ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

リッスン・トゥ・ザ・ミュージック(Listen to the Music)

2021年01月06日 | 名曲

【Live Information】


 カリフォルニア州サンフランシスコ市の南にあるサンノゼ市で生まれた「パッド」(Pud)というバンドは、その名を「ドゥービー・ブラザーズ」と変え、1971年にファースト・アルバム「ドゥービー・ブラザーズ・ファースト」(The Doobie Brothers)でデビューしました。
 しかしアルバム・チャートの最高位は、ビルボードで210位。当時は、サンフランシスコ周辺以外では全くの無名と言っていいバンドでした。


 ファースト・アルバムのリリース後、バンドはマイケル・ホサック(drums)を加え、ジョン・ハートマンとのツイン・ドラムとなりました。このユニークな編成は、のちにドゥービーズのトレード・マークともなります。
 ツイン・ドラム体制となったドゥービーズは、セカンド・アルバム「トゥールーズ・ストリート」の制作に取り掛かりますが、レコーディング途中でベーシストがタイラン・ポーターに替わります。
 その新たなメンバーで録音したのが「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」です。
 「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」は、その「トゥールーズ・ストリート」の1曲目に収められた、ドゥービー・ブラザーズの代表曲のひとつ、というより、ドゥービーズの看板とも言えるロック・ナンバーです。



  
 

 ドゥービーズの魅力のひとつは、タイプの異なるふたりのボーカル兼ギタリストの存在です。
 ロック畑のトム・ジョンストンと、フォーク色の強いパット・シモンズ。
 このふたりのカラーが絶妙に溶け合い、ドゥービーズのサウンドを特色あるものにしています。
 トムが繰り出す切れのいいカッティングで始まる「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」。
 涼やかなパットのギターが、曲にロックでありながらアコースティックな空気を送り込んでいます。
 ツイン・ドラムとベースのリズム隊が生み出すグルーヴは安心感たっぷり。「しっかり大地に根付いている」とでも言ったらいいのか、とにかく強力なリズムです。


 もうひとつのドゥービーズの魅力は、美しいコーラス・ワークです。
 この曲のリード・ヴォーカルはトム。男っぽさが特徴の彼の歌は、ちょっとワイルドで、ちょっとスイート。
 インターリュード部分ではパットがリード・ヴォーカルを取っていますが、ギター同様フォーキーな響きが爽やか。
 バックのコーラスが、これまた西海岸の香りそのまま。肉声の厚みで作り上げる歌声の爽やかさを教えてくれます。


 サンフランシスコ~サンノゼ周辺の夏は、湿度もなく気温も高からずでとても爽やかです。
 太平洋側を走る35号線~グレート・ハイウェイ、ベイエリアを走る101号線。
 軽快なリズムに乗って歌われる「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」は、この海沿いの道を疾走するイメージがある一方、サビでは西部の男が内に秘めているセンチメンタリズムのようなものが伝わってくるような気もするんですね。


 1970年代の黄金時代を支えるメンバーが揃ったドゥービーズがリリースしたシングル「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」は、たちまちチャートを駆け上がります。
 「日の出の勢い」という言葉がありますが、そのとおりの勢いで快進撃を始めるドゥービー・ブラザーズにぴったりの曲、と言ってもいいのではないでしょうか。
 そして一躍人気バンドとなったドゥービーズは、数年後にはイーグルスと並ぶウエスト・コーストの雄として絶大な人気を得ることになるのです。



【歌 詞】


【大 意】
日に日に気分が高まってくるのを感じないかな
みんな用意はできている
幸せな人、悲しむ人
僕たちは演奏しなくてはね

誰もが笑顔になる方法を必要としている
それはそんなに難しいことじゃない
メッセージを受け取って楽しくやろう
今だけは僕に理由を聞かないでくれ

音楽を聴くんだ
音楽を聴くんだ
どんな時も

分かっている 
君は僕の言うことをよく理解している
田舎で一日一緒にいよう
僕らは幸せな気分になるだろう
そして踊ろう 憂鬱を吹き飛ばして

僕が君のことを良く感じたなら
君も僕のことを良く感じるだろう
気分は上々 さあ音楽を奏でよう

音楽を聴くんだ
音楽を聴くんだ
どんな時も

空に浮かぶ城のまわりをゆったりと流れる川のように
群衆は増えていく
幸せな音楽を聴くために
そして僕はそんな音を宙に放つんだ

音楽を聴くんだ
音楽を聴くんだ
どんな時も



◆リッスン・トゥ・ザ・ミュージック/Listen to the Music
  ■歌・演奏
    ドゥービー・ブラザーズ/Doobie Brothers
  ■シングル・リリース
    1972年7月19日
  ■収録アルバム
    トゥールーズ・ストリート/Toulouse Street (1972年)
  ■作詞・作曲
    トム・ジョンストン/Tom Johnsyon
  ■プロデュース
    テッド・テンプルマン/Ted Templeman
  ■録音メンバー
   Doobie Brothers
    トム・ジョンストン/Tom Johnston (guitars, lead-vocals, backing-vocals)
    パット・シモンズ/Pat Simmons (guitars, banjo, lead-vocals, backing-vocals)
    タイラン・ポーター/Tiran Porter (bass, backing-vocals)
    ジョン・ハートマン/John Hartman (drums, tambourine)
    マイケル・ホサック/Michael Hossack (drums)
   Additional Personnel
    ビル・ペイン/Bill Payne (piano)
    テッド・テンプルマン/Ted Templeman (percussion)
  ■チャート最高位
    1972年週間チャート アメリカ(ビルボード)11位、イギリス29位


 


 


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1 コメント

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Unknown (ローリングウエスト)
2021-01-12 21:21:27
ロック史に輝くこのグループは前・後期で全く違う音楽性を見せましたがそれぞれに高く評価されています。小生はやはり前期が圧倒的に大好きです。1972年のアルバム「トゥルーズストリート」からも名曲「リッスントゥザミュージック」、1973年には前期の最大名盤「キャプテンアンドミー」がリリースされ、「ロング・トレイン・ランニン」や「チャイナグローブ」の大ヒット、イントロのギターカッティングは一度耳にしたら忘れられない程、印象的です。この頃が一番脂が乗っていた時期だと思います。
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