(長居植物園・ミニ庭園より)
♪~青いみかんが実った 故郷の丘に 今年も採りいれの 歌がまた聞こえる
甘くすっぱい 胸の思いを 密かに込めながら 小籠に摘むの
遠くの町の あなたにも 送ってあげましょう
彼女も藍美代子のこんな歌を、口ずさみながら摘んでくれたのだろうか。(古い・・かなり)
ふるさと生口島の親友から 誕生日近くなると必ず届く。 二十年以上も忘れずに必ず。
私は彼女が大学の時に亡くなったお父さんの命日に、次の年から電話をかけているだけなのに。
急いで箱を開けると、みかんと青い採りたてのレモン・・ 懐かしい故郷の香りが部屋いっぱいに広がる。
なぜか何処のよりもいつも甘い・・必ず一番甘い、濃厚なのである。
穏やかな瀬戸の海と、太陽に輝くみかん畑が浮かんできた。
「おばさん元気?」 「お陰さんで、元気元気!」 「そりゃぁ何より。 おじさんの分も長生きしないとね」
「今年はみかん少ないんよ。 レモンちぎったら傷だらけになったわ」 「それはそれはごめんなさい
今私風邪ひいててさ」 「そりゃちょうど良かったわ。 みかんしっかり食べて寝ときんさい」
「ありがとうね。 ほんまにあんたとこの送ってくれるみかんが一番甘いわ」
屈託のない会話だけれど、暖かい。 友の笑顔が見える。