令和3年9月25日(土)
里ふりて
柿の木もたぬ
家もなし
古い歴史をもつこの里は、どの家も
古い歴史をもつこの里は、どの家も
豊かに実った柿の木を持っている、
の意。
元禄七年(1694)の作。
「ふりて」・・・古りて
『蕉翁全伝』によれば、伊賀の望翠亭で、
元禄七年(1694)の作。
「ふりて」・・・古りて
『蕉翁全伝』によれば、伊賀の望翠亭で、
八月七日に催された夜会で詠まれ、
これを立句に歌仙が巻かれたという。
落ち着いた土地柄を賞する挨拶吟で、
故郷の美点を再認識した恰好である。
◎ 故郷の人々は、白髪に杖で、老化して
◎ 故郷の人々は、白髪に杖で、老化して
いたが、家の経済は豊かなようで、
皆立派な柿の木を家の前に備えていた。
柿の出来具合もよろしいけれども、
豊かな生活が、無常を示している。
せっかく金持ちになっても、死は
せっかく金持ちになっても、死は
確実に近づいているのだから。
この句は、発句として作られた挨拶句
この句は、発句として作られた挨拶句
であって、芭蕉の心の底にある真実の
淋しい人生観までは人々に通じなかった
であろう。