みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
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野村万作 狂言の会

2010年07月31日 | 能・狂言
 今日は当日券がまだあったので、長泉町文化センターベルフォーレで行われた万作さんの狂言の会に行ってきました。ここのホールは何度か訪れていますが、小さいながらもオーケストラから古典まで良質の公演が催されますし、舞台もアレンジができるので能や狂言の公演の時は張り出し舞台を作り、能楽堂の能舞台に近い(柱や屋根はないけれど)舞台が作られるので、結構気に入っています。ただ寸法は本来は三間四方ですがこちらは四間四方とちょっと大きめです。ということで、まだ余っていたので、能楽堂でいうところの脇正面席からの鑑賞となりました。

 まずは万作ファミリー(?)のベテランさん石田幸雄さんの解説がありました。この手の地方の能・狂言(古典芸能)公演に解説がつく場合によくある客席挙手アンケート「今日、初めて生で狂言を見る方」というのがありました。過半数の方が手を挙げられていました。(私がみたところほとんどかな。)ということで、石田さんは初心者の方でも楽しく分かりやすく、狂言や能のことや舞台について、今日の演目の解説などを解説されていました。最後には今回は舞や謡がないということで、こういうスタイルもありますよということで小舞がありました。(スミマセン曲名失念・・・)

『萩大名』
 都へ上っていた大名(といっても江戸時代の大名とは違い、地方の地主といったところ)が都で有名な庭のある茶屋を訪れます。しかしそこの主人はたくさんの萩がある庭を見せる代わりに歌を所望することで有名なのです。無教養な大名は歌を詠むことができないので、家来の太郎冠者は「七重八重九重とこそ思いしに十重咲き出づる萩の花かな」という歌を教えるのですが、大名は覚えることができません。そこで太郎冠者は扇のを使って、その本数で七重八重九重、十重の部分を、むこうずねから萩(すねはぎ)を思い出させるようにします。(いわゆるカンニングですね~)
 言葉のユーモアもそうですが、人間らしいユーモアもまた狂言ならではですよね。時代が違えど、日本人が感じるおかしさというものは変わらないと思います。

大名:野村万之介 太郎冠者:竹山悠樹 主人:深田博治 後見:岡 聡史

『六地蔵』
 地蔵堂を作った田舎者が肝心の地蔵がないので都に仏師を探しに行くと、そこですっぱ(詐欺師)に出会います。自分が仏師であり、明日の今頃までに地蔵を六体作ろうと田舎物と約束して別れます。しかし、もちろん仏像など作ることができないすっぱは3人の仲間に頼み、地蔵に化けてもらい、お金をもらってから逃げようと考えます。
 6体なくてはならないのに、3人が地蔵に化けなくてはならず、あちらで3人が化け、急いで移動してまた別の地蔵に化け・・・。能舞台一杯使った楽しいお話しです。3人のすっぱが地蔵ポーズをするのですが、段々違うポーズになっちゃったり、すっぱ(万作さん)が慌てる様子とか面白いですね。

すっぱ:野村万作 田舎者:石田幸雄 すっぱ仲間:月咲晴夫、高野和憲、岡 聡史 
後見;深田博治

 
 狂言のみの会に出かけるのは一昨年の茂山狂言以来で久しぶりでした。最近はずっと「お能」メインの会の「狂言」を楽しんでいましたので。この1週間、いろいろな事情で寝不足続きだったり仕事を終えてからの観劇で、正直ウトウトしちゃったところもありました(^^;。が、久しぶりに万作さんの狂言を楽しむことができました。萬斎さんの狂言も好きですけれど、やっぱりまだまだ・・・お父様の狂言の方が好きです~(笑)
 この日が狂言が初めてという方もこれがきっかけで少しでもファンになってくれたり、敷居が低くなったと感じてくださる方が増えれば幸いです!私も、いつまでも避けていないで、機会があればまた能楽堂へ足を運びたいと思います。