みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
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閑能会 『白鬚』 『猩々』

2009年12月19日 | 能・狂言
 今年最後のお能鑑賞も関根家主催の閑能会12月例会。今日もお稽古仲間で同じく関根家ファンの方とご一緒させていただきました。この会は自由席なので、この日も良い席ゲットのために開場時間より早く並びました~。寒かったですが天気が良かったのが救いかな(笑)


能 『白鬚』 道者
 今年の閑能会の番組予定表を見て初めて知った曲。恥ずかしながらそれまで見たこともなければ、曲名すら知らなかった曲です。でも、師匠に伺ったらあまりやらない珍しい曲とのことです。さらに事前にお仲間さんから頂いた番組を見ると、出演者がたくさんですし、時間が140分!ということも伺って、どんな曲だろうか?そしてシテは祥人師ですから、いろんな意味で楽しみにしていました。ただ、予習したくても手がかりがなく・・・(^^;それだけ稀曲ということですね・・・。
 内容は、琵琶湖畔の白鬚明神という神様がシテの脇能です。さて、前シテは脇能によくあるようなパターンで、老人というか漁夫(実は神様)なのですが、今回は後も含めて、能面が非常に印象的でした。特に後シテの面(鼻瘤悪尉)は彫が深くて、神様だけどあまり神様らしさというよりも、おどろおどろしさというか異様さも感じ・・・。

 そして、替の間狂言「道者(どうじゃ)」もこれだけ単体の狂言として演じられることもあるということ。確かにこれだけでも面白いお話です。『船弁慶』に出てくるような作り物の舟が2つあり、勧進聖が乗っている船と道者(巡礼者?)たちが乗っています。寄進を「一銭もない」と断る道者たちの前に鮒の精が現れて、慌てて着物を脱いで寄進する・・・というもの。この鮒の精がお能に出てくるような龍神のようでした。演じるのは山本凛太郎さん。高1ということで、若々しく、飛んだり跳ねたり、凛々しい動きでした!!

 後場は、白鬚明神の楽。『天鼓』のように唐扇ではなく神扇。祥人さんの舞はやはりいつ見てもうっとりしてしまいますが、やっぱり面が怖い(笑)力強くも優雅な舞はやはりというかさすが祥人師というところでしょうか。
 そして舞を舞い終わると、天女と龍神が天燈龍燈を捧げにやってきます。龍神の出が早笛(12月20日訂正、「出端」と書いてアップしてしまいましたが、早笛の間違いです。)、そして舞働もあり、颯爽としてかっこよかったです。そして、自分も舞働などはお稽古をしているところでもありますので、こういう風に玄人のようにできるのは無理にしろ・・・近づきたい!と思うようになってきました。

 さて内容は白鬚神社の縁起を語るというもの・・・予習不足ですと完璧に内容を理解するところまではいきませんが、なんだか凄いものを見てしまったと・・・2時間20分という長い上演時間もあっという間に感じました。(とはいえ、正直に申しますと前半は少しウトウトしてしまったのですが・・・)


シテ:関根祥人 ワキ:宝生欣哉 前ツレ:清水義也
天女:武田友志 龍神:岡庭祥大
間:(勧進聖)山本東次郎、(道者)山本泰太郎、山本則孝、加藤孝典、若松孝
  (鮒の精)山本凛太郎、(船頭)山本則重
  (地謡)山本則俊、平田悦生、山本則秀
笛:松田弘之 小鼓:観世新九郎 大鼓:亀井広忠 太鼓:観世元伯
地謡:関根知孝、武田尚浩、浅見重好、坂井音雅
   武田文志、武田宗典、高梨万里、関根祥丸
後見:武田宗和、上田公威
                      

狂言 『柿山伏』
 教科書にも載ってるような作品ですが(『附子』も定番ですが)、意外にも実は初めて見るんですよねー(笑)道端で見つけた柿を取って食べてしまう山伏。それを見つけた柿の木の持ち主が腹を立てて、あれは猿だの鳶だの・・・とうそぶき、山伏は言われた動物の鳴き真似を・・・というこれも狂言によくあるパターン。
 長時間のお能の後に見るは気軽に楽しめた狂言でした。

シテ:山本則俊 アド:山本則秀


能 『猩々』
 会の締めは祥六先生の『猩々』です。こちらは『白鬚』に比べると、というか、比べなくても短いお能ですが、1年を締めくくるのにふさわしいおめでたい曲でしょう。シテの祥六先生は、少しおみ足が・・・と感じてしまう箇所もあり、キリでは途中ヒヤッとしてしまう箇所がありましたが・・・こういう事態になったときのご本人の対応ももちろんですが、周囲の冷静な対応などは舞台に立つ上での先生方の舞台への心というものを感じました。
 余談ですが、私はお酒に弱いのでお酒を少し飲むだけで顔がすぐに赤くなります。お酒の席で、師匠に「猩々の面みたい」と言われたことがあります(笑)新年会でもキリを謡うので、練習しておこう・・・(笑)

シテ:関根祥六 ワキ:殿田謙吉
笛:寺井宏明 小鼓:大倉源次郎 大鼓:亀井実 太鼓:助川治
地謡:高梨良一、関根祥人、上田公威、岡庭祥大
   斉藤剛、岡本九十九、長宗敦子、関根はな恵
後見:関根知孝、関根祥丸 


 そのほかに、素謡『菊慈童』、仕舞『清経』キリ、『班女』クセ、『芭蕉』『鵜飼』がありました。

 さて、この1年は自身の体調不良により見逃してしまった会もありましたが、いずれもすばらしいものばかりでとてもよかったです。気がつけば、関根さんちの会にばかり伺っておりますが・・・本当に良いお能に出会えたことに感謝します。そして、この1年は、源次郎先生の鼓で始まり、源次郎先生の鼓で終わった能楽イヤーでした(笑)そして、今日は、珍しい曲がかかるからというのもあるのでしょうか?客席にはお忍びでいらしたと思しき某家当主の能楽師さんたちなど著名な方たちがいらっしゃいました。