ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

お蕎麦屋さんの椅子の制作 終わり

2015年06月07日 | 木工
組み立ての続き。





背もたれの部材を並べて木目合わせをします。







横方向の組み立てをします。最後の工程になります。


一脚組むのにクランプが四本必要になるので一度に組めるのは七脚くらい。
組み立てて糊が乾くのを待ちながら次の部材を加工し、という風に作業をしていきます。

そのセットを一日に二回できるかできないかくらいです。






最後の組み立てを終え、クランプを外しながらラックに戻して組み立てが終わりました。






さて、塗装です。


前回、このような仕事をしたのは去年の冬でした。

冬は何しろ寒くて、塗料の乾きが遅いので困ります。
その点、今回は工期が5~6月で気温が高く、まことにやりやすい。
確か去年は一脚一脚外に持ち出して塗り、塗ったらまた部屋に戻すというような塗り方をしました。
それでは物を動かしている時間ばかりかかって、効率が悪いので、
今回は外に並べておいて一気に塗りあげることにしました。
気候が良い時だからできる方法です。





テーブルを塗った時と同じような台を準備します。





そこにずらっと椅子を並べ、端からどんどん塗料をスプレーで吹いていきます。


晴れた日の直射日光の下、風もあり、もうまるで乾燥機の中にいるように塗料はあっという間に乾きます。
そんな乱暴なことをしていいんでしょうか。まねしないでください。




端から塗っていくと、最後の物を塗ったころには最初の物はもう乾いています。

そしたらコロコロと向きを変えてまた端から塗っていきます。





ウレタンのガン吹きで最も問題なのは液だれです。
垂直面に塗料を吹き付けた時、表面張力を超えると塗料が垂れて玉になります。
それを防ぐには一度に過度に塗料を吹かないこと、
または水平面にだけ塗ること。
水平面ならばかなり塗料を置いても垂れることなく塗膜が形成されます。

今回はまめに椅子の向きを変えて水平面を主に塗ることで、
液だれを防ぎながら厚い塗膜を作るように工夫してみました。


お店でしばらく使ったものを目にすると、家庭用の物とは違う制作上の留意点が見えています。
業務用は飲食店ですので、お客様は靴を履いています。
そのため、どうしても椅子やテーブル足は靴で蹴飛ばされますので黒く汚れます。
今回は椅子もテーブルも特に足をよく塗って塗膜を厚くするようにしてみました。





下塗りに一日、磨きに一日、そして上塗りに一日。

予報は晴れでも雨は心配です。
塗りを始めると食事もそこそこに作業を進めました。
晴れているのと雨降りなのでは全く作業効率が違います。
疲れるがしょうがない。


なんとか梅雨入り前に滑り込みで仕上げることができました。





ウレタン塗料も硬度が出るのに何日かかかるらしいので、重ねたりせずに安置しておきます。


納品の日も決まりました。

当初、ぎりぎりの工期かと思いましたが塗装のための天気に恵まれたのと、
五日ほど納期が遅くなったので一週間ほど余裕をもって仕事は終わりました。



やれやれ。