みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
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能面のような表情という表現

2010年07月13日 | 雑感~芝居関連
 タイトルのことを度々人に話したりすることはあるのですが、改めて考えてみたので書きます。能を取り上げているマンガを見比べて、能面を描くことって画力が必要なのだろうな・・と思ったことが、再び考えるきっかけになりました。よく能面のような表情(顔)と誰かが口にすると、その表現に疑問に思うことがあります。疑問に思うというよりも、嫌いな表現と言った方が近いかもしれません。能面のような・・という表現は、恐らく“無表情”の例えで使われていると思います。確かに、能面は勝手に表情が変化しません。むしろ、あれがいきなり笑ったりして表情が勝手に変化したら、そちらの方が別の意味で怖いです。そして、一般的には、怖いと思う方の方が多いのも事実だと思いますし、なじみがないというのも認識しています。

 なぜその表現のことを疑問に思うのかというと、能面はたくさん種類もありますし、角度によって表情が変わります。表情自体は生身の人間のように変化はしないですが、角度を変えると嬉しそうそうだったり、悲しそうな表情に見えます。なので、無表情というよりも中間表情であると言われていますし、私は表情豊かなもの、奥深い表情だと思っています。
 
 一般的に般若の面は有名だと思いますが、怖いと思われがちな般若の面は、主に嫉妬に狂った女性の役に使われます。確かに怖いには怖いですけど、怖さと同時に哀れさを感じたりすることもあります。それから、酒が好きな妖精が主人公の『猩々』に使われる「猩々」という専用面は、お酒が好きなので顔が真っ赤で笑っているようにも見えます。私はお酒を飲むとすぐに顔が赤くなるので、お稽古の飲み会で、師匠から「君を見てるとね、猩々の面を思い出す。」と言われたことがあります(笑)なので、お酒を飲んで楽しくやっていても「能面みたいな表情」をしているってことになりますよね。(お断りしておきますが、私は猩々みたいな酒好きではありませんし、あんな顔ではありません・笑)
 同じ女性でも「小面」「増」など年齢などによって使い分けますし、表情だって違います。男性面もいろいろあります。
 あと、すばらしい面は飾られているだけでも綺麗ですが、やはり能に使われるお道具ですので、舞台で使われてこそ初めて生かされるものと思います。もちろんシテの力量にもよりますし、観る側の気持ちの問題もあるのかもしれませんけど。あと、装束をつけないで、普通の着物姿で面をかけるというのも変なので、やはり舞台上でちゃんと装束もつけて・・でないと綺麗に見えないかもしれませんね。

 思うことをつらつらと書いたら、まとまりのない文章になってしまいましたが、これから私の前で「あの人、能面みたい」なんてことを言ったら「何の面?」「テラス?クモラス?」なんて聞き返すかもしれません。まあ、実際にはもちろんそんなことは言いませんよ・・・。でも能面にはいろいろな表情があるんですよ~ということが多くの方に知っていただければな~と思います。

 ちなみに私は「泥眼(でいがん)」が結構好きです。『葵上』の六条御息所の生霊の役にも使われるのですが、なんとも言えない表情(感情)が入り混じっていて、白目と歯に金泥が施されているのがミステリアスですし。あと「般若」も好き。これもいろんな複雑な表情が表現されているから。って・・・どちらも怨霊系じゃん・・・

 ということで、少しでも興味をもたれた方、それってどんなの?なんて思われた方は、こちらとかコチラをご参照ください。

 こうやって改めて考えてみると、奥深いものだな~と思いました。まだまだお能に関しては知らないことも多いので、もっと勉強してみようと思います。とはいえ、まだちょっと見に行きたいなという元気がまだないのですが・・・。