みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
私の好きなことを綴っているブログです♪

『大和秦曲抄~能楽 謡と囃子の世界』

2009年08月05日 | DVD(映画以外)
 以前より大倉源次郎師のHPで宣伝されていた源次郎先生プロデュースのDVD『大和秦曲抄』が今日手元に届きました。当初は「そんなのが出るんだ~」とブログをさらっと読んでいたのですが、詳しい内容をみてみると・・これまで出ているお能DVDとは違って囃子にクローズアップされた作りですし、何よりも鼓は大小ともに大倉流の先生方ばかりですし興味を持ち始め・・・(亀井広忠さんは違いますけど。)それに私は大倉流小鼓を稽古しております。同じ小鼓でも流儀が変わるといろいろ変わってくるので、これはお稽古の参考になりそうだわ♪ということで購入を決意(笑)予約までして楽しみに待ってました。

収録曲は
第一部 大和の神々
『翁』『三番三』『神舞』『三輪』『鞨鼓』『野守』『獅子』

第二部 謡と鼓の世界
『歌占』『松虫』『勧進帳』『三井寺』



 第一部はすべて居囃子形式(謡と囃子のみ又は囃子のみ)で第二部は一調(謡一人と鼓一人のみで鼓は常とは違う特殊な手組みを打ちます。)で、舞はなしというはっきり申し上げますと、かなりマニアックな内容となっております。何せ・・・お能の放送があっても、メインに写るのはだいたいシテ方。普段の放送ではあまり注目されにくい、締緒を解いたり、鼓を持って構えるところ、鼓を打つところなど囃子方の所作をじくりと見ることができるのもうれしいところ。または男前の源次郎先生♪をじっくり観るもよし(?)

 小鼓を稽古していても、お能を見に行くと、さらには好きなシテ方だとなおさら舞台で待っているシテに注目してしまいがちですが、これは本当に囃子に注目できますね~。謡も観世は梅若玄祥師、宝生は辰巳満次郎師という私もお気に入りの方々。お二方の謡は声が素敵ですのでとても好きです。他では、大鼓方の山本哲也さんのファンになりそうですし(笑)、六郎兵衛さんのお笛もとても素敵です♪
 
 第二部の一調は打楽器奏者一人と謡一人の演奏。いずれも聴き応えがある方たちばかり。謡も囃子も技量が求められます。普段の手組みとは違うので(それゆえ打つことを許されるのは一定レベル以上の人)、以前舞囃子で打ったことがある『松虫』なんかは、こういった違いがあるんだ・・・私にはいろいろな面でまだ無理だな・・と思ったり。
 あと面白いなと思ったのは、左手の調べの扱い具合を見ることができたこと。(マニア視点ですね・・・舞台を見に行って脇正に座っているとたまに観察しますが・・苦笑)小鼓は、左手で鼓を持つのですが、調べ緒の握り具合で音を調整するのです。これが難しいのですよね~。その締め具合のタイミングを度アップで観られる映像ってあまりないですからね。

 メイキングでは、楽屋で小鼓を組んだり、大鼓の皮を炭火で焙じ、力いっぱい締め緒を締め上げる・・・そんな風景や、切戸口の出入りの様子を内側から撮っていたり・・・。お稽古をしてかつ舞台を踏んでいる素人は別ですけど、普段見ることのできない視点からも見ることができるのはかなり貴重ですね。あと、源次郎先生はじめ能楽師のみなさんからのメッセージも収録されてますよ。(六郎兵衛さん・・・声も渋くて素敵♪)そして、解説の冊子も親切です。英語・中国語の解説もあります。(勉強になるかも!)


 それにしても、やっぱりかっこよく囃子の演奏がきまると・・・とってもカッコイイ!!だから、好みの問題はともかく、まずはいろんな人に知ってほしいなと思っています。なので、能楽ファンやお稽古をしている方はもちろん楽しめると思いますが、興味はあるけれど難しそうだし敷居が高くてどうも・・・という方にはぜひこのような映像からご覧いただければと思います。もちろん・・・生の舞台に勝るものはないですけれどね。