先日、6/14に詩人、白石かずこさんがご逝去されました。心からご冥福をお祈りいたします。
このところ、偉大な女性アーティストの訃報が続いて、そんな時にだけブログを書いているような気がするなあ。。。。
自分の忘備録として白石さんと初めて出会った頃の思い出を書かせていただきます。
1ハンス・ライヒエルgとブッパタール。
26歳の秋だったか。。。。
当時の西ドイツ、ブッパタールに住んでいたギターリストのハンスとの出会いは
西荻窪の「あけたの店」。
私は藤川芳明asオーケストラのメンバーとして演奏していた。
翠川敬基cello、吉田哲治tp、佐藤春樹tb、横山達治per、などなど錚々たる顔ぶれのフリー系オーケストラ。
当時、日独の交流が盛んだった。
山下洋輔氏やエンヤレコードの社長、ホルスト氏、そして副島照人氏たちのおかげだ。
また、メールスジャズフェスなど、ドイツの各地でフェスティバルが増え、
「FMPオーケストラ」というヨーロッパで大人気のミュージシャンたちも来日していた。
その中のひとり、ギターのハンスはオフの日に、美しい日本女性の恋人Sさんを連れて「あけたの店」にやってきた。
おそらく、「日本のフリーオーケストラを聞くなら、藤川オーケストラだ」と誰かに聞いたのかもしれない。
そこで、私の演奏を気に入ってくださり、ハンスとの交流がどんどん深まっていった。
「Sachi,来年、ヨーロッパツアーしないか?ドラムは誰がいいかな?」
当時のメンバーだった「つの犬dr、と利樹と3人で行けるなら喜んで!」
私たちにとって、初めてのヨーロッパ!
フランクフルト空港に到着してまず、飛行機の窓から覗いて、飛行場で働く男たちの「でかさ」にびっくり。
なんだか巨人の国に来ちゃったよ。。。というのがヨーロッパ初体験の第一印象。
ハンスと恋人のSさん、そして宿を提供してくれる女主人イエッテが空港で迎えてくれた。
「はじめまして、ってドイツ語で何ていうの?」と私がハンスとSにこっそり尋ねると、
「イエッテ!」
宿のご主人の名前とは知らずに
「Oh~~~!イエッテ、イエッテ!」
と挨拶がわりに彼女と握手をしながら3人で「イエッテ!」と連呼していたのは
今思い出してもこっぱずかしい。
(本当は「アンゲネイム」が「初めまして」らしい。)
「さあ、レンタカー借りて来たから、みんなこっちへ。」とハンス。
『わ〜い、ドイツの車でアウトバーンを走れる〜。ベンツかな〜、ワーゲンかしら?』とワクワクしていた目の前に、トヨタの白のハイエースが停まっていた。
ちなみに、私と利樹も東京では白のハイエースだよ。。。
乗り慣れた車に乗り込み、いざ、ブッパタールへ。
ハンスの住む、「ブッパタール」というモノレールとピナバウシュで有名な可愛い街に2部屋を借りていてくれた。
イエッテの宿は一階が小さなバー。
私と利樹はその2階の屋根裏部屋を使い、つのけんには別のとてもおしゃれなお店の2階を用意してもらった。
ブッパタールは小さな街だから、みんな飲みに行くお店はほぼ同じ。
私たちもお昼は、宿の向かい側にある「カッツエン・グールド(金の猫)」というカフェに入り浸っていた。
日本人は珍しいからいろんな人たちから声をかけてもらい、友達が増えていく。。。。
娯楽はあまりない田舎街なので、楽しみは仕事後に一杯(どころじゃないけど)やること。
夕方から、特に週末はどこのバーも酒飲みたちで溢れかえっていた。
そして、面白いことにこの街はミュージシャンもたくさん住んでいたのだ。
私たちの借りていた家から5分も離れていないご近所に、ペーターコーヴァルトというベーシストも住んでいた。
彼も、ハンスとFMPオーケストラなどで来日していた仲間だ。
天井の高い、倉庫のような広々とした1階の部屋で、いつでもベースが弾ける素敵な家だった。
ペーターも日本人が大好きで私たちが遊びに行くと大歓迎で、毎日のように彼の家でみんな集まってセッションしたり食事をしたり。。。
そんなある日、ペーターが
「来週、隣のレストラン借りて、「日本食祭り」をやろうと思うんだ(もちろん、有料で)。
ここで料理できるのって、サチと俺の彼女の2人しかいない。
だから、彼女を手伝ってあげてくれない?」
もう遠い記憶だからこの辺りのいきさつははっきりしていないけど、ペーターの当時の彼女と私で、なんだかわけのわからない日本料理のコースをふるまった覚えがある。
焼き鳥、寿司、天ぷら。。。どうやって食材とか集めたのかまったく記憶にはないが、なんとかやり遂げた。(今思うと、ゾッとする。)
大勢のもの好きなドイツ人たちがたくさん来てくれて、おいしいおいしい、と言ってくれたのだが、
終わってはたと気がついた。。。。
「あ〜!お寿司に醤油つけるの忘れてた〜〜〜!!」
時、すでに遅し。
「よくみんな、お醤油もなくてお寿司を生で食べれたね〜。」
「うん、おいし〜って帰っていったよ〜。」
そんな無茶振りペーターの家に遊びにいったある日、
1人の素敵な女性がたばこを燻らせて座っていた。
強い目力で私たちのことをじっと見ていた。
あ、白石かずこさんだ。。。。。。。。。。。(つづく)
このところ、偉大な女性アーティストの訃報が続いて、そんな時にだけブログを書いているような気がするなあ。。。。
自分の忘備録として白石さんと初めて出会った頃の思い出を書かせていただきます。
1ハンス・ライヒエルgとブッパタール。
26歳の秋だったか。。。。
当時の西ドイツ、ブッパタールに住んでいたギターリストのハンスとの出会いは
西荻窪の「あけたの店」。
私は藤川芳明asオーケストラのメンバーとして演奏していた。
翠川敬基cello、吉田哲治tp、佐藤春樹tb、横山達治per、などなど錚々たる顔ぶれのフリー系オーケストラ。
当時、日独の交流が盛んだった。
山下洋輔氏やエンヤレコードの社長、ホルスト氏、そして副島照人氏たちのおかげだ。
また、メールスジャズフェスなど、ドイツの各地でフェスティバルが増え、
「FMPオーケストラ」というヨーロッパで大人気のミュージシャンたちも来日していた。
その中のひとり、ギターのハンスはオフの日に、美しい日本女性の恋人Sさんを連れて「あけたの店」にやってきた。
おそらく、「日本のフリーオーケストラを聞くなら、藤川オーケストラだ」と誰かに聞いたのかもしれない。
そこで、私の演奏を気に入ってくださり、ハンスとの交流がどんどん深まっていった。
「Sachi,来年、ヨーロッパツアーしないか?ドラムは誰がいいかな?」
当時のメンバーだった「つの犬dr、と利樹と3人で行けるなら喜んで!」
私たちにとって、初めてのヨーロッパ!
フランクフルト空港に到着してまず、飛行機の窓から覗いて、飛行場で働く男たちの「でかさ」にびっくり。
なんだか巨人の国に来ちゃったよ。。。というのがヨーロッパ初体験の第一印象。
ハンスと恋人のSさん、そして宿を提供してくれる女主人イエッテが空港で迎えてくれた。
「はじめまして、ってドイツ語で何ていうの?」と私がハンスとSにこっそり尋ねると、
「イエッテ!」
宿のご主人の名前とは知らずに
「Oh~~~!イエッテ、イエッテ!」
と挨拶がわりに彼女と握手をしながら3人で「イエッテ!」と連呼していたのは
今思い出してもこっぱずかしい。
(本当は「アンゲネイム」が「初めまして」らしい。)
「さあ、レンタカー借りて来たから、みんなこっちへ。」とハンス。
『わ〜い、ドイツの車でアウトバーンを走れる〜。ベンツかな〜、ワーゲンかしら?』とワクワクしていた目の前に、トヨタの白のハイエースが停まっていた。
ちなみに、私と利樹も東京では白のハイエースだよ。。。
乗り慣れた車に乗り込み、いざ、ブッパタールへ。
ハンスの住む、「ブッパタール」というモノレールとピナバウシュで有名な可愛い街に2部屋を借りていてくれた。
イエッテの宿は一階が小さなバー。
私と利樹はその2階の屋根裏部屋を使い、つのけんには別のとてもおしゃれなお店の2階を用意してもらった。
ブッパタールは小さな街だから、みんな飲みに行くお店はほぼ同じ。
私たちもお昼は、宿の向かい側にある「カッツエン・グールド(金の猫)」というカフェに入り浸っていた。
日本人は珍しいからいろんな人たちから声をかけてもらい、友達が増えていく。。。。
娯楽はあまりない田舎街なので、楽しみは仕事後に一杯(どころじゃないけど)やること。
夕方から、特に週末はどこのバーも酒飲みたちで溢れかえっていた。
そして、面白いことにこの街はミュージシャンもたくさん住んでいたのだ。
私たちの借りていた家から5分も離れていないご近所に、ペーターコーヴァルトというベーシストも住んでいた。
彼も、ハンスとFMPオーケストラなどで来日していた仲間だ。
天井の高い、倉庫のような広々とした1階の部屋で、いつでもベースが弾ける素敵な家だった。
ペーターも日本人が大好きで私たちが遊びに行くと大歓迎で、毎日のように彼の家でみんな集まってセッションしたり食事をしたり。。。
そんなある日、ペーターが
「来週、隣のレストラン借りて、「日本食祭り」をやろうと思うんだ(もちろん、有料で)。
ここで料理できるのって、サチと俺の彼女の2人しかいない。
だから、彼女を手伝ってあげてくれない?」
もう遠い記憶だからこの辺りのいきさつははっきりしていないけど、ペーターの当時の彼女と私で、なんだかわけのわからない日本料理のコースをふるまった覚えがある。
焼き鳥、寿司、天ぷら。。。どうやって食材とか集めたのかまったく記憶にはないが、なんとかやり遂げた。(今思うと、ゾッとする。)
大勢のもの好きなドイツ人たちがたくさん来てくれて、おいしいおいしい、と言ってくれたのだが、
終わってはたと気がついた。。。。
「あ〜!お寿司に醤油つけるの忘れてた〜〜〜!!」
時、すでに遅し。
「よくみんな、お醤油もなくてお寿司を生で食べれたね〜。」
「うん、おいし〜って帰っていったよ〜。」
そんな無茶振りペーターの家に遊びにいったある日、
1人の素敵な女性がたばこを燻らせて座っていた。
強い目力で私たちのことをじっと見ていた。
あ、白石かずこさんだ。。。。。。。。。。。(つづく)