
映像も音楽も素晴らしいのですが、観る人を選ぶのかも
知れません。冒頭に出てくる日本人らしき観光客の一人が
いきなり倒れてしまうシーンの意味は?とかマザー・テレサ
のような修道女の登場と階段を膝で上っていく修行のような、
あの場面の意味は?とか、頭の中が?マークになったところ
がありました。
ローマに住む作家ジェップは65歳の誕生日を機に、自分の
生き方を見つめ直します。
昔に出版した小説が当たり、それ以降は執筆もせず、派手な
生活を楽しんできたものの、狂騒的なパーティーにむなしさ
を感じるようになります。そして初恋の人や友人の娘、自分
の息子の死に直面し、人生について考え始めます。
時間を無駄に出来ないと。
ジェップが自分の半生を振り返り、生き方を考え直しながら彷徨い歩くローマの街は正に
絵になるような美しいものばかり。歴史を感じさせる建造物の重厚感、装飾品の美しさ
長い歳月を経て出来上がった自然の素晴らしさ。それに対比するように主人公をはじめと
する、登場人物たちの上辺だけの薄っぺらさというのか、空っぽな感じが印象的でした。
マザー・テレサのような修道女を家に招いて食事会を開く際に呼ばれた没落貴族の奥さんが
帰宅後に昔の住居跡を博物館のような感じのところで涙する場面など、理解しきれなかった
ところが気になっています。秋に公開されたら、また観たいなと思います。
優雅で頽廃的な生活を送るジェップを演じたトニ・セルビッロも素敵だったし、
ちらっとしか出てこないファニー・アルダンも良かったし、繰り返し観ると意図が分からず
気になっているシーンもだんだん分かってくるのかなと思ったりしています。
最後に出てくるサンタンジェロ城と橋も雰囲気があって良かったです。
ローマの街の美しさも存分に見れて、行ってみたくなりました。