ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

雨の夜の再会

2014年04月29日 | 価値観


 【Live Information】 



 毎月第4月曜は、岡山市にある老舗ライブ・バー「ピアノ・バー」で演奏することになっている。
 4月の第4月曜である28日の夜はあいにくの雨だったが、そんななかライブを聴きにきてくれたFくん。
 
 
 まだ20代のころ、いっときは本当によくつるんでいたものだ。
 当時はふたりともいろんな傷にまみれていて、それでもなんとか人生を立て直したいともがいていた。
 なかなかのドラマーだったFくんとはいっしょにバンドを組んだり、夜中まで人生についてあれこれアツく語り合ったり、なけなしの金で買ったタバコを分け合ったり、という仲だった。
 財布に残っていたのがたった300円という崖っぷちの状態だったが、パチンコ店で運試しして見事に終了させ、タバコを買い、Fくんの車にガソリンを入れ、遊びに行った、ということもあった。


 ところが、ある約束を守れなかったぼくのせいで、そのことを境に顔を合わすことがなくなってしまった。
 たまに彼のことを思い出すことはあったが、なんとなく月日は流れ、ぼくはぼくの、彼は彼の世界の中で一生懸命生きていた。


 そのFくんが、その夜、20数年ぶりに会いにきてくれた。
 たまたまぼくのライブ情報を知って、あちこち訪ねてくれていたそうだ。
 ドラムはもう20年も叩いていないという。


 共通の知人の消息をむさぼるように訊ねたが、兄のように思っていた、当時とてもお世話になった上司が、10年ほど前に自動車事故で亡くなったというのを聞いて、一瞬呼吸ができなくなってしまった。


 Fくんは、演奏を聴いたあとで「また叩きたい」と言ってくれた。
 また会うことを約束して、彼は帰っていった。


 兄がわりだった上司の死、疎遠になっていた友人と再びつながったこと、そして彼の音楽生命の復活。
 その友人がぼくのことを「自分の人生に少なからず影響を与えてくれた」と言ってくれたこと。


 自分に起こるできごとはすべてつながっている。そしてそれらには意味がある。
 きょうのできごとには意味があり、そこから何かを教わり、そのできごとが起点となって、未来に何かが実るのだ。


 今夜のできごとはきっと思い出に残るだろう。




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コメント
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