ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト 【2】

2020年06月15日 | 随想録

【Live Information】


★毎日1枚、自分に影響があったアルバムをご紹介するプロジェクト ★

  
【2】 ガッド・ギャング 「The Gadd Gang」

 
 高校に入ったぼくは、「これはきっとモテるはず!」というだけの理由でドラムを始めたんですが、なんとしたことか、1年の3学期には半ばしぶしぶベースを弾くハメになります。
 ところがベースを始めて数か月くらい、高校2年の時に縁あってジャズのビッグ・バンドに入ることになり、人様の前で演奏するようになりました。
 だからぼくはジャズが好きでジャズを始めたわけではないのです。
 
 
 それでも時々「君うまいね!」とか「すごい」とか言われることがあって、それが生意気な態度に拍車をかけていたんだと思います。(まあ今でも態度が大きいことに変わりはありませんが
 当時は、音楽がどうのというより、自分が目立つことの方が大事だったんです。要するに、人前で演奏できる自分のことを得意がっていただけだったんですね。
 
 
 そんなわけで、当時一緒に演奏する機会のあった大先輩がたからはよくお叱りを受けました。
 まだ本来の意味のキャバレーが数軒残っていたころです。
 
キャバレーのバンドで長年演奏している大先輩がたの演奏は、さすがに当時のぼくなんかでは太刀打ちできないものでした。
 当時よく文句を言われていたのは「スウィングしろ!」ということ。
 クソー!と思って頑張って弾くんですが、なにをどう弾いても「アカン」「ダメ」「音が短い」「走る」「遅れる」「態度がデカい」「勉強しろよ歯みがけよ」等々文句を言われるばかり。4ビートのグルーブというのが全然わからなくて、悶々としていました。(いま思うと単なる練習不足。おまけに4ビートだけじゃなく、得意だと思っていた8ビートや16ビートも分かってなかったですね)
 
 
 そういう時に、スティーブ・ガッドがリーダーのバンドのアルバム、というだけで買ったCDが「The Gadd Gang」でした。
 「The Gadd Gang」は、スティーブ・ガッド(drums)を筆頭に、コーネル・デュプリー(guitar)、リチャード・ティー(piano, keyboard)、エディー・ゴメス(contrabass)、ロニー・キューバ(bariton-sax)という、泣く子も黙り地頭も踊りだす、という名匠が集まったスーパー・グループです。
 このアルバムの1曲目はボブ・ディラン作の「ウォッチング・ザ・リバー・フロウ」ですが、これがR&Bの香りがするゴキゲンな4ビートなんです。
 当時のぼくにとってはこの曲の4ビートが実に分かりやすく、初めて「これが4ビートのグルーブなんだ」というのをはっきり感じることができたんですね。
 グルーブ感を実感させてくれたことは、明らかに自分にとってのターニング・ポイントだと思っています。
 
 
 この頃になってやっと自分の耳が4ビートに馴染んできたんでしょう。レッド・ガーランドの「Groovy」をはじめ、ケニー・ドリューやウィントン・ケリー、オスカー・ピーターソンのアルバムをたくさん聴いて4ビートのグルーブをさらに体に沁み込ませようとしたものでした。
 グルーブする感覚がちょっとわかってくると、ジャズを演奏するのがちょっと楽しく感じられるようになりましたね~



コメント
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