みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
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平成中村座十月大歌舞伎 『仮名手本忠臣蔵』 Bプロ

2008年10月25日 | 歌舞伎
 24日平成中村座に行ってきました。今まで少し気になっていたんですけど、仁左衛門さんがご出演されるからという理由で(笑)今回初中村座となりました。4つのプログラムがあってどれも気になるのですが、日程や予算の都合、そして仁左衛門さんの本蔵は観たことあるけれど、由良之助は未見ということで、Bプロのみの観劇となりました。本当は通して観たいんですけどね・・・。お席は松席2列目の一番上手。花道は遠いけれど、舞台がとても近くて良いお席でした。(それに松嶋屋ポジションかな?)椅子席ではなく座布団プラス座椅子で長時間正座覚悟していたので(爆)快適でした。座椅子も家にあるのと同じようなのだったし(笑)

五段目 山崎街道鉄砲渡しの場、同 二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平切腹の場


 この日は生憎の雨でした。劇場内にいたときが結構振っていたんですが、雨音が結構するんです・・・。でも、なぜかこの五段目には雨音がある意味ぴったりの天然演出(?)でした。特に定九郎が与市兵衛を殺した時とか、芝居の雰囲気が妙に雨音がぴったりで、ゾクゾクしてしまいました。そして、暗闇の中で起きる五段目は歌舞伎座とは違った中村座ならではの密な空間のよさを感じることができました。
 さて、この五・六段目は通しや単独で何度か見ていますが、誤解と不運の連鎖が哀れすぎるので個人的にはあまり好みではないお話なのですが、今回は今までで見た中でもかなりウルッときてしまったかもしれません。勘三郎さんの勘平がよかったです。忠義に厚いのに、おっちょこちょい・・・・周りも周りで検死というか傷を確かめれば・・・というような・・・。愛情深い孝太郎さんのおかるの健気さ、そして二人の別れシーンは思わず涙してしまいました。


七段目 祗園一力茶屋の場

 中村座に来た一番のお目当てです(笑)仁左衛門さんの由良之助は大きくて、敵を欺き遊んでいても、時折見える本心。私は七段目はそういった芝居がとても好きです。そして、由良之助が顔世御前からの密書を読み、2階からおかるが鏡で盗み見、縁の下で手紙を盗み読みする斧九太夫の3人の絵が美しいですしね。祗園の華々しさもあり、それぞれの登場人物の思惑が絡み合うドラマがあって単独で見ても好きな段です。

 仁左衛門さんの由良之助は初めて拝見。想像以上にとてもよかったです。かっこよかったし孝太郎さんの遊女おかるは綺麗というかかわいらしかったです。ひたすら勘平や家族のことを想っている姿が愛らしくて・・・。橋之助さんの平右衛門とのやりとりも兄と妹という感じが伝わってきてなかなかよかったと思います。あと今まで播磨屋さんの由良之助でしか七段目を観たことなかったのですが、由良之助がおかるに九太夫を討たせるやり方とか、細かいところでいろいろやり方が違ってくるのだなと思いました。でも見立てがなかったのは少し残念。祗園でのお遊び場面好きなのに(爆)けれど、前回見た七段目が巡業で遊びシーン全くなかったんで、贅沢は言いません!!(笑)


十一段目 高家討ち入りの場、同 奥庭泉水の場
     同 炭部屋の場、引き揚げの場


 ここは気軽にと言っては何ですけれど、日本人ならやはり忠臣蔵の締めくくりは討ち入り!ということでいつ見ても高揚感が(笑)(まあ、この後もいろいろありますけれど。)単純に立ち回りだけというイメージがありがちなこの十一段目ですけれど、引き揚げの場面があったことにより本懐を遂げた後の由良之助はじめ四十七士の気持ちがより伝わってきましたね。勘三郎さんの服部が馬に乗って出てきて勢揃いしたところもよかったです。

 単純に仁左衛門さんの大星の装束姿がかっこよすぎ!と思ってしまいましたが、他には勘太郎さんが印象的でしたね。十一段目の小林平八郎の立ち回りもきびきびしていてよかったですが、千崎もよかったです。


 初回の中村座はテレビで放送されたときに見て、面白そうだなと思っていたけれど、機会がなくて・・・今回初めての平成中村座でした。古典の『仮名手本忠臣蔵』をきっちりと、しかも歌舞伎座での興行ではできないような形で上演できたことは大変意義があることなんだなと思いました。観終わってからやっぱりAプロも見たかったなぁと思いましたが・・・。でも、念願だった仁左衛門さんの由良之助も見ることができましたし、ちょっと寒かったのが難ですが、中村座も体験できてとてもよかったです。来月は観劇すらできるか不明な状況なので無理ですが、また機会があれば中村座に行きたいですね。開演前に久しぶりに浅草寺をぶらぶらと・・・。でも小雨とはいえ雨だったので、そんなに楽しめませんでした。またこのときのことも後日・・・。