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理想的な油(脂質)の摂り方~オメガ3とオメガ6~ Big Smail Webさんより

2015年02月17日 | 食事療法 ダイエット
ビッグスマイルウエブさんのページに理想的な油の摂り方のページがありました。
とてもわかりやすいので抜粋と注をいれさせて頂きましたが、是非理想的な油(脂質)の摂り方~オメガ3とオメガ6~も見てくださいね。

理想的な油(脂質)の摂り方~オメガ3とオメガ6~
油を制するものは油だけ!?
ダイエットや美容に気を使う方は「油」と聞くと、イメージ的にすべて悪者のように捉えがちですが、油(脂質)ほどその摂り方で結果の良し悪しが分かれるものも無いように思います。少し大げさですが、人生を左右する!?と言っても過言ではありません。そこで、こちらでは理想的な「脂質(油)の摂り方」について解説して参りたいと思います。その前に、まずは脂質(油)の役割について、簡単に見ていきましょう。

脂質の役割について
脂質(油)は私たちの「命の燃料」となる無二の栄養素といわれ、とても大切な役割を担っています。特に、次の2点がポイントです。
1.細胞膜(生体膜)の形成
細胞の門番ともいえる細胞膜は、栄養素を取り込む、老廃物を排出する、細菌やウイルスの侵入を防ぐ、細胞同士の情報を伝達する、ホルモン様物質の材料になるなど、私たちが基礎となる大切な役割を果たします。
2.エネルギー源として働く
まっさきに使われるのは、ごはんやパンなどの糖質ですが、糖質がなくなってくると脂質からエネルギーを使うようになります。脂質は糖質の約2倍のエネルギーを放出するので、効率のよい燃料源なのです。
他にも、熱の発散を防いで体温を保ったり、太陽の光を利用してビタミンDを合成したり、脂溶性のビタミンA・D・E・Kなどの吸収を助けたりします。次に、脂質の種類についてみていきましょう。

脂質の種類について
脂肪には大きく分けて飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つがあり、飽和脂肪酸は牛肉や豚肉、乳製品など動物性の脂肪に多く含まれています。不飽和脂肪酸はさらに、オメガ3系不飽和脂肪酸とオメガ6系不飽和脂肪酸という主な2種類に分類されます。
・飽和脂肪酸・・・肉や乳製品などの動物性の脂肪
・不飽和脂肪酸・・・ベニバナやコーン、オリーブ、亜麻仁など植物性の脂肪
※不飽和脂肪酸は化学構造の違いから、「オメガ3」「オメガ6」「オメガ9」とさらに細かく分類されます。
飽和脂肪酸は体内で合成できるため、必ずしも食事からとる必要はありません。むしろ動物性の脂肪のとりすぎによる弊害のほうが指摘されるくらいです。
一方、オメガ3とオメガ6はどちらも私達の体内では作り出せないことから、食事などを通して外から補わなければならない「必須脂肪酸」と呼ばれています。
つまり大切なカギとなるのは、このオメガ3必須脂肪酸とオメガ6必須脂肪酸のバランスという訳です。

油の摂り方はバランスが命
結論から言うと、「オメガ3:オメガ6」の摂取比率は「1:4」が良いといわれています。(注:原始人食では1:2を勧めています)

先ほど申し上げたように、必須脂肪酸は私達の約60兆個の細胞膜をつくったり、エネルギーとエビフライの写真して働くため、私達の健康を保つために、なくてはならない栄養素です。そのため、必須脂肪酸が不足したり、理想の摂取バランスが崩れると体の機能は大きく狂ってしまいます。残念なことに近年の日本人の欧米型の食事ではオメガ6(リノール酸)の摂取がダントツで多くなり、1:10~40に及ぶ場合もあります。これが問題で、なぜなら2つの必須脂肪酸は体内で全く正反対の働きをします。

オメガ3とオメガ6は正反対の働きをする
オメガ3必須脂肪酸 亜麻仁油、えごま油、チアシードオイル、青背の魚の油 etc
主な作用 アレルギー抑制、炎症抑制、血栓抑制、血管拡張
オメガ6必須脂肪酸 べにばな油、コーン油、ごま油、サラダ油、マヨネーズ etc
主な作用 アレルギー促進、炎症促進、血栓促進、血液を固める

私たち、現代人は数十年で急速に食環境が欧米化してしまいました。そのため厚生労働省が定めた「日本人の食事摂取基準」でも、サラダ油やコーン油、マヨネーズ、べにばな油に代表される【オメガ6必須脂肪酸】の過剰摂取が指摘されています。そして、現代人がもっとも不足している栄養素が【オメガ3必須脂肪酸(アルファ・リノレン酸)】なのです。

オメガ6体質にストップ!
オメガ6にはアレルギー促進や炎症促進、血栓促進作用がありますので、オメガ6過多の食生活がアトピーや花粉症などのアレルギー症状の悪化や不調の原因のひとつになっていることは間違いありません。また、マーガリン、ショートニング、菓子類、ファストフードに大量に含まれるトランス脂肪酸は多量に摂取すると悪玉コレステロールを増加させ心臓疾患のリスクを高めるといわれ、その危険性が周知の事実となっています。2006年にはニューヨーク市が飲食店での前面使用禁止を条例で定めました。

反対にオメガ3は、アレルギー抑制、炎症抑制、血栓抑制とまったくその逆の働きをしますので、意識的に揚げ物や、ファストフード、菓子類を抑え、良質なオメガ3の油を摂ることが本当に大切なのです。脂質の摂取バランスの見直しだけで、例えばアトピー性皮膚炎や花粉症が緩和した、という報告は絶えません。

ここで注意したいのは、オメガ3は熱に弱いため(油は元来熱に弱く、加熱すると酸化してしまいます)、加熱調理用には向きません。炒め物などの加熱調理には融点が高く、酸化しにくいオメガ9系のオイル(オリーブオイル等)がおすすめです。このように、理想的な脂質バランスに近づけるためには、まずは意識してオメガ6系の油をとらないようにする位で丁度良いと言えるのですね。

代表的なオメガ3の摂取源として
生の青魚や亜麻の種(フラックスシード)、エゴマの種、クルミなど一部のナッツ類、海藻などが一般的です。

オメガ3に期待できる働き
・脳の健康維持
・悪玉コレステロール低下
・神経疾患の予防
・骨の健康維持
・炎症を抑える
・がん予防
・抗メタボ などなど

おわりに
ここまで読むと、オメガ6は全てが悪のような気がしていますが、オメガ3とともに協力して「脂質の役割」を担うほか、様々な生理活性物質を生むなど無くてはならない、「必須脂肪酸」です。繰り返しますが、大切なのは摂取バランスなのです。冒頭で述べた、油(脂質)摂り方が人生を左右する!?と言っても過言ではない、という意味がお分かりいただけたのではないでしょうか。
参考:『病気がイヤなら「油」を変えなさい』 山田豊文著
注:ココナッツオイルは中鎖脂肪酸で、ω3ではないので、気を付けてください。たまに勘違いしちゃうんですよね。