かっての3人娘。 その1人のU子の誕生日である。
今年はバースデーカードが間にあわなかった。
お昼時、車を置きに帰った夫とTVを見ながら昼食をとっていた。
NHKの昼ぶらで”みかんレモン香る港町” 広島県呉市の大崎下島をやっていた。
「U子、ここで先生しとったんとちがうんか」 思いがけない夫の言葉だった。 そんなに何度も話してない筈なのにその以外が嬉しかった。
「そうやわ、見てるかなU子、メールするわ。 今日彼女の誕生日やねん」
少しして電話が入った。
「今父親を病院へ連れて行って帰った所なんよ」 「そう、ごめん! 誕生日おめでとう、カード間にあわなくてごめんね」
大崎は懐かしいだろうとメールしたら透析している父親と病院にいたのだ。 なんか私、気楽にメールして申し訳ない気がした。
介護には小休止もないのに。
彼女が教職についていたのは大崎上島だったのだと言う。 夫も電話を変わり話したら、声が聞けたとU子は喜んでいた。
彼女のご主人の近くに住む母親の介護、彼女は都合で実家の両親を引きとり介護する事になったのだ。
お父さんは亡き父と同い年、同級生だった。 父とは仲が良かったので、良くお互いの家へ行き来していたので良く知っている。
おじさまは93歳になる。
「ごめんね、ブログ見れて無いのよ」 「いいよいいよそんな」
ご両親を引きとってからは、ブログはもちろん新聞さえ開く間が無いのよと言う。
(見なくていいよ・・気楽そうな私のブログなんて・・)
「お父さんはお変わりない?」 「もうね、口が達者すぎて腹が立つことばかりよ」
「でもお元気でいいじゃない」とは言いながら、口で言うほど簡単でない事を思うと複雑な気持ちになった。
お世話をする娘に素直に言う事を聞けばいいが、そうでなければ彼女だって健康体では無いのだ、ストレスもたまってくるだろう。
両親を看なければいけないので、自分が元気で無くては世話が出来なくなるので、風邪もひかないようにしないとと言う。
我が親と言えども、高齢の親を介護するのは大変な時代になっている。
「あなたも自分の身体に気をつけて、無理のないようにね」そう言うのが、精いっぱいだった。
4年前3人娘で有馬温泉、京都小旅行をし語り明かした。 1年おきに旅行しようよと言ったのに、2人とも親を看るのでそれっきりになった。
「もう旅行も行けないね・・」 寂しそうに、これから先のまだ長いような事を言った。
父は12人いる孫のうち、5人までしか知らない。 その5人目、我が家の長男が1歳のとき。 ひ孫だって10人もいるのに。
母は孫が増えるたび、そしてひ孫が出来るたび、「お父さんが生きていたら、どんなにか喜ぶじゃろうにね」と言う。
6人目の孫、兄夫婦の長男・・初めての内孫が生まれる27日前父は急死した。
その内孫にと買ったメリーゴーランド、持って帰るはずだったのに遺品となったのである。
仕事で近くの港へ船が停泊して我が家へ来た時、お店で一番いいのを買ったんだと嬉しそうに話していたのに。
きっと男の子よとみんな言っていたが、父の生まれ変わりのように、内初孫は男の子だった。 とってもかわいい男の子。
そんな事を思うと、父よりも35年長生きしているおじさんを羨ましいと思ったりする。 孫ばかりでなく、ひ孫も抱ける。
しかし高齢で持病のある両親を看る彼女、私の周りでも同様の方々がいるが、そのご苦労を思うと労いの言葉さえさがしてしまう。
どんな姿であろうとも長生きをして欲しい、そう思うのが常ではある、あったが・・・。 現実・・ 看るものも年齢が高くなる訳で・・。
高齢化時代の今、自分がいつか行くその道ならば、せめて少しでも出来れば手をかけないように、長生きが出来ればいいのにと思う。
私ももちろん夫も、長引けば家族の健康や、楽しみの時間までも奪いかねないなぁと自分に言い聞かせる。
老いる・・私がもっと年をとった時の長生きの姿を、複雑な気持ちで考えたりする自分がいる。
「せめて子孝行にと、出来るだけ自分で身体に気をつける。 自分が寝込めば、兄夫婦の手をとる、
兄嫁さんも仕事が出来なくなる、子供ばかりでなく孫にまで迷惑をかける事になる」と、だから・・と言い続ける母。
それでもあちこち具合が悪くなると、兄夫婦のお世話になったりしては、「申し訳ない、有難い」してもらうことの幸せを口にする母。
歩かなくなったら足も衰えて来る。 しかし外歩きは心配だからと、兄夫婦が買ってくれたルームランナー、
お仏壇にあげたお線香が燃え尽きるまで毎日お題目を唱えながら歩いていると言う。 想像したら微笑ましい。
そんな母は、来年卆寿を迎える。
今、ウォーキングに努めながら、えのき氷だのえのき茸茶だのを自然なものを身体にと心がけるのは、きっと母にならへ・・そんな気持からであろう。
豊かな心、小さな事にも感謝をする日々、ストレスを溜めない、母のそれらも健康への大切なメッセージだろうと思う。