【Live Information】
とくに近年のジャズは、伝統的なものからコンテンポラリーなものまで、幅広く多様化しています。
「CD離れ」「音楽離れ」が言われている近頃ですが、決して素晴らしいミュージシャンがいなくなっているわけではありません。個性ゆたかなミュージシャンは今日もまたどこかで生まれているはずなのです。
そんな次代を担うであろうミュージシャンのひとりが宮野寛子さんです。
宮野さんは、いま各方面からアツい視線を浴びている注目のピアニストです。
縁あって、お目にかかる機会をいただきました。
ぼくが大阪のベーシスト中村尚美さんと組んでいるベース・デュオ・ユニット「Vivant(ヴィヴァン)」との共演です。
宮野さんと中村さんは、ともに、BSから生まれたユニット「The Jazz Lady」のメンバーです。
宮野さん、「ツイン・ベースとの演奏は初めてかも」と言っておられました。
11月25日(火)、岡山市のライブ・バー「Second Simpson」で、このユニークな顔合わせが実現しました。
お店に入ってきた時からごくごくナチュラルな空気を醸し出していた宮野さん。
鮮やかな青い帽子と青いマフラーにちょっとハッとさせられました。とっても似合っていて、素敵。
中村さんと宮野さんは旧知の間柄でもあり、緊張感を保ちつつも、なんだかホンワカしたムードの中でリハーサルが始まりました。
宮野さんのピアノは、温かなのに涼やかです。優しくしなやかな中にも張りつめた緊張感があって、それが彼女のオリジナル曲にも出ているような気がします。
2ステージのうち、最初のセットは宮野さんと中村さんのデュオ。
これがまた素晴らしかった。
音を使った意思の疎通がこれまた自然。さらに相手の「楽器を通した語り」をゆったり、そして広く受け入れています。
店内の空気はたちまち澄み切ったものに変わります。佐藤允彦さんの日本ジャズ史に残る傑作「パラジウム」を思い起こさせる、深みのある雰囲気です。
ふたりの息遣いや鼓動までもが伝わってくるような気がする、緊張感あふれた、美しいステージでした。
宮野さんのMCが、これまたかわいくて、いい感じです。
セカンド・セットは、いよいよ「Vivant」とのランデブーです。
まずはVivantのふたりで2曲演奏したのち、宮野さんが加わって、「ピアノ+ツイン・ベース」で演奏しました。
同じ三人というフォーマットであるピアノ・トリオ(ピアノ、ベース、ドラム)で演奏するのとはまた違った、面白い感覚でした。いろんな広げ方があるような気がしますし、あらためて研究、挑戦してみたい編成です。
Vivantのセールス・ポイントのひとつ、中村尚美さんの「ベース弾き歌い」。まさに日本のニッキ・パロッタです。
最後はフルートの銭本清美さん、ドラムの当真良平くんも加わってセッション。
温かいアンコールもいただき、再び宮野 & 中村デュオでしっとりと締めくくりました。
楽しさをじっくりかみしめることができるような、そんな良い時間を、客席の皆様、演奏者、お店のスタッフで共有できた、幸せな夜でした。
宮野さんは、今夏にサード・アルバム「Ocean」を発表しています。
今後が期待される、すてきなミュージシャンです。
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