ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ドント・ルック・バック (Don't Look Back)

2006年11月23日 | 名盤


  1976年にリリースしたデビュー作が全米3位にまで上ったボストンのセカンド・アルバムが『ドント・ルック・バック』です。日本語で「新惑星着陸」というサブタイトルがつけられています。
 ジャケットにはギターをかたどった宇宙船が、サブタイトル通り、着陸しようとしているところが描かれています。新世界に到達した乗組員の期待と、ボストンの新作を手にしたファンの期待と喜びを掛けているのかもしれないですね。


     


 当初は1977年11月にリリースされる予定だった『ドント・ルック・バック』ですが、リリースは78年春に延期され、さらに8月に延期されました。それはより完璧を期すために、リーダーのトム・ショルツによって、制作に徹底的に時間がかけられたためです。なんでも、録音に3ヶ月、ミックス・ダウンに1年2ヶ月を費やしたということですが、これなどショルツの職人気質というか、妥協を許さない徹底した音作りの姿勢がよく現れている話だと思います。
 ボストンのリーダーであるショルツは、作詞作曲、アレンジ、ギター、キーボード、プロデューサー、エンジニア、ミキサー、ジャケット・デザインのコンセプトに至るまでひとりで手掛けていて、その才人ぶりには驚かされるばかりです。


 ボストンのサウンドは、分厚いギター・サウンドによるオーケストレーションを特徴にしていますが、この作品でもツイン・リード・ギターが大活躍しています。
 ハード・ロックの持つドライヴ感、アメリカン・ポップスの持つポップ性、プログレッシヴ・ロックを彷彿とさせる緻密でスペーシーな音、これらが絶妙に混ざり合ったものがボストンのサウンドだと言えるでしょう。当時は「アメリカン・フログレ・ハード」などというジャンルにカテゴライズされたりしていました。
 各パートはショルツの細かな指示に従ってプレイしているようで、ボストン=ショルツと言い切ってもよいかもしれませんね。


     


 ボストンは寡作で知られ、デビューから30年間で発表したアルバムはわずか5枚(ベスト盤除く)。もうちょっと次回作までのインターバルが短くなればいいのに、と思っているファンも多いことでしょう。もちろんぼくもその中のひとりです。



◆ドント・ルック・バック/Don't Look Back
  ■歌・演奏
    ボストン/Boston
  ■リリース
    1978年8月2日
  ■プロデュース
    トム・ショルツ/Tom Scholz
  ■収録曲
   [side-A]
    ① ドント・ルック・バック/Don't Look Back (Scholz)
    ② ザ・ジャーニー/The Journey (Scholz)
    ③ イッツ・イージー/It's Easy (Scholz)
    ④ ア・マン・アイル・ネヴァー・ビー/A Man I'll Never Be (Scholz)
   [side-B]
    ⑤ フィーリン・サティスファイド/Feelin' Satisfied (Scholz)
    ⑥ パーティ/Party (Scholz, Delp)
    ⑦ ユースト・トゥ・バッド・ニュース/Used to Bad News (Delp)
    ⑧ ドント・ビー・アフレイド/Don't Be Afraid (Scholz)
  ■録音メンバー
    ブラッド・デルプ/Brad Delp (lead-vocals, harmony-vocals)
    トム・ショルツ/Tom Scholz (electric-guitars, acoustic-guitars, bass, organ, piano, percussion)
    バリー・グドロー/Barry Goudreau (guitars, percussion)
    フラン・シーハン/Fran Sheehan (bass, percussion)
    シブ・ハシアン/Sib Hashian (drums, percussion)
  ■チャート最高位
    1978年週間チャート  アメリカ(ビルボード)1位、イギリス9位
    1979年週間チャート  アメリカ(ビルボード)72位



コメント (10)
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