☆もうすぐ公開が終了してしまいそうだったので、いまいち、気分が乗らなかったのだが、『パブリック・エネミーズ』を観に行く。
何で気分が乗らなかったかと言うと、何となく雰囲気的に『ジェシー・ジェームズの暗殺』っぽい雰囲気があって、
『ジェシー・・・』は完成度は高いのだが、アメリカの歴史上で有名な人物の末期を描いており、アメリカ人にはその前段階の活躍が既知のことなのだろうが、私には感情移入が難しく、派手なアクション作品でもなかったので、娯楽として楽しむにはきつかったのだ。
そう、『チェ』二部作の後編だけをいきなり見せられたような感覚だ。
『パブリック・エネミーズ』も、伝説の銀行強盗ジョン・デリンジャーを描いていて、何となく、『ジェシー・・・』と似た匂いを感じさせられたのだ。
しかし、「男と男の戦い」を描かせたら並ぶ者のないマイケル・マン(男)監督作品なので、気分が乗らなくても大画面で見ておきたい。
◇
・・・いや、この作品、いいじゃないですか!^^
あまりにも史実に忠実(表現ではなく経過ね)に描きすぎていて、散漫な印象はあれど、二時間半の長尺を、スマートな男らしさを充満させて描いてくれていた。
ジョン・デリンジャー役にジョニー・デップ、対するFBI捜査官パーヴィスにクリスチャン・ベールと言う2大スターを据えて、男の対決を展開させてくれていた。
私的には、この完成度に不満はなく、ここそこが良いとは言えない。
◇
ジョン・デリンジャーは、基本的には、見ている私たちでも感情移入できるいいやつなのだが、女を口説き落とすときの強引さに、微妙な激情が垣間見られ、ジョニー・デップ、安易に狂気に走らないリアルな演技を見せる。
クリスチャン・ベールは、あまり感情を表わさないタイプの男を演じたが、その「一枚目」の格好良さが際立っていた。
拘置所での両者の対面シーンなど、挑発を仕掛けてくるデリンジャーに、パーヴィスはクールに対応するのだが、カメラは、執拗に、パーヴィスの「無表情の中の表情」を追う。
優れたシーンである。
◇
マイケル・マン監督作品の『ヒート』では、デニーロとアル・パチーノの共演(競演)に、若かった我々は驚喜し、
しかし、共演シーンは編集で、実際には両者が撮影現場で一緒になることはなかった・・・、だとか、後からニュースなどで聞いて、それは本当なのかガセなのかなどと仲間と議論したものだが、
最近の若者は、今回の2大スターの共演に、そのような話題で盛り上がったりしているのだろうか?
◇
最初、ブルージーなテーマ曲で、タクティクスに銀行強盗をしていくデリンジャー一味が、
次第に、その仕事がうまくいかなくなっていって、動きも粗くなっていくグダグダな展開が良かったっスね^^;
◇
賞味3分に満たないエピローグが最高に素晴らしい。
ここにおいて、主人公の二人は不在である。
物語の途中から、妙に味のある顔で存在感のあったベテランとしてウィンステッド捜査官(スティーヴン・ラング)がいたのだが、クライマックスで、デリンジャーの死の際の言葉を聞く。
「なんて言ったんだ?」
と、パーヴィスに問われるも、ウィンステッド捜査官は「なに言ってるか聞き取れなかった」と言う。
パーヴィスは不満げに睨む。
ウィンステッド捜査官は、画面上では背中を見せているが、「聞き取れなくて悪いか?」と視線を返している。
だが、ウィンステッド捜査官は、収監されていたデリンジャーの恋人に、デリンジャーの最後の言葉を伝えに面会に向かうのだった。
デリンジャーの恋人ビリー役のマリオン・コティヤールは、デップと対等の恋愛模様を演じてくれている。
そこまでの物語でも、マイケル・マン作品として平均点の出来だったと思うが、このラストシーンで、作品の良さが20%はあがった気がする。
公開終了間近に無理して観て良かった・・・。
(2010/01/21)
何で気分が乗らなかったかと言うと、何となく雰囲気的に『ジェシー・ジェームズの暗殺』っぽい雰囲気があって、
『ジェシー・・・』は完成度は高いのだが、アメリカの歴史上で有名な人物の末期を描いており、アメリカ人にはその前段階の活躍が既知のことなのだろうが、私には感情移入が難しく、派手なアクション作品でもなかったので、娯楽として楽しむにはきつかったのだ。
そう、『チェ』二部作の後編だけをいきなり見せられたような感覚だ。
『パブリック・エネミーズ』も、伝説の銀行強盗ジョン・デリンジャーを描いていて、何となく、『ジェシー・・・』と似た匂いを感じさせられたのだ。
しかし、「男と男の戦い」を描かせたら並ぶ者のないマイケル・マン(男)監督作品なので、気分が乗らなくても大画面で見ておきたい。
◇
・・・いや、この作品、いいじゃないですか!^^
あまりにも史実に忠実(表現ではなく経過ね)に描きすぎていて、散漫な印象はあれど、二時間半の長尺を、スマートな男らしさを充満させて描いてくれていた。
ジョン・デリンジャー役にジョニー・デップ、対するFBI捜査官パーヴィスにクリスチャン・ベールと言う2大スターを据えて、男の対決を展開させてくれていた。
私的には、この完成度に不満はなく、ここそこが良いとは言えない。
◇
ジョン・デリンジャーは、基本的には、見ている私たちでも感情移入できるいいやつなのだが、女を口説き落とすときの強引さに、微妙な激情が垣間見られ、ジョニー・デップ、安易に狂気に走らないリアルな演技を見せる。
クリスチャン・ベールは、あまり感情を表わさないタイプの男を演じたが、その「一枚目」の格好良さが際立っていた。
拘置所での両者の対面シーンなど、挑発を仕掛けてくるデリンジャーに、パーヴィスはクールに対応するのだが、カメラは、執拗に、パーヴィスの「無表情の中の表情」を追う。
優れたシーンである。
◇
マイケル・マン監督作品の『ヒート』では、デニーロとアル・パチーノの共演(競演)に、若かった我々は驚喜し、
しかし、共演シーンは編集で、実際には両者が撮影現場で一緒になることはなかった・・・、だとか、後からニュースなどで聞いて、それは本当なのかガセなのかなどと仲間と議論したものだが、
最近の若者は、今回の2大スターの共演に、そのような話題で盛り上がったりしているのだろうか?
◇
最初、ブルージーなテーマ曲で、タクティクスに銀行強盗をしていくデリンジャー一味が、
次第に、その仕事がうまくいかなくなっていって、動きも粗くなっていくグダグダな展開が良かったっスね^^;
◇
賞味3分に満たないエピローグが最高に素晴らしい。
ここにおいて、主人公の二人は不在である。
物語の途中から、妙に味のある顔で存在感のあったベテランとしてウィンステッド捜査官(スティーヴン・ラング)がいたのだが、クライマックスで、デリンジャーの死の際の言葉を聞く。
「なんて言ったんだ?」
と、パーヴィスに問われるも、ウィンステッド捜査官は「なに言ってるか聞き取れなかった」と言う。
パーヴィスは不満げに睨む。
ウィンステッド捜査官は、画面上では背中を見せているが、「聞き取れなくて悪いか?」と視線を返している。
だが、ウィンステッド捜査官は、収監されていたデリンジャーの恋人に、デリンジャーの最後の言葉を伝えに面会に向かうのだった。
デリンジャーの恋人ビリー役のマリオン・コティヤールは、デップと対等の恋愛模様を演じてくれている。
そこまでの物語でも、マイケル・マン作品として平均点の出来だったと思うが、このラストシーンで、作品の良さが20%はあがった気がする。
公開終了間近に無理して観て良かった・・・。
(2010/01/21)