しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

ギボウシ ( 擬宝珠 ) (2)

2013-06-27 |  6月 の花たち

                           ↑ 2013/06/29 撮影

2013/06/26 撮影

[ キジカクシ科ギボウシ属の総称・多年草 ; 東アジア原産]
( 旧分類ではユリ科でしたが、新分類によればキジカクシ科へと変更されています。)

東アジアに約60種分布し、
最も多くの種が自生する日本には40種ほどあり、
その中がさらに白や黄色の斑入り葉に分かれるなど、
鑑賞価値の高い園芸品種も多数あります。
観賞用の園芸品種は古く江戸時代から栽培され、
シーボルトによってオランダに持ち込まれ、
ヨーロッパに紹介されました。
それにより多くの品種が欧米に渡り、
ヨーロッパ・アメリカで品種改良が盛んにおこなわれ、
属名のホスタの名で広く流通しています。
葉の形・株の大きさ・花などに変化があり、
病虫害も少なく、 半日陰の庭や公園などに多く植栽されています。
葉は、すべて根出葉で長い柄を持ち、
通常広い楕円~卵円形で先端が少しとがっていて、
数本の縦脈があります。
初夏、苞葉のある花茎を伸ばし、
苞葉の腋に、漏斗状筒形の花を普通1個ずつ、
総状に付けます。
花冠は6裂し、 色は、白色・淡紫色・紫色などで、
香りの良い品種もあります。
果実は朔果です。
一日花で、朝に開花し夕方萎みます。
冬には地上部が枯れます。
コバギボウシ・オオバギボウシ・イワギボウシなどがよく見られ、
トクダマ・タマノカンザシなどは観賞用に栽培されています。
小型種 ・中型種・大型種という分け方もされます。
名は、蕾の形が、橋の柱頭などについている擬宝珠(ぎぼし)に似ていることから付いたそうです。

 

ー ギボウシの種類(例示) ー

コバギボウシ(小葉擬宝珠)
日本では、 北海道~九州にかけて、
山地の日当たりの良い湿地に自生します。
草丈(花茎高)は、30~100cm。
葉は、すべて根出葉で、 長い柄を持ち、長楕円形~卵円形で光沢がなく、
表面の脈は窪みます。
葉丈は10~20㎝で小型種 です。
花期は、7~8月。 
盛夏に、漏斗状筒形で淡紫色の花をやや下向きに咲かせ、
内側に濃紫色の脈が目立ちます。
江戸時代に作られた園芸品種の、
葉に白い縁取りが入る「ブンチョウコウ(文鳥香)」、
葉が黄色で縁が緑色の「カビタン」、 
葉に斑が入る「万総」など、多数の品種があります。
名は、葉が小さいギボウシであることから付いたそうです。

オオバギボウシ(大葉擬宝珠) 
北海道西南部~九州にかけて、
山地や草原に自生します。
草丈(花茎高)は、50~100cm。
根茎は、太く短く、横に這います。
葉は、すべて根出葉で、 長い柄を持ち、
広い楕円や円形で先端が少しとがり、
葉面には葉脈が目立ちます。
葉は長さ30~40㎝で大型種です。
花期は、6~8月。
根出葉から長い花茎を立て、
上部に淡紫色の漏斗状筒形の花を数個、
ほぼ同方向を向いて付けます。
花柄の長さは10~25㎜、 
花被の長さは約5㎝で淡紫色または白色、
下半部は癒着して狭い筒型を作り、
上半部は急に広くなり、先端は6裂します。
雄しべは6個、花被より少し出て、
先は上に曲がり、 葯は丁字形に付きます。
雌しべは、約6㎝、花柱の先は上に曲がり、 花被より出ます。
果実は朔果で、種子は扁平・黒色です。
一日花で夕方萎みます。
花茎の苞は、水平に開出します。
山形県寒河江市で発見された変異種の「サガエ」は、
葉に黄色い縁取りが入ります。 
若葉は「ウルイ」と呼ばれ、
山菜としてお浸し・天麩羅・和え物などに利用され、 蕾も食べられます。 
名は、日本原産のギボウシ類の中で、葉がもっとも大形であることから付いたそうです。
別名 ; トウギボウシ(唐擬宝珠)・ハヤザキオオバギボウシ・ ウノハナギボウシ・ウツリギボウシ
* 太平洋側のものをオオバギボウシ、
   日本海側のものをトウギボウシとする説もあります。

トクダマ(徳玉) 
オオバギボウシの変種で、
葉は丸く粉白色・青味を帯び、
花は白~薄紫色です。
名は葉が丸いことから付いたそうです。 

イワギボウシ(岩擬宝珠) 
本州の関東~東海地方にかけて、
山地の水辺や湿った岩場・樹上に自生します。
草丈は、約30cm。
葉は、紫の斑点を密に付けた長い柄を持ち、
楕円形~卵円形で、質が厚く表面には光沢があります。
花期は、8~9月。
長い花茎を斜めに出し、
上部に漏斗状筒形の淡紅紫色の花を数個付けます。
花冠は6裂し、先が反り返ります。
葉の斑の変異などにより、「奥久慈」・「武甲剣」・「白雲閣」などといった数多くの園芸品種があります。
また、本州近畿・四国地方に自生する 変種の「ヒメイワギボウ」は、
草丈が15~30㎝、花期は8~9月、 小型なので鉢植えに向いています。
名は、山中の湿った岩壁に生えることから付いたそうです。

スジギボウシ(筋擬宝珠) 
交雑種で、
江戸時代から栽培されてきました。
草丈は、約30cm。
葉は、広い卵形で、 主脈の周囲に白色または黄白色の縦斑が入り、
縁が波打っています。
春先の葉には不規則な白筋斑が入りますが、
夏になると斑の色が薄くなり、
緑葉に近くなります。
葉丈は20㎝前後で中型種です。
花期は、6~7月。
初夏に花茎を立ち上げ、
その上部に、漏斗状筒形で先端が6裂した淡紫色の花を付けます。
花弁には何本かの細い紫のスジが入っています。
また、雄しべ雌しべが花弁の外に出ています。
日本各地で栽培され、
公園・庭や花壇・鉢植え・グランドカバーなどに利用されています。
名は、葉に白いすじがあることから付いたそうです。

ミズギボウシ(水擬宝珠)   
日本固有種で、
本州愛知県以西~九州にかけて、
水辺の湿地などに自生します。   
草丈は、40~60cm。
葉は、柄のない根出葉が叢生します。
線状倒披針形で長さ15~20㎝、幅約2㎝、
無毛で光沢があり、基部は直立します。
日本のギボウシ属の中で最も狭い葉を持ち、
葉丈は15~20㎝で小型種です。 
花期は、8~9月。
花茎は直立し、その上部に、漏斗状筒形で淡紫色の花を少数総状に付けます。
花の付き方は、横向きでまばらです。 
花柄の長さは4~6㎜、花被の長さは3.5~5㎝で、 下半部は癒着して狭い筒型を作り、
先端は6裂します。
花の内側には濃紫色の脈があります。
花柄基部の苞は小さく舟形にくぼみ、
斜めに立ち開出しません。
果実は朔果で、種子は扁平・黒色です。
また、白花種のシロバナミズギボウシがあります。
名は、水辺に生えることから付いたそうです。
別名 ; ナガバミズギボウシ(長葉水擬宝珠)・サジギボウシ(匙擬宝珠)

タマノカンザシ(玉の簪) 
原産地は中国。
タマノカンザシは江戸時代中期、
マルバタマノカンザシは昭和初期に渡来したと言われています。
草丈は、50~70cm。
葉は、すべて根出葉で、 長い柄を持ち、長楕円で先端が少しとがり、
表面には光沢があって、支脈が目立ちます。
葉丈は30~40cmで大型種です。 
花期は、8月~10月。
花茎を出し、6弁の漏斗状筒形の花は純白色で約11㎝と大きく、
芳香があり、 互いに接近して密に付きます。
雄しべは花筒の基部に合着しています。 
夜に開花し、朝に萎みます。
観賞用に栽培され、 八重咲きの「アフロダイト」が普及しています。

 

 


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