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2020年 “しし座流星群”の極大は11月17日の20時。だけど見ごろは18日の未明から明け方のようです。

2020年10月14日 | 流星群/彗星を見よう
過去に流星が大出現する流星嵐が記録されたことで有名なのが、毎年11月中旬に活動が活発になる“しし座流星群”です。

“しし座流星群”の放射点は“しし座”の中にあり、母彗星はテンペル・タットル彗星。
テンペル・タットル彗星が残したチリの帯“ダストトレイル”の中を、毎年この時期に地球が通過することで現れる流星群です。
“ダストトレイル”に残されていたチリが、地球の大気に飛び込むことで、上空100キロ前後で発光して見えるんですねー

2020年の極大予想は11月17日の午後8時ごろ。

日本では日没後ですが、残念なのは午後8時の放射点は地平線の下…
なので、放射点が昇って来る18日の未明から明け方までが見ごろになります。
月は17日の夕方に沈むので、月明かりの影響もなく好条件で観測できそうです。
黄色の矢印は“しし座流星群”の放射点。(11月18日AM2:00)
黄色の矢印は“しし座流星群”の放射点。(11月18日AM2:00)
テンペル・タットル彗星の公転周期は約33年。
なので、33年ごとに流星嵐のチャンスがあるようで、過去には1799年、1833年、1866年、1966年に激しい流星嵐が観測されてきました。

2001年11月18日深夜~19日未明には、日本でも1時間当たり1000個を超える流星が観測されました。
でも、2003年以降は、流星数がかなり少なくなっています。

“しし座流星群”は、ダスト・トレイル理論と呼ばれる流星群の新しい予報手法が適用され、その理論の確立に一役買ったことでも知られています。
2001年の日本での流星嵐を含め、1999年~2002年に見られた流星嵐や流星数の増加は、ほぼ予報通りに起きています。

流星は、放射点を中心に四方八方へ飛び出すように流れて見えます。
放射点の近くでは流星は短く、離れるほど長くなって見えるんですねー
また、放射点の高度が高いほど流星は見えやすくなります。

ただ、いつ、どこに出現するかは分からないので、なるべく空の広い範囲を見渡すようにしましょう。
街明かりのない空の暗い場所で観察すると、1時間あたり5~10個程度の流星が見られそうです。

興味深いのは、今年は800年近く前に形成された“ダストトレイル”との接近が予報されていること。
鎌倉時代にできた“ダストトレイル”が、流星の出現にどの程度影響するのでしょうか?
日本では21日の未明が要注意とのこと、期待して待ちましょう。



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2020年 ペルセウス座流星群の極大はいつ? 天気は? どの方角を見ればいいの?

2020年07月24日 | 流星群/彗星を見よう
夏の風物詩“ペルセウス座流星群”が今年もやってきます。
“ペルセウス座流星群”は、12月の“ふたご座流星群”、1月の“しぶんぎ座流星群”と共に三大流星群と呼ばれている。
流星自体の活動が最も活発になる“極大”を迎えるのは、8月12日(水)22時頃だと予想されています。

ただ、今年は8月12日が下弦の月にあたるんですねー
なので、流星群を観察しやすい時間帯のほとんどに月明かりがあり、見える流れ星の数は条件の良い年より少なめなはず。
下弦とは、満月ののち次の新月の前までの間の月の形。月の左半分側が、弓の弦(つる)に当たる方を下にして見える。

それでも、月はそれほど明るくないので、まずまずの数の流れ星を見ることができそうです。


おすすめの日時は? 天気は? 夜空のどこを見ればいいの?

普段より目立って多くの流れ星を見ることができるのは、11日の夜~13日の夜までの3夜。
なかでも、12日の深夜から13日未明に、最も多くの流れ星が出現すると期待されています。

極大を迎える8月12日(水)に、流れ星を見れるチャンスがありそうなのは西日本と東北の太平洋側、北海道の道東エリア。
日本海側は高気圧の縁辺流の影響で雲が広がりやすくなり、雨が降るかもしれないのが新潟。
関東では大気の状態が不安定になり、午後に雷雨の可能性があるので、星空が雲に隠れてしまうかもしれません。
8月10日現在のウェザーマップ気象情報の16日先までの天気予報によると、
8月12日夜に晴れそうなのは、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡、鹿児島、那覇。
曇り予報は仙台と長野、東京、新潟、広島。
降水確率は、札幌(5%)、仙台(5%)、東京(30%)、長野(25%)、新潟(35%)、名古屋(25%)、大阪(15%)、広島(25%)、福岡(15%)、鹿児島(10%)、那覇(10%)。

いずれの夜も、流れ星が出現するようになるのは21時頃から。
夜半を過ぎて薄明かりに近づくにつれて流れ星の数が多くなると考えられています。

ただ、13日0時頃以降は放射点が高く好条件ですが、月が昇ってしまい月明かりの影響を受けることに…
見える数はそれほど増えず、12日の22時ごろと同程度になると考えられています。
放射点とは、流星群の流れ星が、そこから放射状に出現するように見える点。流れ星の数は、放射点の高度が高いほど多くなり、逆に低いほど少なくなる。

流れ星は、放射点を中心に放射状に出現しますが、なるべく空の広い範囲を見渡すように観察しましょう。
街明かりのない空の暗い場所で観察すると、見られる流れ星の数は最大で1時間当たり30個程度と予想されています。
“ペルセウス座流星群”の流れ星は明るいものも多いので、市街地でも1時間当たり数個は見えるかもしれない。
黄色の矢印は“ペルセウス座流星群”の放射点。(8月12日PM10:40)
黄色の矢印は“ペルセウス座流星群”の放射点。(8月12日PM10:40)


“ペルセウス座流星群”とは?

約135年周期で太陽系を巡っているスイフト・タットル彗星が“ペルセウス座流星群”の母天体になります。
母天体とは、チリを放出して流星群の原因作っている天体のこと。

現在スイフト・タットル彗星は地球から遠く離れた位置にありますが、彗星から放出されたチリは彗星の軌道に広がって分布しているんですねー

地球は毎年同じ時期に、このスイフト・タットル彗星の軌道を通過。
軌道に残されたチリの帯に突入することで、チリが地球の大気圏に飛び込んで燃え尽きるところを流れ星として見ることになります。

地球からは、天球上のある点の付近を中心として流星群の流れ星が四方八方(放射状)に流れるように見えます。
この点を“放射点”と呼び、流星群には放射点の近くにある星座や恒星の名前が付けられています。

“ペルセウス座流星群”の場合はペルセウス座の辺りに放射点があるので、この名前が付けられたというわけです。

観測のコツは、空の広い範囲を見渡すようにし、なるべく月を視界に入れないこと。
あと、目が屋外の暗さに慣れるまで、最低でも15分ほどは観察を続けてください。
あっ レジャーシートを敷いて地面に寝転ぶなどすると楽に観測できますよ。


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ネオワイズ彗星の地球最接近は7月23日! いつ? どの方向に見えるの?

2020年07月22日 | 流星群/彗星を見よう
ここ10年余りで最も明るい彗星になるかもしれないネオワイズ彗星が、地球に接近してきています。

見るべき場所さえ分かっていれば肉眼で十分見える明るさ(3等前後)のネオワイズ彗星。
貴重な天文ショーを見ようと、夜明け前の早起きを始めた天文ファンもいるようです。

現在のネオワイズ彗星の尾の長さは5度ほどで、これは満月の見かけの大きさの約10倍にもなります。
この調子で尾が伸びていけば、とてもドラマチックなことになりそうです。
ロシア国営宇宙開発企業ロスコスモスの宇宙飛行士イワン・ワグナー氏が、国際宇宙ステーションからツイートしたネオワイズ彗星の写真。(Credit: IVAN VAGNER, ROSCOSMOS)
ロシア国営宇宙開発企業ロスコスモスの宇宙飛行士イワン・ワグナー氏が、国際宇宙ステーションからツイートしたネオワイズ彗星の写真。(Credit: IVAN VAGNER, ROSCOSMOS)


ネオワイズ彗星が見える時間帯と方角は?

7月の中頃までは、夜明け前にしか見ることができなかったネオワイズ彗星。

遅くとも日の出時刻の45分前には外に出て、眺めるのは北東の地平線のすぐ上。
ネオワイズ彗星は“ぎょしゃ座”のカペラという明るい星のすぐ下にあり、東には金星(明けの明星)が見えるはずです。

7月15日からは夕方の空で見るようになり、さらに見つけやすくなります。

日没後の北西の空、“おおぐま座(北斗七星)”の下に見え、日を追うごとに地平線からの高度が高くなっていきます。
レバノン上空のネオワイズ彗星。7月8日に撮影された写真から作成された画像。(Credit: MAROUN HABIB)
レバノン上空のネオワイズ彗星。7月8日に撮影された写真から作成された画像。(Credit: MAROUN HABIB)
ネオワイズ彗星は貴重な天文ショーを見る絶好のチャンス。
観察する時間と眺める方角の他に双眼鏡が役立ちそうです。

過去数日間にソーシャルメディアに投稿された写真を見ると、ネオワイズ彗星はかなり見ごたえがあることが分かります。

1997年の夜空に輝いたヘールボップ彗星以来の明るさになるかもしれません。


太陽をかすめて地球に接近中

3月下旬にNASAの赤外線天文衛星“NEOWISE”が発見したことにちなんで命名されたネオワイズ彗星。
正式名称は“C/2020 F3(NEOWISE)”になります。

ネオワイズ彗星は、日本時間の7月4日に太陽に最も接近する“近日点”を通過。
消滅せずに今もなお姿が見えているので、天文ファンはホッとしたはずです。

太陽に接近した時の高温に、彗星の多くは耐えることができません。
しばしば“汚れた雪玉”と表現される彗星の核は、岩石、チリ、ガス、氷からできていて、極度の高温になると崩壊しやすくなるからです。

彗星は太陽に近づくにつれ高温になり、様々な物質を放出し始めます。
これが美しい尾の正体なんですが、核が完全に崩壊して消えてしまうこともあります。

この試練に耐え抜いたネオワイズ彗星。
太陽への最接近を果たした今も、ガスとチリでできた長い尾をたなびかせているんですねー
あと1か月ほどはよく見えるようです。

近日点を通過した今は、太陽光の反射が少なくなっていきますが、彗星自体は地球に近づいてきています。

地球に最接近するのは7月23日で、地球から1億300万キロのところを通過。
その後は、地球からも離れて徐々に見えなくなり、太陽系外縁部に帰ってしまいます。

最高の条件でネオワイズ彗星を見るには、早起きして明け方の空の低いところにある彗星を見るべきでしょうか?
それとも、7月中旬以降に夕方の空の見やすい位置に来ている彗星を観察するべきでしょうか?
7月前半までだと早起きして、7月後半からは日没後の観察になります。

ただ、天文ファンの多くが気にしているのは、のんびり構えている間にネオワイズ彗星が見えなくなってしまうこと…
いま見逃してしまうと、次回ネオワイズ彗星が巡ってくるのは6800年後です。

地球に最接近する7月23日から4連休が始まるので、日没後の20時頃に、尾の伸びた明るいネオワイズ彗星を楽しんでくだい。
貴重な天文ショーを見る絶好のチャンスですよ。
7月23日20時30分の北西の空、“おおぐま座(北斗七星)”の下にネオワイズ彗星(C/2020 F3)が見える。
7月23日20時30分の北西の空、“おおぐま座(北斗七星)”の下にネオワイズ彗星(C/2020 F3)が見える。


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今夜は“みずがめ座η流星群”の活動がピーク! 5月6日は気晴らしに夜空を眺めてみよう

2020年05月05日 | 流星群/彗星を見よう
ゴールデンウィークも終盤の5月6日(水)。
みずがめ座η流星群の活動が極大をむかえます。

予測されている極大時刻は朝5時ごろ。
日本では放射点の昇ってくる深夜の1時過ぎから明け方までが、流れ星の見やすい時間になります。

ただ、満月前の明るい月が、ほぼ一晩中夜空を照らしているので晴れているところでも条件は良くないんですねー

予想される数は1時間当たり5~10個程度。
流れ星は空全体に飛ぶので、月を視界に入れないようにしながら広く空を見渡すのが良さそうです。
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今夜は、北海道では晴れて星空が見られるところが多い予想になっています。

東北や東海以西の各地では、上空に薄い雲がかかることはあるものの、空一面が厚い雲に覆われることはないようです。
ただ、関東や山陰、沖縄では明朝にかけても雲が多く、夜空に流れ星を見つけるのは難しそうです。
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“みずがめ座η流星群”の放射点(5月6日AM2:20大阪)
毎年ゴールデンウィークの終わりごろに活動するのが“みずがめ座η流星群”です。

母天体は10月の“オリオン座流星群”と同じハレー彗星。
ハレー彗星の通り道“ダストトレイル”を、毎年この時期に地球が通過することで現れる流星群です。

ダストトレイルに残されたチリが、地球の大気に飛び込むことで、上空100キロ前後で発光して見えるんですねー

流れ星の速度が約66km/sと流星群の中でも速く比較的跡が残りやすいのと、活動が活発な期間が極大日の前後数日もあるのが特徴です。

今年のゴールデンウィークは外出を我慢して過ごした人も多いはず。
5月6日は休日なので、気晴らしに夜空を眺めて流れ星を探してみるのはどうですか。


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もう二度と太陽系の内側には戻ってこない? 恒星間天体“アウムアムア”を赤外線で観測したけど…

2018年12月22日 | 流星群/彗星を見よう
赤外線天文衛星“スピッツァー”の観測とモデルの計算から得られた、恒星間天体“オウムアムア”の大きさや反射率に関する新たな研究成果が発表されました。

ただ、太陽系外の恒星系からやってきた“オウムアムア”は、また太陽系の外に帰っていき、もう太陽系の内側に戻って来ることは無いそうです。


明るさの変化から推測した“オウムアムア”の形状と大きさ

2017年10月にハワイのパンスターズ望遠鏡で発見された史上初の恒星間天体“オウムアムア”。
発見直後から世界中の望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡で観測が行われ、その正体や予想外の加速、故郷などが調べられてきました。

可視光線波長での明るさが大きく変化するので、“オウムアムア”はおそらく細長い形をしていて、直径が800キロほどだろうと考えられています。
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オウムアムア(イメージ図)
その後、“オウムアムア”の運動の様子を調べた研究から、“オウムアムア”は彗星のように凍ったガスでできていて、太陽へ接近した際に表面からガスが放出した影響で“オウムアムア”がわずかに加速したらしいという結果が発表されています。

  太陽系外からやってきた“オウムアムア” 予想外の加速をするのはなぜ?
    

ただ、この結論は“オウムアムア”が典型的な彗星よりも小さいという見積もりに依存することになります。


赤外線で観測できなかったことが大きさの上限を決定した?

2017年11月、NASAの赤外線天文衛星“スピッツァー”も“オウムアムア”に向けられます。
赤外線の観測では可視光線波長の観測に比べて、より具体的に天体の大きさを知ることができるからです。

ただ残念ながら、すでに“オウムアムア”は“スピッツァー”で観測するには暗くなっていたんですねー

でも、「“スピッツァー”では見えなかった」っという結果自体が非常に価値のあるもので、“オウムアムア”の大きさの上限を推定することが可能になったそうです。

この結果をもとに、アリゾナ大学の研究チームはモデル計算を行い、“オウムアムア”の大きさが100~400キロだと推測。

ただ、この場合の大きさは、“オウムアムア”が球形をしていると仮定したものでした。
明るさの変化から推定されるような細長い形状の場合には、直径が240~1080キロに相当するそうです。
この大きさは、“オウムアムア”の加速運動やガス放出活動からの見積もりサイズと矛盾しないものでした。


表面の反射率が高いのは太陽に接近したから

また研究チームでは、“オウムアムア”の表面のアルベド(反射率)が彗星の10倍ほども高い可能性があることも示しています。

“オウムアムア”は、恒星から遠く離れて数百万年間も恒星間空間を旅してきました。
なので、これまで星の熱に暖められて新鮮な表面が露出することがありませんでした。

ただ“オウムアムア”は、発見される約5週間前に太陽に接近しています。
この時の太陽の熱により、“オウムアムア”ではガスの放出が起こり、新鮮な表面が露出したのかもしれません。

そして、表面のチリや汚れは取り払われたり、ガスが反射率の高い氷や雪で表面を覆うことに…
結果、“オウムアムア”の表面のアルベドが高くなった可能性があるようです。

発見から1年、“オウムアムア”は現在、土星軌道ほどまで遠ざかってしまいました。
もう二度と、太陽系の内側には戻ってこないそうですよ。


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