ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

上吊り引き戸のシューズキャビネット

2017年11月17日 | 動物
上吊り引き戸の靴収納を作りました。

卑近な日本語では下駄箱ですね。なんかもっといい名前はないものかと思い、シューズキャビネットと呼んでいます。



今まで作ってきた物は地板にレールの溝を突いて扉に戸車を付けていました。

しかし靴をしまうとどうしても砂が着いてきます。

この砂がレールにはまって戸車がじゃりじゃりします。

これを防ぐには上吊りの引き戸にするべきだというのはわかっていました。

今回はその点をお客さまとも相談し、上吊りの金物を使うことにしました。



しかしなかなか適当なものが無い。

スガツネというメーカーのカタログを熟読して見つけたのが今回使用のものです。

これ



しかし話はそんなに簡単ではない。

代理店に相談すると、その見積もりが高くてびっくり!

書いてしまうと、セットで5万5千円ほど。


お客様に相談すると、それでよいから使ってくれとのこと。

では取り寄せてみよう!






来たものを見て見ると、なんとスイス製である。

スガツネさんが作っているのではなく、輸入代理店なのであったのか、、、






懇切丁寧なマニュアルが同梱されています。

この通り加工すれば間違いなし。







このように精緻なプラスチック製品です。

ダイヤルは高さ調節のためのもの。








レールももちろんセットの内。

アルミ押し出し材のきれいなもの。







扉にはこのような穴を開けて座金をネジで止めます。







扉の下に付けるビンのガイドレールもご丁寧にセットについています。







レールに滑車を入れて家具側にネジで止めます。







それに扉に付けた座金をパチッと止めれば出来上がり。

感動的に滑らかな動き!

こりゃ5万5千円だわ~

メーカの動画はこちら










こちらも今回初めて使った棚システム。

ダボ棚より細かくピッチが調整できます。

こちらの方が資材も安く、取り付けも楽です。

金属の棒が露出しているので美観はいまいちでしょうか?







このように地板にピンが出ているだけですっきりしています。












今回作った引手。

ウォールナット材です。




コメント (3)
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桜と柿の戸棚の製作 その1

2017年07月12日 | 動物
オオムラサキが飛び始めました。

写真は撮れず。




工房の建物の裏に実生の胡桃の木があって、時々こつんと音をさせて胡桃の実が落ちます。





庭に置いてある材木にのせてあるトタンの波板にも胡桃の実が落ちて、こちらは少し大きな音がします。





まだ熟さない実がたくさん落ちています。






ニガウリを植えたところに雑草の芽が出た、と抜いたら胡桃の発芽でした。





なんとなくかわいくなってしまい、鉢に植えてみたら、後日鹿に食べられてしまいました。

人が植えたものは皆美味しいものと思ったのでしょうかねえ。






扉と引き出しのある、クラシックな家具を作っています。

お客さがお持ちの柿の板を生かして作るというのが課題です。






ちょっと切ってしまった写真ですがこんな板です。

少し黒柿のような色があり、虫食いが多く、縮みがあります。




これを薄く割き、他の板に張って前板を作ります。






こんな図面。

高さは156cm弱、間口は150cm、奥行きは55cm。

本体はシュリサクラで作ります。







組み立て。これは下台。

慌ててやって、あまり写真がありません。






引き出しはちょっとだけ大きく作って鉋で削って仕込みます。

組んだ時はこのくらいしか入りません。







仕込みました。

全部入れてしまうと引き出しを抜くのが大変なのでちょっとだけ出してあります。

スライスした板なので木目が揃いますね。








引き出しの中は総桐です。








上の部分です。

左は観音開きで服を掛けるバーが付きます。

右は引き違い扉で細かい棚が付きます。

枠には鏡板が嵌ります。







これがツマミ。

材はブラックウォールナット。





さて塗りが始まります。















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クルミのテーブル

2017年03月27日 | 動物
三月も末なのに、二日ほど続けて雪が降りました。
東京では桜が咲いたとのことですが、山村は梅が盛りです。




村に来た頃、「ゴールデンウイークくらいまでは雪に気をつけろ」みたいなことを言われた覚えがあります。

朝起きたら白く、日中は雨になって屋根から雪が落ちてきました。
道には積らず、通勤には影響なし。







大きなテーブルを作って納品してきました。




この写真は1月15日。
今はこんなに雪はありません。

この一番奥にある材を取りに行かなければならないのですが、
雪があるのでフォークリフトが使えません。
というか、かえってフォークリフトが邪魔です。






雪の上を引きずって板を運びました。

長さが3.5m、幅は60cm、厚さは7cmあります。






長さに切って工房内に入れます。

この二枚の板を使ってテーブルを作ります。
材はクルミ。
10年以上寝かせた秘蔵っ子です。






削りました。


綺麗な木なのですが、入り皮のある丸太でした。

入り皮とは、木の幹の中まで皮が入り込んでいる材の様子です。
製材するとバラバラになってしまうこともあります。

この入り皮による傷が無ければ2mの長さで幅が90cmのものが取れたのですが。





お客様と念入りに相談して、このようにカットすることにしました。







これは足。

甲板と同じ丸太から取れています。








さて納品。


今回の納品は片道7時間のロングドライブ、日帰り。





5時に出発。





日本の背骨を超えていきます。






お客さにお手伝いいただき、無事納品。

お得意様ですので、何年も前の私の家具も迎えてくれました。




これからもご家族の幸せな時間を過ごすお供になって頂ければ幸いです。


名物の鰻を食べてとんぼ返りです。


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細い額の制作

2016年09月02日 | 動物
台風10号が来て、私の所でも警報が出ました。




毎日通勤しながら見ている川です。
これは一番酷い時で、今はだいぶ水位は下がっています。

お祭りのとき駐車場になったりキャンプ客がテントを張ったりする河原は完全に水没です。



何年かおきにはこのくらい増水します。

向こう岸に芝生が見えますが、この芝生に水が乗るくらい増水すると家が流されたり崖が崩れたりするような災害になります。
私の知る限り、二回ほどそんなことがありました。
通行止めで孤立しますし、消防団で救助に行ったり土嚢積みをしたり。
これで水不足は一段落ですね。

被害にあった方のことを思うと胸がうずきます。






額を一つ作りました。

とにかく、細いものというご要望です。





高さは20mm、前から見た厚さは10mmをご希望でしたが、
金具を付けたりするためには11mmは必要とお伝え、そのようになりました。







いつも使ってる機械ですが、小さな部材を精密に加工をするためにベニヤや角材を貼り作業します。







これは試作品です。

留め(45度)の部分以外に「あられ組」という仕口で組みます。







留めの部分にも「あられ組」が作れることを思いつき、
最終的にはこのような木組みにしました。







途中で厚みが変わるので、ホゾの切れ込みも二段になっています。







組んだもの。

一枚のホゾの厚さは3mmです。







金具を付けたところ。

金具が7mm幅あるので、付く部分も7mm必要です。

前側の引っ掛かりは4mmで、計11mmという訳です。








全景。

63cm×55cmくらい。

地味で、仕口などは目を凝らさないと見えませんが、これがよいとのことです。





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サクラ材のサイドボードの制作 その2

2016年07月08日 | 動物
梅雨ですが、利根川水系の水源地であるわが村でもあまり雨が降りません。

工房のカエル池の水も心なしか少ない。



ここ何日かでオオムラサキが飛ぶようになりました。
写真は撮れず。









カマキリ虫の幼生を見るようになりました。
肉食のカマキリは他の虫が多くなってから出てくるようです。






子供の夏休みグッズのようですが、仕事関係の物です。

麦わら帽子は外で材木をいじる時の日よけ、補虫網は工房に入ってきた虫を外に出すために使います。








サイドボードが完成しました。
同じサクラ材を使った机も出来上がりました。






引き出しと扉を仕込みます。
前の面が揃うようにいろいろと調整します。






今回の引き出しは中央から線対称になっていて、全部で10個ですが、
左右それぞれの5個の引き出しは全て微妙に違う作りになってしまいました。
もちろん深さも違いますがそれだけではなく前板の上下左右の出っ張りがみな違います。
棚板を隠すための前板のかぶせ方が複雑だからです。
しかし閉めてしまえば前板だけが見えるので、そんな苦労は見てもわかりませんね。






オイルを塗り、つまみを付ければ完成です。




自分の作ったものですが、解説を少々。

このサイドボードは材はヤマザクラで、足と裏板以外は全て一本の丸太から取れた板で出来ています。
天板は天然耳付きの一枚板です。

引き出しと扉は、天板・側板(足)・地板で囲まれた中に納まり、棚板を全て隠すようなデザインにしてあります。
棚板を見せると線が増えてうるさくなります。
しかし売り家具の様に全てかぶせにして引き出し前板の木口が見えてしまうのもカッコ悪い。
そのような発想から生まれたデザイン処理です。

蝶番がこげ茶色で、ウォールナットのつまみと色が合っています。





扉と引き出しを開けたところ。






天板の様子。






こんなディテール。

真ん中の引き出しの前板を1cm厚くし、膨らみを付けて立体感を出したのですが、その効果はいかがでしょうか?






裏板もちゃんと仕上げてあります。

上下で木目もつながっています。











同じお宅にお納めする机です。

サイドボードと同じ板を甲板に使っています。

キャスター付きワゴンもセット。






こんな甲板。

もっと広い板でしたが、使い勝手の関係で狭くしてあります。







組み立てているところ。

急いでいてあまり写真を撮りませんでした。






ホゾが集中するこのあたり、結構複雑な仕口になっています。







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