7月の休日、横浜そごうで開催していた、「観じる民藝」展を見てきました。
2連のアクリルビーズを着けている画像は、実は海の上。
あんまりお天気がよかったので、山下公園から出ているシーバスのデッキを陣取り、
横浜そごうまで15分のクルージング?です。
(あはは、実際はとても小さな船ですが、ま、気分だけね。)
リネンのブラウスに、帽子。写ってないけど、こげ茶の胡桃の籠バッグを持って・・・。
船の中にも、お目当ての展覧会の大きなポスターが貼ってありました。
この展覧会は、元、日本民藝館の学芸員だった尾久彰三先生の新刊本の刊行に合わせ、
コレクションの中からの選りすぐりの、モノ達の展示。
李朝の工芸品、日本の古陶磁、仏像や仏画、染色品、木工品などなど・・・。
私は普段から、いろいろなものを系統だてて覚えたり、勉強したり、歴史を調べたりっていうのは
とても苦手な性質で、ただただホンモノの美しさを眺めたり、触れたり、使ったりが
好きなのですが、今回はそんな私でも「いいんだよ。」って言ってもらえたような、
(いや、本当は勉強は必要なんだけど、まずはその前に感じる心があってこそなんだってこと)
今までのビーズとの向きあい方や、レッスンや、本、このブログなどで私がつたないながら
お話していたことが、間違ってなかったんだなと思わせてくれるものでした。
タイトルの「観じる」という言葉が本当にそれを表していて、まさにそれが最重要なんだよ!
ということを再認識させてくれます。
本の中にある一節。
尾久先生のお知り合いの陶芸家の鈴木繁男さんの話。
柳宗悦の唯一の書生だった鈴木さんが、柳宗悦先生の家に弟子入りしたその日の夜、
鈴木さんの持参した様々な書物を柳先生が「預かっておく」とすべて取り上げた上で言った言葉。
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「君はこれから民藝ということを勉強するのだが、
本を読むより先にすることがあるんだよ。すべて行動が先なのだ」
「私の書いたものを本当に分かろうとするなら、まず読むよりも先に行動を起こさなきゃならんよ」
「行動が分かると僕の書いたものは全部分かるはずだ」
鈴木さんは勉強をしに来たのに、書物を全部取り上げられて
非常に不思議な感じがしたそうです。
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尾久彰三『観じる民藝』より
ビーズを選ぶときや、何かを生み出そうとするとき、
実際にそのモノの美しさを「観る」より先に、
色々な情報に惑わされたり、知識が邪魔をしたり…。
大抵そういうときに、いいモノは生まれないのだけれど、
まさに柳先生は鈴木さんに、書物などから得る知識よりも、
直接、美に触れて得ることの大切さを伝えたかったのでしょう。
さらにその直後、その言葉を実践に移した
指導があったのだそう。
鈴木さんがモノを眺めていると、
柳先生からはこんな言葉が飛んできた。
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「僕が君の前にモノを出したら、すぐに間髪入れずに反応しなさい。
これからときをえらばず、場所を選ばず、毎日やるからね。
阿でも吽でもいいから、観たらすぐに何かを言いたまえ。まごまごしているのはだめだよ」
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尾久彰三『観じる民藝』より
これ、まさに今、beads cafe のデザイニングクラスでみんながトレーニングしていることじゃん。
びっくりした!
柳宗悦は何より直観を重視する人だった。
あれこれ眺めて考えて出てくるものよりも、直観的に観じるものを大切にしたのだとか。
この日は、この展覧会の最終日で、好評のためスケジュールには無い、
尾久先生のギャラリートークにも参加することができました。
(先生のまん前の席で、緊張!)
モノに直観で向き合うこと、美はモノの中にあるのではなく、美を見出す心のなかにあることなど、
私のような未熟な人間が言うのもナンだけど、「そうそう、その通り!」って首がぶるんぶるんと
外れそうなぐらい、うなずきっぱなしの時間。
ちょっととぼけた味があって、涙もろいところのある尾久先生の大ファンになってしまった・・・。
観じる民藝 尾久 彰三(おぎゅう しんぞう) 世界文化社 2010-05-11 by G-Tools |