井の中の蛙、カイラス山巡礼に挑む!

夢のカイラス巡礼を終え、登山を再開しました。山岳信仰の延長上に四国遍路、カイラス山巡礼があり、原点の登山に戻ります。

カイラス山コルラ 9

2006-09-28 19:25:41 | カイラス巡礼・旅行記
 6月14日 
 朝目を覚ましてテントの外を見ると、
何と一面銀世界となっています。
朝方の寒さは雪が降った寒さだったのです。
一面の銀世界の中に真っ黒なヤクがてんてんと散らばっています。
そのヤクが集められ、私達より上流にあるテントサイトへ
動いていきます。

辺り一面の銀世界です。

 身支度を調えてチャーを飲むとチャーが喉から胃の中へ流れ
身体が温まっていきます。
両手でコップを持つとその温もりで指が熱くなってきます。
生きているという実感を感じるときです。
暖かいチャーとクッキーだけの簡単な朝食を終えると、
出発の準備をします。

 9:20分、この場所ともお別れです。
小さな川に沿って真っ白になっている草の上を下っていきます。
ドイツ人の一団と一緒になったので追いつ追われつを
繰り返しながらこの谷をドンドン下っていきます。

1時間半ほど下ったところで右手の山の下にお寺が見えてきます。
これが、ズルフク・ゴンパです。

このお寺はミラレパが開いたお寺だといわれています。
もちろん、河口慧海もこのお寺に泊まっています。

 私はふくらはぎに軽い痛みを感じていたので30分歩いては
5分ほど休むのを繰り返しています。
それでも、最初に私とゲリーの前を歩いてたグレゴリーと
ヴィジュヌーは遅れてきます。
彼らを追い抜いて自分たちのペースで歩いていきます。

 ガイドが左手を指さすのでそちらを見ると茶色で
体長が30センチほどの動物が後ろ足で立ってこちらを見ています。
ウサギかと思ったのですが耳が見えません。
どちらかというとマーモットみたいな動物のようです。
カメラを出そうとしましたが、すぐに穴に潜っていってしまいます。
気をつけて辺りを見回すと、所々に顔を出しては穴に潜っています。
結局写真を撮ることは出来なかったです。

 辺りの景色を見ていると沢の入り口がずいぶんと開けてきたので、
そろそろ谷の出口かと思い、疲れてきたので少し長い時間
休むことにしました。

今歩いてきた路を振り返ったところです。

ゆっくりと休んでふくらはぎの痛みが和らいだので歩き出します。
前方の山陰を回るとすぐそこに沢山のトラックやランクルが見えます。
出迎えの車がすぐそこで待機していたのです。
小さな沢を越えて10分ほどでランクルが待っている場所に着きます。

 13:20分、2日半を要した私のカイラス山コルラがこれで終わりです。

歩き通すことが出来たという感激が胸にこみ上げてきます。
ゲリーも同じ気持ちのようです。
二人で思わず握手をして抱き合いました。

 エコトレックのランクルを捜します。
駐車しているトラックを見ていくと少し下の方にウェイさんの
ランクルを見つけます。
その辺りに、懐かしい顔のシェルパ達が座っています。
彼らに荷物を預けてグレゴリー達を出迎えに行きます。

 次々といろいろなグループに人達がコルラの
最後を歩いてきます。
ネパール人のガイドが自分たちのグループに
小さなリンゴを手渡ししています。

彼が私に日本語で「日本の方ですか?」と話しかけてきます。
日本人だといって二言三言話していると、
手にしていたリンゴを1個くれます。
「ありがとう!」といってから、手のひらにすっぽり
収まるくらいの小さなリンゴですが、
両手で二つに割ってゲリーにもやります。
しばらくぶりに食べるリンゴです。
ジューシーな果汁が口いっぱいに広がり、とても美味しかった!

 グレゴリーとビジュヌーも無事に歩いてきます。
そのあと少し経ってからミッシェルとジョーも無事に歩いてきます。
それぞれが自分の足でしっかりと歩いてカイラス山のコルラを終えます。

 この2日半の間、ドルマ峠の5,630mを到達最高点として
歩きましたが、心配していた高山病にも罹らず無事に歩き通せたことは
本当に幸運だったと思います。

身体の調子は本当に万全で、ヴィジュヌーの荷物も一緒に持って
歩けたくらいですから、何も言うことはありません。
 このコルラのために身体を鍛えてことが良かったのだと
素直に喜びたいものです。そ
して、私を送り出してくれた妻や子供達に感謝したいと思います。

 
 ランクルに乗ってタルチェンへ向かいます。
土埃をあげて走っているといくつかのグループは歩いて
タルチェンを目指しています。
その中に一人で歩いている私達巡礼団の団長さんを見つけました。
どうやら、団長さんは自分の足でこのコルラをきちんと
一つの輪にすべく歩いているようです。