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生命が生存できる条件は恒星からの距離だけじゃない! 惑星の傾きや軌道の形も重要

2018年06月09日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
恒星からの距離が程良く、惑星の表面に液体の水が存在できる領域をハビタブルゾーンと言い、この領域に位置する惑星に生命が存在できると考えられています。

今回シミュレーション研究から分かったのは、ハビタブルゾーンに位置する惑星でも自転軸の傾きや軌道の形が極端に変化する場合、突然の全球凍結が起こりうるということ。

惑星がハビタブルゾーンに位置していても、必ずしもそれが生命に適した環境と判断できないんですねー


自転軸の傾きと公転軌道の形

今回の研究でポイントになるのは惑星の赤道傾斜角と離心率。

赤道傾斜角は惑星の自転軸の傾きのことで、地球の場合は約23.4度になり、自転軸が傾いていることで季節変化が生じています。

また、離心率は惑星の公転軌道の形を表す値で、軌道がどのくらいつぶれた楕円であるかを示します。

0が真円で1に近いほどつぶれた円になり地球は約0.02。
軌道が楕円形だと、惑星が主星(恒星)に近づいたり離れたりして両者の距離が変化することになります。

太陽系のハビタブルゾーンに位置する地球の場合は、数千年単位でほんの少しだけ揺れ動きながら、少し傾いた状態で太陽の周りをほぼ円に近い軌道で回っているので、うまく生命が存在できる惑星になっているんですねー


全球凍結の可能性

これまでの研究では、太陽に似た主星のハビタブルゾーンに位置する惑星で、赤道傾斜角が大きかったり変化したりする場合には、惑星・主星間の距離が不変でも惑星の温度が高くなることが示されていました。

そこで今回の研究では、太陽のようなG型星の周りのハビタブルゾーンに存在する惑星にターゲットを絞り、赤道傾斜角と離心率という2つの要素が、生命を育める可能性にどんな影響を及ぼすのかをコンピュータモデルで調査。

さらに、惑星表面での氷床の成長などをより精密に取り入れた惑星モデルを使って、実際には惑星の温度はむしろ低くなるという結果を得ています。

そして明らかになったのが、惑星の離心率や軌道長半径の変化、つまり主星と惑星の間の距離の変動が大きかったり、自転軸の傾きが35度以上になったりすると、ハビタブルゾーンに位置する惑星であっても突然“全球凍結”する可能性があることでした。
全球凍結した地球のイメージ図
全球凍結した地球のイメージ図

自転軸の周期変化によって、ハビタブルーンの惑星の温度が上がるのはほんのわずかな期間しかないようです。


観測すべき系外惑星の判別

今回の研究で、系外惑星での氷河期は地球のものよりはるかに厳しいものになりうることが示されました。

系外惑星に生命が存在するかどうかを考える上で、惑星軌道のダイナミックスが大きな要素になるんですねー

そう、惑星の生命存在可能性を特徴づけるのに、ハビタブルゾーン内かどうかを考えるのでは不十分ということです。

また、今回の研究結果から、地球は気候という観点でいうと比較的穏やかな惑星なのかもしれないということも分かりました。

どの系外惑星に貴重な観測時間を割くのが良いのか? このような判断に今回の研究が役に立つのかもしれません。

たとえば、将来地球に似た惑星を見つけたとして、その惑星の軌道や自転軸が激しく振動することが数値モデルから分かったとしたら、別の惑星を詳しく観測した方が良いですよね。


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