出演者は、オーナーでピアニストの安藤義則さんと、ボーカルの新井雅代さんのデュオ。
安藤さんもキャリア充分のベテランで、神戸のジャズ・シーンを支えているおひとりです。
新井さんは関西を代表する実力派ボーカリストのひとり。新井さんと知り合ってもう20年以上。変わらず仲良くさせてもらっています。



お店に着いたのは1セット目の途中。新井さんの歌もステージでの立ち居振る舞いも、抜群の存在感でした。
安藤さんと新井さんがお声がけくださって、というかご厚意で2セット目と3セット目はほとんどベースを弾かせてくださいました。
客席には100BANスタジオのオーナー李さんと、ボーカリストのシェリー高木さんのお姿も。



演奏後にはなんやかんやと話も盛り上がりました。
「ジャズに浸る2日間」、初日は満足感と心地よい疲労感に満たされました。おかげでグッスリ、と言いたいところですが、グレート・ブルーで演奏した緊張感と興奮がなかなか消えず、寝付くのにかなり時間がかかってしまいました。
それにしても、濃密で楽しい一日でした。
翌日のスケジュールをチェックして、シアワセな気分で宿のベッドに入りました。

 
 


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小柳淳子 & 鈴木泰徳 @岡山壱番館

2018年09月24日 | ライブ
【Live Information】


 ボーカルとドラムのデュオというフォーマットは、「セット・リストにバリエーションをつけるため、ひと晩に1~2曲」、、などの理由で聴いたことはあったけれど、「ひと晩ガッツリ全曲」というのは人生初の体験でした。
  


 
 
 小柳淳子さんと鈴木泰徳さんは、ともに関西を拠点として活動しています。ジャズはもちろん、様々なジャンルやフォーマットで活躍中です。
 小柳さんの、圧倒的なエネルギーを放出しながらの強烈なスキャットは以前から好きだったし、「ボーカルとドラムのデュオ」という変態的な組み合わせに好奇心を抱いたので、早々と予約して楽しみにしていました。





 曲は、いわゆるスタンダードなジャズ・ナンバーがほとんどでした。
 決めているのは、「セット・リストと、せいぜい各曲の出だしのリズム」くらいじゃないかな、と思わせるような、自由な展開でした。エネルギッシュで、幅広いふたりの音楽観が垣間見えるような、ユニークなステージでした。
 いわゆる「即興」的なアプローチがあるかと思えば、しっかり正統的に歌い上げたりと、ひとつの地点に膠着することのない展開、自在に多彩なリズムを操る鈴木さんのフレキシブルなドラムや、ややハスキーな声で奔流のようなスキャットを繰り広げる小柳さんの歌など、いろんな魅力がありました。


 

 
 圧倒されたというか、あっけにとられたというか、圧巻だったというか、、、
 なにせ、みっつの「あ」がしっかり脳に刻まれています。(^^)
 こういうユニークな組み合わせを思いつく方も思いつく方wだし、やってしまう方もやってしまう方(^w^)です。敬意を込めて脱帽ですね~~~(^^)






2018.9.15(土)
 小柳淳子(vocal)
 鈴木泰徳(drums, percussion) 
 @岡山壱番館




 
 


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サイラス・チェスナット & 中村健吾 Live at 岡山蔭涼寺

2018年08月20日 | ライブ
【Live Information】

 サイラス・チェスナットといえば、「現在のジャズ界で最高峰のひとり」と評されることもある名ピアニストです。
 そのサイラスが、日本ジャズ界屈指のベーシストで、アメリカでも高く評価されている中村健吾と岡山に来るというのだから、これは行かない訳にはいきません。





 素晴らしいテクニックはもちろん、その巨体とユーモラスでフレンドリーな人柄でも知られるサイラスは、ブラック・ミュージックのルーツであるブルース、ゴスペル、バップをバックボーンとしている名手です。
 共演する中村健吾は、1998年にサイラス・チェスナット・トリオに加入した経歴もあり、いわばかつてのボスの元での「再会セッション」ということになるのでしょうか。





 ライブは2セット。
 サイラス&中村のデュオ、サイラスのソロ、そして最後に再びサイラス&中村デュオ、という構成でした。
 どちらかというと、われわれ日本人向けというか、日本のジャズ愛好家になじみがありそうなナンバーを中心に演奏しているようでした。
 その巨体と相まって、サイラスの演奏ぶりは貫録充分。
 演奏中には中村氏にたびたび合図を送っていました。それだけ見ても、サイラスがこのツアーのボスなんだろう、と推測できましたが、中村氏がつねにサイラスを見ており、サイラスからの合図、つまり指示に素早く、そして忠実に反応していたのが印象的でした。こういうことひとつが、ピアニストからすると安心して任せられるベーシストということになるのでしょう。
 MCはサイラスが短めにとっていましたが、分かりやすい英語で話そうとしてくれているのがよく伝わりました。伝えづらいところはすかさず中村氏が通訳したりして、ここでもふたりのコンビネーションの良さがわかりました。





 中村氏のベースは決して派手ではありませんが、「なるほど、こういう演奏をしているから共演者から厚い信頼を得られているんだ」と思わせられる、堅実なものでした。
 揺るぎなくタイム感を維持し、生き物のようにグルーブし、きちんとコード進行を伝え、しっかりジャズを味わえるベース・ラインを作り、一拍をちゃんと長く弾き、共演者の要望や指示に即座に反応する。当たり前のことではありますが、これだけ懐の深い安定したベーシストが共演者であれば、「安心して演奏できる」ばかりか、自分は巧くなったような気分にさせてくれる、稀有なベーシストなのではないか、としみじみ思いました。


 しかしそういう難しいことを抜きにしても、雰囲気のある濃い、そして楽しいライブでした。
 これだけの名手なら、聴くことができる時には聴いておかなかれば。(^^)
 

 




サイラス・チェスナット(piano) & 中村健吾(contrabass)
2018年5月17日(木)
岡山蔭涼寺
 







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福盛進也トリオ@岡山城下公会堂

2018年04月08日 | ライブ
【Live Information】


 福盛進也トリオを体感するのは2度目です。
 ツアーで岡山へ来るのを知って、すぐに席を予約しました。
 
 
 


 福盛くんの存在は、今の日本のジャズ・シーンの大きな話題のひとつでしょう。
 自分の音楽を追求、実現するためなんの伝手もないドイツに渡り、ミュンヘンを拠点として道を切り拓いてきた彼は、夢だった「ECMからのCDリリース」を実現させました。日本人としてECMからリーダー作を出したのは、あのマイルス・デイヴィスからも声をかけられた菊地雅章以来2人目の快挙だそうです。





 この夜の出演は、伊藤ゴローデュオ(伊藤ゴローguitar、佐藤浩一piano)と、福盛進也トリオ(福盛進也drums、マテュー・ボルデナーヴsax、ウォルター・ラングpiano)です。
 伊藤ゴローデュオには福盛くんも3曲ゲストとして参加しました。当初は2曲の予定だったそうですが、伊藤さんの「心地よかったから」というたってのリクエストで急遽もう1曲、という嬉しいプレゼントでした。


 


 福盛くんの音楽は、いつも思うことですが、音色とダイナミクスが美しい。
 ウォルターの作る空間を自由に泳ぐマテューと福盛くん。
 あるいは福盛くんの創りだす自由な流れにたゆとうウォルターとマテュー。
 リズムを刻みにかからない福盛くんのドラムはとてもユニーク。とくにシンバル・ワークには、他の追随を許さない、彼にしか出せない味があります。


 


 和と洋、叙情的、かきたてられるイマジネーション、熱を秘めた静、聴く絵画、磨かれる感情・・・
 いろんな感じ方が詰まっていました。
 福盛くんのスティックは絵筆なんじゃなかろうか、と思ったくらい自分の体のいろんな部分が刺激されました。
 それと、何と言っていいのかうまく言葉にできませんが、福盛くんの存在感がより大きくなった気がしました。
 音楽的というよりも、彼のがここ数年に体験してきた出来事の重みが伝わった気がした、というか。。。
 福盛くんは、「ぼくはただ自分を信じてやってきただけですよ」とニコニコ笑っていましたが。


 


 


 今回のツアーは行き先々でソールド・アウトだったようです。
 ツアーの成功、陰ながらですがお祝いを申し上げます。
 今後の福盛くんが創りだす音楽がさらに楽しみになってきました。


 
 福盛進也トリオ「For 2 Akis」



 福盛進也トリオ ライブ
 2018年4月1日(日)
 岡山城下公会堂
 福盛進也トリオ:are
   福盛進也(drums)
   ウォルター・ラング Walter Lang(piano)
   マテュー・ボルデナーヴ Matthieu Bordenave(sax)






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大森明クインテット at 岡山BIRD

2017年12月06日 | ライブ
【Live Information】


大森明クインテット(Jazztet) Live at 岡山Bird

2017年11月29日(水)
 




バップの薫り濃厚なクインテット。

2管編成はやっぱり豪華です。

それも日本ジャズ界屈指の名手ふたり。



そのフロントを支え、盛り立てるリズム隊がこれまた凄腕ぞろいなのです。

まったく素晴らしいライブでした。



ともすればコンテンポラリーなジャズに目が行きがちですが、

熟練の名手たちが正面切って演奏するジャズは、風雪を経て樹齢を重ねた大木のような重みがあります。

それをたっぷりと味わえた昨夜でした。

2時間聴いても聴き足りなかったです。



このバンド、11月30日姫路ジョージ・アダムス、12月1日明石Pochiと、ツアーは続きます!





♪大森明(sax)
♪村田浩(trumpet)
♪越山満美子(piano)
♪石橋敬一(bass)
♪東敏之(drums)








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田中ヒロシトリオ Live at 武庫之荘Mクアトロ

2017年11月07日 | ライブ
【Live Information】


 11月2日
   田中ヒロシトリオ
     @武庫之荘Mクアトロ

       ・田中ヒロシ(drums)
         ・志水愛(piano)
           ・光岡尚紀(bass)

 


 思い立って尼崎に行きました。
 翌日は祭日で休みだし、前から聴いてみたかった田中ヒロシ(drums)トリオが尼崎は武庫之荘ににあるMクアトロに出演するからです。


  

 
 ヒロシさんは、関西を拠点に全国で活躍している名ドラマー。
 何度か共演させていただいたことがあるし、演奏も何度も聴いたことがあるのですが、ヒロシさんのレギュラー・トリオを聴くのは初めてです。
 このチャンスを逃してなるものか、と仕事を終えるや否や尼崎に向かいました。


 

 


 「F.S.R.」、「ジプシー」、「アローン・トゥゲザー」etc...
 バップ・チューンが目白押しです。
 フレキシブルな3人の演奏、ひたすら楽しかった。
 ぼくの「いいトリオですね~」との問いに、
 「何にも言わんでもこのふたりはどんどんやってくれるからな~」とヒロシさん。
 自分だけの時間に、ひたすら目の前の音に浸るシアワセ。(^^)
 ほんまいいトリオやな〜
 こうしてケレン味たっぷりに真正面からバップを聴かせてくれるトリオは貴重だと思います。
 途中で1曲シットインさせていただきました。


 

 


 何回でも言いたくなるな~。
 ライブでジャズに浸るこのシアワセ。
 あぁシアワセ。٩(๑❛ᴗ❛๑)۶


 

 




  



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平賀マリカ & ハクエイ・キム Live at 岡山SOHO

2017年11月05日 | ライブ
【Live Information】


♫2017年10月31日
  平賀マリカ & ハクエイ・キム Special Duo 
  Live at 岡山SOHO  


 一日じゅうあれやこれやに追われて疲れ果てる。
 夕方になってやっと「自由の身」になり、夜にいいライブを聴く。
 すると、いろいろあった大抵のことはどこかに消え失せ、今日いちにちを「有終の美」で終えられる。
 今夜もそんな感じで一日がシアワセに終わりそうです。
 (うちのお子たちがぼくになにかしでかさないかぎり、ですがwww)


  
 

 ニュー・アルバム「VINTAGE」の発売記念ツアーで岡山を訪れた平賀さんのライブがありました。
 平賀さんとお会いしたのは、一昨年10月の岡山ライブでベーシストを務めさせていただいて以来です。 
 久しぶりに平賀さんにお会いしたかったし、フォーマットは前々からぜひ一度聴いてみたかったハクエイさんのピアノとのデュオという、魅力的なライブ。
 これはジャズ・ファンなら誰しも食指が動くのではないでしょうか。


 


 お店はぎっしり満席でした。
 期待どおり素敵なデュオでした。
 歌声はやわらかいし、歌はナチュラルでしっとりすんなり耳に入ってくるし、気がつくと自分の部屋にいるのかというくらいリラックスしてました。(^w^) 
 歌ごとにお店の雰囲気が変わったように思えたのもステキでした。
 ハクエイさんは聞き及んでいた通りのイケメン好青年。しかしピアノはどこか骨っぽくて、それでいて詩的。
 歌との共演なのですが、舞台でお芝居とコラボしているような演奏、というか、ピアノで情景が目に浮かんだというか、そんなところがいくつかありました。バラエティに富んだアレンジも楽しかったです。
 ラストで聴かせてくれたゴスペルタッチのブギっぽい「Cheek to Cheek」、これはツボでした。とてもカッコよかった~(^^)b


  
 
 
 演奏後は久々に挨拶もできました。
 もちろん、ニュー・アルバムも購入いたしました。
 茶目っ気のある平賀さんの顔も見ることができたし、たまたま同席してくださったのが気のおけない音楽仲間たちだったこともあって、今夜も楽しく過ごすことができました。
 帰ってお風呂に入ったら、全身が気持ち良くユルんでしまいました。いい気分です。
 おかげで今日一日の「有終の美」を飾ることができました。(^^)


 




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栗林すみれ&金澤英明Duo Live at 岡山SOHO

2017年10月30日 | ライブ
【Live Information】 
 

 あっという間に時間が経ってしまった。
 あ~~~楽しかった!
 聴き終えた時、満足感のほかに充実感まで味わえるという、濃密な2時間。
 日常で流れている2時間の何倍もがぎっしり詰まったような2時間。


 


 栗林すみれ(piano)と金澤英明(bass)のふたりによる、アルバム「二重奏」リリース記念ツアーでした。
 栗林さんはここ数年でめきめき頭角を現してきた新星。
 金澤さんは、言うまでもなく日本ジャズ界の重鎮にしてトップ・ベーシストのひとり。


  

 
 金澤さんはいつ聴いても金澤さん。音色も、生み出すグルーブも、歌も、なにもかも。
 でも、いつも「あ、こんな風な金澤さんもあるんやなあ」と思わせてくれるんです。「豪放磊落」なイメージばかりではなく、繊細だったり優しかったり。
 でも音はいつも凛と、あるいは毅然としているように思うんです。


   
 

 栗林さんは、ピアノで歌い、語り、感じ取り、喜んでいる。
 とても美しいサウンドでした。
 言いたいことが指先からピアノに流れ込んでいるようにも思えるし、逆に自分で自分の音に触発されているようにも思えました。
 豊かな表情も、とても魅力的でした。
 そして、澄んだ綺麗な声で小さく歌いながらのアドリブには、聴いたことのないような響きがあって、うっとりしてしまいました。


 
 

 このふたりの出す音は、まさに会話でした。
 ベースは、ピアノが何をどう語ろうがどこに行こうが即座にそれに反応して、「もっともっと言いたいことがあるだろう、言ってごらん」とあおったり、相槌を打ったり、黙って聞いてあげたり、一緒になってしゃべってみたり。
 ピアノはピアノで、周りに誰かがいるとかいないとかは全く気にせず、言いたいことを言いたいだけ言っている感じです。だって信頼しているベーシストがすべて受け止めてくれるのですから。小声でつぶやいたり、急に可笑しさをこらえられなくなったり、こみ上げる感情の波を抑えられなくなったり。天衣無縫とでも言うのでしょうか、それらがごく自然にこぼれ出しているのです。
 そして終始緊張感があって、無垢で、どこか荘厳な雰囲気に満ちていました。
 なかでも、「I Loves You Porgy」や「Waltz Step」には心底しびれました。
 そして、ふたりともアンプラグドだったので、ふくよかな生音で聴くことができました。これも演奏が心に響いたひとつの理由でしょう。


 実に清々しい思いのするライブでした。
 そこには年齢差など関係のない、ひとりのピアニストとひとりのベーシストが、お互いに愛を込め、敬意を払って、ふたりにしか出せない音楽を創っていた、、、というと大袈裟かな。
 でもぼくにはそんな気がしたんです。


 



 

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高橋知己&志水愛Duo @岡山JORDAN

2017年09月25日 | ライブ
【Live Information】 
  
 
 あっという間の2時間でした。
 楽しい時ほど、とても早く過ぎ去ってしまいます。


 

    
 高橋知己(たかはし・ともき)さんは、エルヴィン・ジョーンズ(drums)のバンドに参加していたこともある、日本ジャズ界有数のテナー・サックス奏者です。
 ジョン・コルトレーンから多大な影響を受けたということでも知られている高橋さんですが、奇しくも昨日9月23日はコルトレーンの誕生日。その昨夜は、「コルトレーン・ナイト」と銘打った京都RAGでのライブに出演したんだそうです。そしてこの9月24日は、コルトレーンの写真(ピアノ真上のD. ジョーダンの写真の、向って左にかけてある)に見守られながらのライブです。
 曲によって音色をコントロールしながらの、いぶし銀の演奏のなんて沁みること。
 ぼくはコルトレーンの「バラード」というアルバムが好きなのですが、とくに「Gypsy」を吹く高橋さんの、まるでコルトレーンかと思わせられるようなトーンは圧巻でした。一瞬、「バラード」を聴いているかのような錯覚に陥ったほどです。
 
 
 


   


 ピアノの志水愛(しみず・まなみ)さんは、現在赤丸急上昇中の関西のホープ。
 彼女のピアノは6月に芦屋で聴いて以来。相変わらずのキュートで楽しいキャラクターはとても魅力的でした。
 しかしいったんピアノに向かうや、その音はなんとも玄人好みというか、ジャズの香り満載です。
 小気味よいスイング感。
 サックスをより際立たせるような表情豊かなピアノ。
 これぞジャズにおける即興性の面白さを発揮した「コラボレーション」です。
 若さにまかせて勢いだけで弾きすぎるところがないのも良かったです。
 若い女性とは相反するような「渋味」を持ち合わせているように思いました。


 
 
 
 セカンド・セットでは、高橋さんに呼びこまれて地元のトランペッター新宅巧治郎くんも参加。
 アンコールのあと、最後は「恒例の集合写真を撮る古川マスターを撮」り、自分でもよくわからん満足感wを味わいました。


 


 
 

 「これぞジャズ」な、濃厚な演奏をたっぷり味わえた夜でした。とても満足しています。
 ベテランならではの温かみとゆとりの感じられる高橋さんと、引き出しが多くて歌心たっぷりの志水さんのデュオ、これこそが1+1が3にも4にもなるという見本だったと思います。
 お互いが相手の音を体の奥まで取り込んでしっかり感じようとしているような、そんな印象も受けました。
 とくにピアノからすると、サックスという単音楽器との共演という立ち位置もあると思うのですが、できるだけのことをしてサックスをもっと後押ししたい、もっと吹きたいように吹いてほしい、とでもいうような意識が感じられたような気がしました。
 「ふたりで音楽を創りあげている」という、このようなウォームな感覚は大好きです。


 


 しかしいい音を聴くと練習したくなるな。 


  






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