ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

桑野信義さん

2023年11月01日 | GROOVYの日々

【Live Information】


 先週金曜のこと。
 早い時間はお客さんもおらず、付き出しを作ったり、コントラバスの練習をしていたときにふと気づいた着信履歴。
 地元の先輩ミュージシャン、トランペッターの三村さんからです。
 折り返し電話すると、すぐにお店に現れました。
 「もうちょっとしたらクワマンさん来るから」
 クワマンって、桑野信義さんのことですよね。
 シャネルズ(のちのラッツ&スター)のトランペッター、『志村けんのバカ殿様』で家老を演じたあの桑野さんですよね。


 ぼくはちょっと構えたところがあって、有名人がいても全然キャーキャーワーワーならないし、なんなら近くに来られると「お願いこっちに来ないで~」と逃げたくなってしまうんです。
 でも興味がないわけでもないし、いい加減年も取ったので、店主としてちゃんとした対応をしなくちゃ、と心の準備はしておりました。


 そして桑野さん到着です。
 ドアを開けて入ってくるや、きちんと立ち止まって軽く、でも折り目正しく「こんばんは」と一礼されました。
 こういう状況で、しかもお客として来られてこんなにちゃんと挨拶される方をとてもとてもとても久しぶりに見ました。
 もうそれだけでぼくの心の扉はフルオープンです。


 たまたま近くにいた音楽仲間が遊びに来てくれました。
 桑野さんたら最初からとてもフレンドリーで、すぐにみんなと打ち解けました。
 みんなの名前を聞いて、すぐ愛称(サッちゃんとかクロちゃんとか)で呼ぶんですけれど、ふと気づくと桑野さんって分け隔てなく声をかけているんです。
 ぼくの経験だと、友人同士でもだいたい6人くらいになると宴席がふたつ(あるいはそれ以上)に割れちゃうんですね。そのうえ席が近い人とだけとか、気に入った人だけと話す人がほとんどなのですが、桑野さんってまんべんなくみんなに声をかけてるんです。


     


 桑野さんが大きな病気をされたことはニュースなどで世間に広まっています。
 うちの先代も、部位は違うけれど同じ病です。
 お店を受け継いだ経緯を話すと、桑野さん、「今からママここに来れないかな」
 元気づけてあげたい、と。
 電話してみると、さすがに夜も遅かったので「今夜はちょっと行けないわ~」とのこと。
 そこで桑野さんに電話を代わってもらいました。
 「頑張らなくていいんだよ」とか
 「一緒に治していこうよ」という言葉が漏れ聞こえました。
 「『自分のことよりも』っていう方なんだなあ」と思ったら、ちょっと胸があつくなってしましましたよ。


 そして、ミュージシャンが集まればセッション・タイムです。
 秋なので、「枯葉」からスタート。
 「酒とバラの日々」をやって、ブルースをやって。
 少人数でトランペット2本なんてあんまり体験でない編成なので、もうワクワクです。
 桑野さんのトランペット、艶のある音色で、とっても歌うんです。
 バップ色の濃い三村さんと個性の違いがはっきりしていて、すごく楽しかった。
 締めは、「おれ歌おうかなあ」。
 「ジョージア・オン・マイ・マインド」を歌う桑野さん。
 これがまた上手くって、ウェットで、情感たっぷりなんです。
 「架空楽団」結成以来のメンバーで、ムーンライダースやあがた森魚、佐野史郎、鈴木茂などなどとの共演経験もある地元の名物歯科医・黒瀬さんがずっとギターを弾いてくれました。
 一緒に来てくれたサッちゃん、タカちゃん、モトちゃんも終始盛り上げ盛り上げられ。
 こんなサイコーに楽しいセッションって、あんまり記憶にないなあ。


     


 店ごと明るい雰囲気にしてくださった桑野さん。
 「人」に感動したのっていつ以来だろう。
 もういっぺんに大ファンになりました。
 「今度はライブしたいね」だって。
 実現しないかな。
 したらいいなあ。


 廣田神社へ行った翌日にこのできごと。
 いろいろお世話になっている方に、「感動したんですよ~」とこの話をすると、ニコニコしながら、
 「それは偶然じゃないよ、きっと。気持ちを浄化したり前を向いて行けるように廣田さんが桑野さんを遣わせてくださったんじゃないかな。」
 あながち冗談には思えなかったな。ぼくもちょっとそんな気がするんですよね~


     



『 アブラの王様〜岡山編 』 | 桑野信義&MASAオフィシャルブログ ボクらのじゆうけんきゅう おわらないなつやすみ Powered by Ameba (ameblo.jp)
 
 

コメント
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