高度が上がってくるせいかミッシェルの動きが鈍くなってくる。
休む時間が長くなり、「行くよ!」と声をかけても歩けなくなってくる。
「先に行って!」といわれたので、ゲリーと先に進む。
元気のなくなったミッシェルです。
私は今日も元気です。
傾斜がきつくなって来ると私の歩みもゆっくりゆっくり
したものになってくる。
息苦しさはないものの、歩こうとする気持ちに足がついてこない。
これは高度が高くなり空気が薄くなってきた影響だと思います。
ゲリーも苦しいのか遅れがちになってくる。
ここで休んでしまうと歩けなくなってしまうような気がして、
30分間を歩き続けるようにして我慢して歩く。
何度も時計を見ながら歩くが全然時間が進まない。
歩いた距離も後ろを振り返ると進んでいない。
でも、足元を見てゆっくりゆっくりと自分に言い聞かせて歩き続ける。
ドルマ峠の真下まできた。
ここからの道は斜度がぐんと増している。
岩だらけで歩きづらくなるが、10分歩いては一息ついてを繰り返し、
最後の登りだけで1時間以上かかってドルマ峠にたどり着く。
ドルマ峠への登りの途中です。
下の方に、峠へ向かって歩いてくる人が見えます。
ヤクはこんな道でも元気に登ってきます。
首が痛くなるくらい上を見るとタルチョがたくさんはためいています。
タルチョのあるところがドルマ峠です。
すぐ近くに見えるのですが、ここからでも30分はかかったでしょうか。
13:50分、ドルマ峠にはおびただしい数のタルチョンが
風にはためいている。
下を見ると今歩いてきた道が真下に見えている。
ドイツ人の一行が奇声を発しながら護符をまき散らしている。
その護符が風に乗って舞い上がる。
黄色の小さな紙が青空の中でキラキラと輝く。
事前に用意してきたタルチョンを結びつける人もいる。
ここまで来たことに随分興奮しているようだ。
そういう人もいるかと思えば、
私に横にいるドイツ人の男性は荒い息をしながら
横になって動けないでいる。
ドルマ峠にはおびただしい数のタルチョが結ばれています。
下の方のタルチョは色もなくなっています。
ここは標高5,630m、このカイラス山巡礼の最高点、
私にとっても人生で初めて体験する標高なのだ。
ここからカイラス山は見えません。
目の前にある岩峰の陰に隠れているのです。
でも、この岩峰も青空を背景にものすごくきれいです。
ドルマ峠の小石をお守りにするために拾います。
この峠の石は花崗岩と思われますが角が鋭くなっています。
まだ、誰も来ないので昼食を食べます。
クッキーをジュースで流し込みます。
峠は風が強く吹いていますので、風の当たらない岩陰で
日の当たる場所を探して横になっていると、
いつの間にかウトウトしたようです。
ゲリーの声で目を覚ますとゲリーはジョーの荷物を持っています。
風が当たらない岩陰へ座るようにいって他の人が来るのを待ちます。
時計を見ると私がついてから1時間が経っています。
ウトウトしただけだと思ったのですが30分以上
寝てしまったようです。
これも、空気が薄いために脳が酸欠状態となって
意識が薄らいだのでしょうか?
目を覚ましたときにはとても気持ちが良かったので、
身体のためにはちょっとした休憩となったようです。
やっと、グレドリーとヴィジュヌー、ミシェルもやってきます。
これで、インド人以外の私達は全員がドルマ峠にやってきたことになります。
ヴィジュヌーがかなり疲れているようですが、顔を見ると笑顔が出ています。
そんなに心配することはないかと思い、ここからは下るだけなので寝袋を返します。