☆痛快なファンタジーアクションとは当然ながら思っていなくて、絵本の映画化なので「子供騙し」だとも思っていなかったが、こんなにも大人の鑑賞に堪える良質の作品だとは思わなかった。
実生活で孤立感を感じていた少年が、家を飛び出し、海に船出し、「かいじゅう」の島に辿り着く。
その世界は、少年の逃避願望の生んだ空想の世界なのか、実際の不思議な世界なのか、物語上、厳密な区別はつけられていない。
そこには、7匹の「かいじゅう」が住んでいる。
少年マックスは、その「かいじゅう」たちに「王様」とされて、自分も喰われちゃうのがいやなので、「王様」ノリで、子供の感性で遊び、王国を築こうとする。
「かいじゅう」たちも、特に、リーダー格のキャロルも、恋人のKWとケンカした直後で、マックスならば、また、この「サークル」を一つにまとめてくれるのではないかと願う。
マックスは、子供の楽しみ方で、「かいじゅう」たちと遊ぶ。
踊ったり、重なってじゃれて寝たり、砦(秘密基地)を作ったり、遠吠えをしたり、泥ダンゴ合戦をしたり・・・。
大人の目で見ると、それは目的がなく、物語上の目的合理性を考えると面白くなさそうなのだが、非常にスピード感があり、見ていて楽しい。
「かいじゅう」たちも、大きな体をしているのに、身軽でピョンピョン跳ねて、非常に表情豊かで、私を引きつける。
それぞれ、動物を巨大化させたような顔で、目・鼻・口とパーツが大きいのだが、これも一種のモーションキャプチャーなのかなと思うほどの見事な顔演技の「かいじゅう」たちだ。
◇
だが、そんなマックスの楽しいひと時もすぐに終わる。
先ほど「サークル」と書いたが、そのような小グループの中で、集団の「安定」を物語っていた仲良しカップルの不和は、その集団の崩壊につながる。
次第に、「かいじゅう」それぞれの、人間臭い癖も見えてくる。
子供のマックスには、そんな「大人の事情」は分からない。
私は、昔の「金妻」シリーズや「男女七人」シリーズのような人間関係の複雑な世界に放り込まれたマックスを不憫に思った。
子供は面白いのか?
原作にも、こんな要素はあるのか?
しかし、私には、面白かった。
「あなたのそういうところが嫌なのよ。やっぱり駄目。帰ってきたのは失敗だったわ」
と、KWがキャロルに言うシーンなど、いかにもで良かった。
キャロルがまた、明らかに「ダメ男」で、振られ男一直線の行為に突入していく。
いつもは辛らつだが、キャロルの暴力の前には萎縮するジュディスと、気は優しくて力持ちのアイラのカップルも良い。
キャロルに手をもがれたダグラスの、腕の部分に骨だけが刺さっているのは妙で面白かった。
あと、ヤギ顔のアレキサンダーがいて、もう一人、無口な黒いのがいるんだけど、こいつの名前が分からないや^^;
◇
結局、マックスは、「かいじゅう」たちの状況に何ら決着をつけてやることが出来ず、島を去る。
マックスは、まだまだ自分の力の及ばないことが世界にはあり、そして、大人には色々な特種事情があることを知り、自宅に帰ることにしたのだろうか?
深く読み込めば、色んなテーマに充ちている作品だと思った。
(2010/01/17)
実生活で孤立感を感じていた少年が、家を飛び出し、海に船出し、「かいじゅう」の島に辿り着く。
その世界は、少年の逃避願望の生んだ空想の世界なのか、実際の不思議な世界なのか、物語上、厳密な区別はつけられていない。
そこには、7匹の「かいじゅう」が住んでいる。
少年マックスは、その「かいじゅう」たちに「王様」とされて、自分も喰われちゃうのがいやなので、「王様」ノリで、子供の感性で遊び、王国を築こうとする。
「かいじゅう」たちも、特に、リーダー格のキャロルも、恋人のKWとケンカした直後で、マックスならば、また、この「サークル」を一つにまとめてくれるのではないかと願う。
マックスは、子供の楽しみ方で、「かいじゅう」たちと遊ぶ。
踊ったり、重なってじゃれて寝たり、砦(秘密基地)を作ったり、遠吠えをしたり、泥ダンゴ合戦をしたり・・・。
大人の目で見ると、それは目的がなく、物語上の目的合理性を考えると面白くなさそうなのだが、非常にスピード感があり、見ていて楽しい。
「かいじゅう」たちも、大きな体をしているのに、身軽でピョンピョン跳ねて、非常に表情豊かで、私を引きつける。
それぞれ、動物を巨大化させたような顔で、目・鼻・口とパーツが大きいのだが、これも一種のモーションキャプチャーなのかなと思うほどの見事な顔演技の「かいじゅう」たちだ。
◇
だが、そんなマックスの楽しいひと時もすぐに終わる。
先ほど「サークル」と書いたが、そのような小グループの中で、集団の「安定」を物語っていた仲良しカップルの不和は、その集団の崩壊につながる。
次第に、「かいじゅう」それぞれの、人間臭い癖も見えてくる。
子供のマックスには、そんな「大人の事情」は分からない。
私は、昔の「金妻」シリーズや「男女七人」シリーズのような人間関係の複雑な世界に放り込まれたマックスを不憫に思った。
子供は面白いのか?
原作にも、こんな要素はあるのか?
しかし、私には、面白かった。
「あなたのそういうところが嫌なのよ。やっぱり駄目。帰ってきたのは失敗だったわ」
と、KWがキャロルに言うシーンなど、いかにもで良かった。
キャロルがまた、明らかに「ダメ男」で、振られ男一直線の行為に突入していく。
いつもは辛らつだが、キャロルの暴力の前には萎縮するジュディスと、気は優しくて力持ちのアイラのカップルも良い。
キャロルに手をもがれたダグラスの、腕の部分に骨だけが刺さっているのは妙で面白かった。
あと、ヤギ顔のアレキサンダーがいて、もう一人、無口な黒いのがいるんだけど、こいつの名前が分からないや^^;
◇
結局、マックスは、「かいじゅう」たちの状況に何ら決着をつけてやることが出来ず、島を去る。
マックスは、まだまだ自分の力の及ばないことが世界にはあり、そして、大人には色々な特種事情があることを知り、自宅に帰ることにしたのだろうか?
深く読み込めば、色んなテーマに充ちている作品だと思った。
(2010/01/17)