ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

才能

2019年05月09日 | 価値観
【Live Information】

 「才能がある」
 「才能がない」
 才能が有るのか無いのか、この問いを自分や他人に向けたことのある人って、自分も含めて少なからずいると思います。
 才能が有ると、道が開ける。才能が無い人はいくら努力しても実らない。
 いつしかそんなイメージを持つようになることも多々あると思います。
 そもそも才能っていったいなんなのでしょうか。


 言葉の意味としては、「持って生まれた天賦の能力」というのが一般的な認識でしょう。
 もっとも、いくら才能があっても努力してこそ実を結ぶもの、という考え方もありますが。
 とにかく、知らず知らずのうちに「才能とは一握りのいわゆる成功者だけが持っているもの」、つまり「凡人にはあまり関係のないもの」と思いこんでしまっていることが多いのではないでしょうか。
 でもどこかで「自分にも才能があったらいいなあ」という淡い期待も持っているものだと思います。


 30年以上も前、ある先輩がこう言っていました。
 「好きになることが才能なんだ」
 その時はその言葉に地味な印象しか抱かなかったし、「才能」ってもっと華やかで、特別なものだと思っていたので、「ふ~ん、そんなもんか」くらいにしか思いませんでした。


 考えてみると、世の中には損得を抜きにして、理屈抜きに「好きになること」がたくさんあります。
 音楽、料理、麻雀、書道、散歩、ペット飼育、切手収集、旅行、映画、車、文学、大工仕事、スポーツ、珈琲、山歩き、読書、プラモデル、植物栽培、写経、作画、ファッション、バイク、彫刻、ダンス、庭いじり、お菓子作り、お笑い、観劇、温泉、食べ歩き、美術鑑賞、寺院巡り、編み物、化粧、機械いじり、酒、アクセサリー、工芸品etcetc・・・
 これらは趣味とも言えるし、生きざまとも言えるでしょう。
 そしてこんなにたくさんの「人間が好きになる可能性のある領域」がある中で、よりによって(ぼくを例にとれば)音楽、つまり聴くことと演奏することの両方を好きになるように生まれたのは、考えてみれば不思議なことです。
 今では、これもひとつの『縁』だと思っています。
 頑張らずに好きになったこと、ってそういう意味では「才能」なんですね。
 頑張らなければ、努力しなければ好きでいられない状況はやはり「好き」とは言えないと思います。


 もちろん日々の積み重ねを抜きにしてはより良い音楽にはならないでしょう。
 また、そういう高みへなかなか到達できない時は、萎えたり落ち込んだりもするでしょう。
 そんな時には、自分が音楽と出会い、好きになり、長い付き合いをしていることを思い返してみるのもいいものだと思います。
 「音楽のない人生」は考えられないことが再認識でき、音楽と出会ったこと、音楽を好きになったことに対して改めて有り難く思えるのではないでしょうか。
 そういう「喜び」は意欲的に音楽しつづけていける後押しをしてくれるものだと思っています。



 

 
コメント (1)
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