ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

初雪

2012年12月02日 | 日記
初雪が降りました。

こんなに早い雪は20年来初めて。
昨日スタッドレスタイヤに替えておいてよかった。車にはほとんど乗らないものの。



朝は晴れていた。

11時ごろから山に白いものがかかってきたな、と見ていたら風と共にミゾレが降ってきた。




私のいる上野村は群馬県でも実は一番南に位置しています。
群馬の山に住んでいると話すと、さぞかし雪が深いんでしょうと言われることがありますが、
それほど雪には悩まされません。
春先に関東平野で雪が降るのと同じように降ります。


しかし時々気流の気まぐれなのか、長野の天気になったりします。
そんな時には積もるようなことはありません。
そんな雪を、みなさん「はあて」と呼んでいます。
実家のある前橋あたりでは「風花」といってたかな。




今日の雪も一時間ほどでやんで、また晴れました。


真っ白に吹き荒れる中、トンビが七羽も群れて飛んでいるのが見えました。
輪を描いて。
きっと雪の中を飛ぶのが楽しかったのでしょう。



先日仕上げた物が、どうしても気に入らなくて、
今日は一日、それを作り直すことをしました。

材に染みがありながら、代わりの材がなかなか無くて、作ってしまったのですが、
どうしてもやはり気に入らず、夜寝ていても気になって、
とうとう作り直す気になりました。
一等良い材を使って、きれいなものに仕上がりました。


年末の納期の追い込みに追われる中、一日分ロスしてしまいましたが、
気持ちは晴れ晴れです。胸張って納品に行けます。

尊敬する先輩の木工家もご自身のウェブサイトで同じようなことを書いていたな。


秋深まる

2012年11月13日 | 日記
今年ほど秋に色彩を感じる年はない。

今期の紅葉が特に美しいのだろうか?

何か心境の変化なのでしょうか。







見慣れた自転車での通勤路。

木々の間から差す朝の光がしっとり濡れた路面に縞模様を描く。






人の打ち捨てた家の庭のモミジに透ける光。






峠越えのときに撮った深山の光景。






工房の庭のマムシ草の実。






やはり工房の野ばらの実。











落ち葉。





先日、「苔ってきれいだよね」いったら、家人に「じじむさ。」といわれてしまった。
そういうものに感銘を受けるようになったのは年のせい?






工房の庭の桑の木にキクラゲが生えている。
乾くと干からびてる。でも雨が降るとふっくら生き返る。
「木耳」とはよく言った、まさに木に生えた耳に見える。
きのこ図鑑で調べるとキクラゲには毒キノコはない。つまり食べられる。
しかし高いところにあって、手が届かない。
いつか採って食べてみよう。


仕事は定番のペーパーコードチェアを7台作っています。
近く一週間ほどの催事があるので、座面張りの実演をしながら接客できるようにという考えです。












工房の周りの木々

2012年11月09日 | 日記
工房の薪ストーブを燃やし始めました。




ノルウェーのヨツールというメーカーのものです。(F602)
この場所に工房を構えた冬に買ったのですから、18年使っています。
ちゃんとした薪ストーブ屋から買いました。
「若いのに(当時28歳くらいかな)いいもの買って、えらいねえ」と店主に褒められた覚えがあります。
結局いいものは長持ちしてお得。
一緒に買った煙突もしっかりしたステンレス製です。穴が開きません。
煙突もそのストーブ屋が自分のところで作っているものです。
年に一度くらい、煙突をばらして掃除します。
ストーブの中の鋳物の板と扉のガラスは悪くなって交換しました。
ちゃんとしたメーカーのものは何年たってもちゃんと部品が供給されます。




薪は仕事で出る端材です。よく乾いた広葉樹なので理想的な薪です。
これだけあれば一冬大丈夫、多分。




ストーブを燃すとどんどんお湯が沸きます。
そのお湯を持ち帰ってお昼にはウドンやパスタを茹でるのに使います。
節約節約。
夜は湯たんぽとして布団に入れます。
写真のペットボトルはもう何年も使えています。
ペットボトルも熱湯を入れるとふにゃふにゃになってしまうものがあります。
反対に何年も使えるような丈夫なものもあります。
穴が開いたら新しくします。










工房近くの社に大きな山桜があります。春には素晴らしい花が咲きます。
桜は春が早いせいか、落葉も早いです。
ちょっと社のある丘に登って桜の木を訪ねてみてみました。




後ろの方に工房の建物が写ってます。



立派な木です。皆さんに大切にされています。
直径が1mくらいはあるのでしょうか。
製材したらどんな板が取れるだろうとつい思ってしまうのは木工屋の浅ましさ。




工房の庭にも立派な桑の木があります。カエルが卵を産みに来る池の脇に生えています。
蚕を飼った時には葉っぱをもらいました。
直径は70cmくらいでしょうか。
桑でこんなに大きいものも珍しいはず。
最近は枝が張り出しすぎて、その重さで倒れてしまうのではないかとちょっと心配です。
夏には素敵なこかげができます。
この写真は夏に撮ったもの。草が青々してる。




工房の裏手の山際にも大きなクルミの木があります。
工房の周りにやたらクルミが生えてくるのはこの樹の実をリスが配っているんじゃないかと思ったりします。
この木も直径が80cm位はあります。

この写真の後ろにも工房の建物が写っています。

山里だからといって、そんなに大きな木がたくさん生えているわけではないんですけどね。






新羽神社祭典

2012年10月07日 | 日記
今日は自宅と工房の間にある神社のお祭りでした。




いつもの通勤路にもしめ縄が張られています。





新羽神社。上野村で一番由緒正しい神社と言われています。
破風にモモンガの穴が開いています。





珍しい白い鳥居。波打つ石段。




鳥居の横に変わった形の手水場。瓢箪のかたち?





社の横に直径2mほどの杉の切り株。樹齢は1000年ほどだったそうです。
20年以上前に、空洞化して危険なので伐採したという話です。





毎日散々前を通っているのに、入ってそんなにしげしげ見ることはなかったです。






燈明が入る室がなくなっている石灯篭。
柱が竹を模した形になっています。





こちらが完品の灯篭。写真奥に見える白い橋のたもとに私の工房があります。





神社正面の上の彫刻。「瓢箪から駒」の絵柄でしょうか。彩色が残っています。





柱の彫刻。獅子でしょうか。かわいいですね。





これは象ですね。ほとんど創造の動物。







神社の建物の中に、また社があります。
これがすばらしい。木彫の宝庫です。





背面の掘りもの。暗い所なのでぶれています。
松の木の下で巻物を読む二人の人物。





これは左の側面。何の場面なのでしょうか。








各所にこのような彫り物があります。
このような文様もいいです。
材は素晴らしく目の詰んだケヤキ。

古いものを見るのが好きです。


お年寄りに聞いた話。

建造に使ったケヤキは一本だったという。(どんなでかい欅だ。)
制作中、請け負った職人に子供ができ、一度家に帰った。
その人は17年後くらいに子供と帰ってきて、二人で仕上げたという。
いつの時代のものかはわからない。
一説では600年前。(それはいくらなんでも古すぎでは?)
何かの事情で、建造時代が分かる書物は破棄されたという。

お祭りは神輿を担いで川に行き、川の中を歩く「川下げ」、その後神楽の奉納があります。

人を撮らず、ものばかり撮る私は変わり者。








前のブログで作っていたものができたので、報告を兼ねて写真を載せます。
玄関の収納です。
扉の鏡板は板を割いて作った「ブックマッチ」になっています。
この写真と、建物に付けた時とは多少配置が変わります。




合板の本体ですが、前だけは無垢材が貼ってあります。
あまり普段は使わないスライド蝶番を使っています。



お祭りの後、仕事をしていたら工房の庭に鹿が来ました。まだ6時くらいです。
なかなか写真は撮れません。さすがに出てゆくと逃げてしまうから。




















樹を伐る。(草刈も)

2012年09月21日 | 日記
山はすっかり秋。

鹿が鳴いています。繁殖期になると雄鹿の切ない遠吠えが響きます。





通勤路の栗もはじけています。道に落ちている栗は車に轢かれる前に失敬。




何日かかけて工房の庭の整備をしました。




草刈前の写真。↑

草にしていても特に支障はなかったのですが、
これから年内にする仕事の木取りをしてしまおうと思っているので、
材木をいじるにも多少不都合です。体裁も少しは気にします。


まずはエンジン草刈り機で伸び放題の草を刈る。2メートルほどに伸びた草としばし格闘。
バッタだのカマキリだの、虫がどんどんと逃げてゆく。いつも愛でているので、ちょっと胸が痛みます。

置いてあったパレットをどかしたら、蜂がどっと飛び出して大慌てで逃げる!
刺されずに済んで一安心。
そうそう、この時期は蜂が一番怖い。
巣の主はホソアシナガバチでしょうか。



巣にはもう幼虫も卵もないようです。
巣があったところにはしばらく蜂がうろうろしていて近づけません。




今回は、立ち枯れのアカシアを伐らねばなりません。倒れたら危ないので。
切るのは庭の真ん中の一本と、入り口の1本の合わせて2本。

庭の真ん中に2本のアカシアが立っていましたが、そのうち1本は春先に嵐で倒れました。
その残った1本も葉っぱがちょろりと生えているのみ。↓





もう1本は工房の入り口に生えてて、完全に枯れています。↓





電動のチェーンソーしか持っていないので、コードリールを伸ばして使います。

実は樹を伐り倒すのは初めてです。人が切るのは見ています。
樹を伐採するのはとても危険な作業で、恐ろしい話はたくさん聞いています。
どこに倒すか、木の傾きを観察し、退路を確保し、なぜか自転車のヘルメットを着用して作業に臨みます。





受け口を付けます。3分の2くらい切っても木はびくともしませんが、
しょっちゅう見上げながらの慎重な作業。





どっすんと、一本め。思ったとおりに倒れてホッとします。





こちら2本め。細い立ち木に寄りかかって止まってしまいました。
下に行ってその木を切るわけにはいかないので、しばらく放っておきます。
切った木は最終的には薪にする予定。






草刈、伐採の終わった工房の庭。やれば気持ちがいいです。
でも、いつも眺めていた樹木がなくなると寂しい気もします。



こういう作業をするとカレル・チャペックの「長い長いお医者さんの話」の一節を思い出します。
木こりが陰気な森を伐採して、お姫様の病気を治す話。
実際、山村では家の周りには樹を生やしません。日当たり重視だから。
軽井沢などに納品に行くと、家の周りは林です。雰囲気はいいですが、多分しけっぽいでしょう。







工房の庭のはずれに放置された二階建のプレハブがあります。
だんだん葛だの蔦だのに覆われていくのを長年見ています。
「天空の城 ラピュタ」の廃墟のようになっていってます。
もうすぐ森に食われそうです。(それは違う話か。)