ハウンド・ドッグがデビューしたのは、ぼくがまだラジオの深夜放送を聴いていた頃のことです。デビュー曲の「嵐の金曜日」のスポットが毎晩かかっていました。バンド名から察するに、サウンドの中心はロックンロールをベースにしたものなんだろう、くらいの見当はついていました。「嵐の金曜日」自体はバラードでしたが、とてもダイナミックな雰囲気を持っていて、出だしのメロディーが妙に耳についたものでした。
「涙のBirthday」は「嵐の金曜日」と並ぶ、ハウンド・ドッグ初期の傑作バラードだと思います。アルバム「POWER UP!」に収録されています。アレンジは2パターンあるのですが、ぼくはシングル盤のアレンジの方が好きです。
しっとりとピアノで始まるイントロ、ギターが被ってきます。
大友康平氏のヴォーカルはほんの少しかすれた感じ。男っぽい、骨のある歌声を聴かせてくれます。メロディーはとにかくドラマティック。エンディングのリフレイン部分の大友氏のシャウトは聴き物です。それにからむように演奏されるギターソロがまたカッコいいんですよね。
ハウンド・ドッグ『POWER UP!』
彼らは積極的なツアー活動を展開していました。初期の頃の日比谷野音でのライヴ・アルバムを聴いたことがありますが、最初から最後まで弾け通し、爆発的なエネルギーで聴衆を圧倒しています。このパワーで少しずつファンを増やしてゆくさなか、ちょうど「涙のBirthday」が発売される前に化粧品メーカーのCMソングとして「浮気なパレット・キャット」というロカビリー調の曲がスマッシュ・ヒットしました。そのあたりから「ハウンド・ドッグ」の名が徐々に浸透してきたんじゃなかったでしょうか。
1985年にff(フォルティシモ)のビッグ・ヒットを放って大ブレイクしてからの活躍は皆さんご存知の通りですね。
初期のハウンド・ドッグ=ロックン・ロールのイメージが強かったので、この「涙のBirthday」の主人公の男女もなんとなくリーゼントにポニー・テールなんじゃないか、という気がするんです。
彼女の20才の誕生日の夜に、オトナの別れを経験するふたりを描いていますが、同じような体験をした若者、あるいはそういう場面に共感を覚える人たちによってこの曲はとても支持されていたように思います。爆発的にヒットしたわけではない曲ですが、この曲が好き、という人、結構多いみたいです。
初期のハウンド・ドッグ
今、ハウンド・ドッグはとてもややこしいことになっているらしいですね。もう元の鞘には収まらないのでしょうか。ファンの人たちにとってみれば、気が気でないところでしょう。早く丸く決着がついてほしいところですよね。
[歌 詞]
◆涙のBirthday
■歌・演奏
ハウンドドッグ
■シングル・リリース
1982年9月1日
■作詞・作曲
八島順一
■収録アルバム
POWER UP!(1981年)
■ハウンド・ドッグ
大友康平(vocal)
八島順一(guitar)
高橋良秀(guitar)
蓑輪単志(keyboards)
海藤節生(bass)
藤村一清(drums)