【週刊】企業理念

こちらへ。「企業理念と戦略の図解」 https://note.com/missionstatement

Vol.12 ヤマト運輸

2005-06-25 | Weblog
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 Vol.12 ヤマト運輸株式会社さまから学ぶ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■経営理念 
  
 ヤマトグループは、
 社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化、
 より便利で快適な生活関連サービスの創造、
 革新的な物流システムの開発を通じて、
 豊かな社会の実現に貢献します。

■企業姿勢
 
  ヤマトグループは、公平、公正な競争を通じて利潤
  を追求するとともに、人権を尊重し、法令 、国際
  ルールとその精神を遵守し、常に高い倫理観をもって
  行動することで、社会とともに持続的に発展できる
  企業をめざします。 

■社員行動指針
   
 1.  社会の一員としての役割 
 2.  法と倫理に基づいた行動 
 3.  職場ルールの遵守 
 4.  人間性を尊重する職場づくり 
 5.  パートナーとの良好な関係の維持 
 6.  お客様への最良のサービスの提供 


(出所:http://www.kuronekoyamato.co.jp/kaisya/rinen.html 2005/06/25)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【企業理念育成のヒント】

 今回は日頃とってもお世話になっている
 「宅急便」のヤマト運輸株式会社様から学ばせていただきました。

 「宅急便」は、今となっては完全に社会システムの一部と化していますね。
 
 しかし、この「宅急便」がここまで社会に浸透するまでには
 社内抵抗、規制などと壮絶な戦いがあったようです。

  企業姿勢にある次の一文がその想いを表している様に見えます。

   「公平、公正な競争を通じて利潤を追求する」  


 ■企業理念とは/定義の明文化

  ホームページを拝見すると、 
  「経営理念」「企業姿勢」「社員行動指針」について、
  わかりやすく明文化している。

  -------以下、ホームページから抜粋-------
  
   [1]「経営理念」には、

       ヤマトグループが事業を営んでいく目的や、めざすべき方向。

   [2]「企業姿勢」には、

       ヤマトグループが社会に対して約束し、常に実行していくこと。

   [3]「社員行動指針」には、

       ヤマトグループの社員が日々の行動の中で、社員としてあるべき姿。

 -------    ここまで    -------
 
 
  【定義の明文化は、企業理念の社員理解度を加速する。】

   企業理念は、理解され、共感され、そして行動化されてこそ意味がある。
   まずは、理解されなければならない。
   

  ■ひとりごと

   なぜ、ヤマト運輸さんのシンボルマークにクロネコが採用されたのだろうか?

   なぜ、子猫のクロネコを銜えているのだろうか?

   もし、ご存知の方がおりましたら教えてください。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■参考資料

 1)「経営学」 小倉昌男 日経BP社

Vol.11 ヤマハ発動機

2005-06-19 | Weblog
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 Vol.11 ヤマハ発動機株式会社から学ぶ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ■企業目的

  感動創造企業
  「世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供するYAMAHA」
 
   人々の夢を知恵と情熱で実現し、つねに「次の感動」を期待される企業。
   それが、感動創造企業・ヤマハ発動機である。

 ■経営理念

   私たちは、企業目的を達成するために三つの理念を掲げます。

  1.顧客の期待を超える価値の創造

    私たちは、感動を生む価値を創造するために、
    変化する顧客の夢を追求しなければならない。
    顧客の期待を超える、質の高い商品とサービスの提供を目指し、
    適正な利益を得る工夫をしなければならない。

  2.仕事をする自分に誇りをもてる企業風土の実現
 
    私たちは、個人の自主性から活力を生み出す
    風土をつくらねばならない。
    創造性豊かな人材の育成と能力開発を重視し、
    公正な評価と処遇が行われる組織を実現しなければならない。
 
  3.社会的責任のグローバルな遂行

    私たちは、世界的な視野と基準で行動しなければならない。
    地球環境へ配慮し、地域に対する社会的責任を積極的に
    果たす企業でなければならない。

   (出所:http://www.yamaha-motor.co.jp/profile/philosophy/ ,2005/06/19)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【企業理念育成のヒント】

  先日、ヤマハ発動機の方と食事を共にした。
 
  読者の皆さんに是非お伝えしたいかなりレアな情報を耳にしたので
 
  今回は、ヤマハ発動機株式会社様を取上げてみました。
 

 ■企業理念とロゴ

  会社の社名、シンボルマーク、ロゴにも企業理念の想いが表現
  されるとよい。
  その目的は、社員の意識・行動の変革であろう。


  以前、山陽相互銀行 → トマト銀行 に社名を変更した。

  この変更により、お客様の事前期待に変化が生じ、
  その期待にこたえるべく社員の行動に変化が生じたので
  はないだろうか。
 


 ■創業者のロゴへの拘り


 楽器の「YAMAHA」とオートバイの「YAMAHA」
 のロゴの違いをご存知ですか?

 まずは、

  この2社のロゴの違いを観察してください。


  楽器の「YAMAHA」

  http://www.yamaha.co.jp/about/corporate/philosophy/index.html

  オートバイの「YAHAMA」

  http://www.yamaha-motor.co.jp/profile/philosophy/


  (できれば、スグに答えを見ないでください。)

         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |         
         |
         ↓         

     ”M”を見比べてみてください。

     ヤマハ発動機の”M”のV字部分が
     楽器のYAMAHAより下に突き出ています。


  楽器のYAMAHAを超える企業を目指したい
  という創業者の想いの表れだそうです。


Vol.10 赤福

2005-06-12 | Weblog
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 Vol.10 株式会社 赤福から学ぶ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■社是

 【赤心慶福】

  まごころ(赤心)をつくそう、そうすることで素直に
  他人の幸せを喜ぶことが出来る(慶福)、という思想です。
  「赤心慶福」の究極は、提供する者とされる人々が、
  まごころの授受によって幸福感を共有することです. 

■社訓

 【緻密到彼】

  「もの」や「こと」を実行するには、「才覚」が必要。
  顧客満足の為には、開発も生産も提供も運営も、
  全てが緻密で一貫していなければならない。
  緻密さとは、あるべき姿と現実との差異を明らかにして、
  見劣らないことです. 緻密さは、精度を求める厳しさの中で培われる。
  仕事は自分であり、仕事に対するひとの評価は
  自分への評価であると考えたとき、すべき仕事を十二分に行い、
  その積み重なりが人をして、会社をして、
  彼岸に到達させる道(到彼)である。 


 【自己定位】
  
  「自己定位」とは、企業の独自性のことです.
  そしてのれんとは、ほかの追随を許さぬ
  「自己定位」を持った企業のことです.
  それは、時代と市場の中で、その企業だけが座る確固とした場を
  持っており、 かつ、絶えず優位性を持つだけの
  前進をし続けているということである。 


 【神恩感謝】

  人は、生きているのでなく、生かされているのである.
  神恩を想い、摂理に従って生きるのだ。

  どれだけ科学が進んでも一粒の米を40房の稲に変えることは、
  出来ない。 空気や水がなければ人類は存在しない。
  ありがたき大地。不思議な大地。
  日本民族は、この大地はとても人が作ったものではない、
  神が作った物であると考えてきた。 なれば自分自身も。

  人智を超えたこの不思議を思う時、神に対して「おかげさま」という
  気持ちがわきおこる.「神恩」への想いである。
  そして伊勢の大神は、まず自分が生きていることに感謝し
  かく生きている宿命に感謝することを考える.

  現代人は、この神恩とそれへの感謝を忘れている.


     (出所:http://www.akafuku.com/f_noren.htm  ,2005/06/12)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【企業理念育成のヒント】

 伊勢名物「赤福」。
 だれもが一度は口にしたことがあるのではないだろうか。

 今週、ある人からお土産にいただいた。
 変らぬ味、期待を裏切らない味に満足しつつ、舌鼓を打つ。

 なぜ、この「赤福」は多くの人に愛されつづけているのだろうか?


 ■企業理念に基づく商品

 【赤心慶福】

   この4文字に込められた想いが、あの桜色のパッケージ
   そして「赤福」の商品文字(ロゴ)に込められている。


  >「赤心慶福」の究極は、提供する者とされる人々が、
  >まごころの授受によって幸福感を共有することです.
   
   この一文は、私が「赤福」を購入する理由と一致している。

   「赤福」をおみやげに購入した時に、受け取る人の笑顔が
   浮かんでしまうのは私だけだろうか。。


 【緻密到彼】
   
   あの桜色のパッケージを開けると表れるいつも変らぬ
   箱の中一面に広がる餡模様とあの餡の色。
   この4文字が変らぬ品質を保つ源。

 【自己定位】

   あの餡の味、下触り 他では出せない味を作り出す強みが
   ある。この4文字が、自社の強みを維持する源。


 


Vol.9 日本電気

2005-06-04 | Weblog

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 Vol.9 日本電気株式会社さまから学ぶ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ■企業理念

  NECはC&Cをとおして、

  世界の人々が相互に理解を深め、

  人間性を十分に発揮する

  豊かな社会の実現に貢献します。

          (1990年制定)    

 (http://www.nec.co.jp/から抜粋,2005/06/04)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【コメント】

 今週、NECの方とお会いした。

  はじめて、NEC本社ビル(スーパータワー)に入った。
 ビルに入り見上げると豪壮な吹き抜け空間に圧倒される。
 
 受付で名前を告げると、
 「お待ちしておりました」と即答され応接室に通される。
 
 応接室の大きな窓から手入れされ青々とした
 樹木が目に入る。
 
 窓下につつじの花がバランスよく彩りを添えている。
 
 つくりの良いソファーに腰を掛けていると、
 上品な感じ女性が、洒落たテーカップに注がれた
 香りよいコーヒーを運んできてくれた。


  う~ん。さすが、5兆円企業だ。
  この場所で、おおきな商談がされるんだろうな~。


 ちなみに、私は、ビジネスではなく、
 知人に会いにきただけ。

 そんなわけで、応接室での会話は短時間で切り上げ、
 田町の小料理屋へ。


 さて、前置きが長くなりましたが、
 今回は、日本電気株式会社さま です。

 ----------------------------------------------
 
 ■企業理念に盛り込まれている内容


  ●企業目的 :存在理由。追求するもの。

    「豊かな社会の実現」

  ●追求価値 :どのような価値を追求するのか。

    「人間性を十分に発揮すること」
    「人々が相互に理解を深めること」

  ●提供価値 :何を提供するのか。

    「C&C Computers and Communications」

   ●対象領域 : 企業が価値を提供する対象
  
    「世界の人々」


 ■価値追求理由の裏にある経営者の想い

  企業理念制定時(1990年)の関本忠弘社長の文献から
  当時の経営者の思いを探ってみました。   

  以下、●印は、1993年の文献から抜粋

   ●「日本は、完熟した工業社会の真っ只中にある」

   ●「今や、日本はNIESを強力な競争相手と考えざるを得ない」
  
   ●「日本の製造業が進むべき道はやはり一層の高度化である」

   ●「製品と生産方法の両面を情報とソフトウェアで武装化・・」

   ●「これらを実現させるためには、情報技術すなわちコンピュータ
    とコミュニケーションが融合されたC&C技術の発展が不可欠である。」

   ●「C&Cを活用することによって、人間の創造力をより一層発揮
    させることが21世紀に向けての製造業の革新につながるのである。」

   ●「いつの時代の経営においても重要なことは「人の心」を大切に
     すること」

   ●「人間には、心がある。その心が燃え立つか燃え立たないか、
     その心を燃え立たせるか燃え立たせないかが経営の原点である」


   今から15年まえに時代の流れを読み、長期にわたり企業にかかわる人々を
   求心してきた企業理念の裏には、奥深い意義を感じました。
  
   これからの10年にむけて変えるべきでない「追求価値」と
   時流にあわせて変えるべき「提供価値」を踏まえた
   「C&C」に変り、あらたに求心するキーワードの
   必要性も感じました。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■参考資料

 1)「もの作り懇談会」通産省編  PHP研究所(1993)
    p140-146
    <もの作りの総合的な技術開発の方向性 関本忠弘>