映画「ブリジット・ジョーンズの日記」(2001年)の冒頭で、主人公のブリジット・ジョーンズ(レネー・ゼルウィガー)が歌手になりきったように陶酔して、夜中にひとりで曲に合わせて絶唱するシーンがありましたね。その曲を歌っているのはジェイミー・オニール、曲のタイトルは「オール・バイ・マイセルフ」です。
失恋の後悔や、ひとりぼっちになってしまった自分の心の葛藤を描いた曲ですが、それが、30歳を過ぎても彼氏もいない自分の身の上を嘆いているブリジット・ジョーンズの心境にピッタリなんですね。
「オール・バイ・マイセルフ」は、もともとはエリック・カルメンが1975年に発表したバラードです。この曲は、「20世紀に残したい歌・ベスト100」にも選ばれたことがあるほどの名曲として知られています。
ジェイミー・オニールのほか、セリーヌ・ディオン、シェリル・クロウ、ジュエル、シャーリー・バッシー、カーメン・マクレエ、日本では中村あゆみなど、多くのアーティストに取り上げられている曲です。
最近では、1995年の映画「誘う女」(ニコール・キッドマン主演)や、自動車メーカーのCM(ダイハツCopen)に使われていましたね。
「オール・バイ・マイセルフ」は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番第2楽章をモチーフにしています。エリックはこのほかにも、「Never Gonna Fall In Love Again(恋にノー・タッチ)」でラフマニノフ(交響曲第2番ホ短調第3楽章)を、「Love Is All That Matters」ではチャイコフスキー(交響曲第5番第2楽章)をモチーフにして曲を書いています。
エリックは高校の時に、テレビで見たビートルズやザ・フーに衝撃を受けてロック・ミュージックにどっぷり浸ることになるのですが、それまでは少年時代からずっとクラシック・ピアノを専門的に学んでいて、将来を嘱望されてもいたようです。そのクラシックの素養が、エリックの作る音楽にさまざまに影響を及ぼしているのでしょう。
重厚な雰囲気に包まれた、ほの暗くてとても美しい曲です。
イントロの静かなピアノの上に、抑えたヴォーカルがそっと入ってきます。
サビでの歌声はとても伸びやか。エリックの声には必要以上の悲愴感はありません。メロディアスで、どこか寂しげなスライド・ギターのソロ。中間部のピアノ・ソロがとてもクラシカルできれいです。
エリック・カルメン『サンライズ』
自分のことしか見えず、気がついた時には大切なものを失くしていたということ、誰しも経験があるのではないでしょうか。(もちろん、ぼくにも何度もあります)この曲には、それに気づいた時の苦くてせつない想いがこもっているのですね。だからこそ、ぼくはこの曲に共感を覚えるのでしょうね。
エリック・カルメンは、1970年代前半には「ラズベリーズ」というグループに在籍して多くのヒット曲を残したのち、1975年にソロとなります。「オール・バイ・マイセルフ」は、エリックのソロ・デビュー作でもあります。
一時はニュースの途絶えていたエリックですが、1999年には「リンゴ・スター・オール・スターズ」の全米ツアーに参加。2004年11月には31年ぶりに再結成された「ラズベリーズ」に参加するなど、精力的に活動しているようです。
[歌 詞]
[大 意]
若かった頃 ぼくは誰のことも必要としてはいなかった
恋をするなんて ほんの遊びにすぎなかった
日々は過ぎ ひとり寂しくすべての友のことを想うが
電話をしても 誰もこたえてくれない
ぼくはひとり
そうはなりたくない
ひとりで生きていくのはつらい
確信を持てず 時には不安になる
愛は遠くに去り おぼろになりながら
心の救いとして残っている
◆オール・バイ・マイセルフ/All By Myself
■歌・演奏
エリック・カルメン/Eric Carmen
■シングル・リリース
1975年12月1日
■収録アルバム
サンライズ(原題『Eric Carmen』 1975年11月発表)
■作詞・作曲
エリック・カルメン/Eric Carmen
■プロデュース
ジミー・レナー/Jimmy Lenner
■チャート最高位
1976年週間チャート アメリカ(ビルボード)2位、イギリス12位
1976年年間チャート アメリカ(ビルボード)40位
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この曲もいいですよね~、でも、「あなたしか見えない@伊東ゆかり」
と同じに聴こえて困ります(^^ゞ。
つか違う曲ですよね?!どちらも好きなんですけどね。
最近のMINAGIさん、ロマンチスト~(^^)。
もしかして恋してます?うふ~。
あ、「あなたしか見えない」、あれいい曲ですよね。大好きです。カラオケでも歌います。
>最近のMINAGIさん、ロマンチスト
ぼくはいつだってロマンチストなのですよ、ふっふっふ
私はセリーヌディオンが歌ってるオール・バイ・マイセルフが好きなんですよぉ~
とっても切ないメロディーですよね。そしてこの曲でのセリーヌディオンの歌唱力は特に圧倒されます。
MINAGIさんはいつもいい曲をご存知で嬉しいです
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番第2楽章>そういえばクラシック色の曲ですね!ラフマニノフ勉強になりましたありがとうございます!!
ちなみに私はラフマニノフはとてもとても弾けない作曲者です修行に励みます
いつかこれ見てみたいと思っていたのですが、エリックカルメン(お写真はずいぶん変貌されてだんだんイイ感じになっていますね)の曲を夜中に絶唱してるんですね。興味がわいてきました。
見た後、私も夜中に絶唱してたらどうしよう…
セリーヌの「オール・バイ・マイセルフ」の雰囲気もポップで好きです。後半部のハイ・トーン、とてもきれいですね。
そういえばyukaさんの声もとてもクリアーで澄みきってましたね。
ラフマニノフが弾けなくたって(練習すればきっと弾けます)、あんなきれいな声を持っているんです、羨ましいですよ。
今のエリック、どことなくティム・ロビンスに似た感じですね。
映画は、見てのお楽しみ、ですけれど、個人的にレニー・ゼルウィガーは好きなので、そういう意味でも楽しんで観ることができました。
>夜中に絶唱してたらどうしよう
そういうホットな人のところには幸運の女神が微笑むもんですよ(笑)。心配ないでーす