ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

桑原あい @渋谷タワーレコード

2017-02-25 23:33:31 | ジャズ
今日、2月25日、タワーレコード渋谷店にて、ジャズ・ピアニストの桑原あいさんのインストアライブを見て参りました。これまでも自身のトリオ・プロジェクトなど、意欲的な活動を続けてきた彼女。今月リリースされたばかりの最新作「Somehow, Someday, Somewhere」は、スティーヴ・ガッド(dr)、ウィル・リー(b)を招いたニューヨーク録音。いよいよ本格的に世界へ羽ばたく予感がうかがえる一枚ですね。

そんな桑原あいさんのインストアライブ、流石に大勢のお客さんが集まりまりました。大きなグランドピアノの前へ座る桑原さんが奏でる曲はミシェル・ペトルチアーニの「Home」。その小柄な体躯と細い腕から繰り広げられる情緒豊かな音色に、フロア中が聞き惚れている雰囲気。続く彼女のオリジナル作「Somehow It's Been A Rough Day」は、弦をミュートするなどトリッキーな技も見せつつ、アップテンポなノリの良さと、エレガントな流れを併せ持った素敵な演奏。

彼女のピアノが素晴らしいのは言わずもがなですが、意外とMCにも引き込まれました。ミシェル・ペトルチアーニへの思い、スティーヴ・ガッドとの出会い、曲が書けなかった時期の苦しみ、その時に背中を押してくれたクインシー・ジョーンズのことなど、謙虚に、そして熱く語ってくれました。なんか、桑原さんのソウルが伝わってくるようで、感動しました。最後は、そのクインシーとの経緯から生まれたという「The Back」。とても味わい深いスローナンバーに、うっとりでした。

4月には、新宿PIT INにて5日間連続ライヴ「Ai Kuwabara Shinjuku Pit Inn 5days "5 Souls"」が有るそうです。


さて、桑原あいさんのインストアライブは7階で行われたのですが、6階では女性シンガーソングライター、池間由布子さんのインストアライブが時間差で始まりまして、暖かく、ちょっぴり儚げな歌声に、思わず惹かれてしまいました。古き良きフォークの佇まいが素敵でした。「せんべい」という曲、良かったな~。

と言う訳で、今日は桑原あいさん、池間由布子さんの、インストアライブ2本立てでした!

2016年 ブライテストホープ

2017-02-25 14:20:44 | 2016年総括
相変わらずの遅延振りですが、2016年総括企画、今回はニューアーティスト。「ルーツな日記」が選んだ4組です。どうぞ!



KING / WE ARE KING
ミネアポリスのブルースマン、故パーシー・ストローザーを叔父に持つ、パリス&アンバー・ストローザー姉妹と、パリスと同じバークリー出身のアニータ・バイアスによるトリオ。2011年にEP「The Story」をリリースし、プリンスの前座に抜擢されてから5年、ようやくのアルバム・デビューがこの2016年の「WE ARE KING」。このトリオを2016年の新人というのもどうかと思いますが、やはりデビュー・アルバムのインパクトは大きかったですよ! 揺れるグルーヴにドリーミーなハーモニー、どことなくチープな音色が醸すネオな楽園感。私は80年代的なシンセ音はあまり好きではないのですが、これはハマりました。なんか不思議な中毒性があります。
https://www.youtube.com/watch?v=fBtw1MOG8Es




GALLANT / OLOGY
ワシントンD.C.生まれ、LAを拠点とする、ガラント。この人、脅威のファルセットの持ち主です。ファルセットと言うと、ソフトで女性的なイメージもありますが、この人はそれ以上に感情的。ソウルをファルセットに乗せて爆発させる。官能的でありながらエモーショナル。昨今の男性R&Bシンガーにはあまりそそられない私でしたが、この声にはゾクゾクさせられました。
https://www.youtube.com/watch?v=0rERFl-CYHE




L.A. SALAMI / DANCING WITH BAD GRAMMAR
UKから登場の黒人シンガー・ソング・ライター、L.A.サラーミ。フォーキーなSSW気質にトロリと染み入るブルース・フィーリング、ナイジェリアをルーツに持つというプリミティヴな感性とオルタナなロック・テイスト、それらを纏め上げるモダン且つヒップな感覚。これぞネオ・ブルースですよ! UKからは当たり前にジャンル越境する自由な感性を持ったシンガー・ソング・ライターが続々と登場していますが、いよいよ強くブルースを感じさせるアーティストの登場。4月には早くも来日が決まっています。楽しみです!!
https://www.youtube.com/watch?v=lBEZ7jiEhMc




FANTASTIC NEGRITO / THE LAST DAYS OF OAKLAND
英国からL.A.サラーミなら、ブルースの本場アメリカからはファンタスティック・ネグリートです。銃で襲われ、交通事故に遭いと、2度も死にかけた経験を持つという。そういう経験がブルースに作用したのかどうかはよく分かりませんが、デルタ・ブルースをロックに増幅したようなディープなブルース・ロックを聴かせてくれます。ゲイリー・クラーク・ジュニアの次ぎにくるのはファンタスティック・ネグリートか!?https://www.youtube.com/watch?v=KOxw_Y1RCoM

ヨンリコ・スコット @渋谷タワーレコード

2017-02-25 00:12:35 | インストアイベント
今日、2月24日、タワーレコード渋谷店にて、ヨンリコ・スコットのインストア・ライヴを観てまいりました。デレク・トラックス・バンドの屋台骨を結成当初から支え続けたドラマー。バンド名義としては最後の作品となった2010年の「ROADSONGS」まで在籍し、それ以降はシリル・ネヴィルのロイヤル・サザン・ブラザーフッドのリズムを担ってきました。もちろん、自身のバンドであるヨンリコ・スコット・バンドやソロ名義でのアルバムもリリースし、今回は最新ソロ作「LIFE OF A DREAMER」のプロモーション来日のようです。

17時開演とのことでしたが、少し前についたつもりがもう既に始まっていました。カフォンを叩くヨンリコ・スコットを中心に、エレキギター、アルト・サックス、ベース、キーボードという編成。バックは日本のミュージシャンで、ジャズ系の方達でしょうかね。そのせいか、セットリストも、ジャコ・パストリアスで有名な「The Chicken」、ジョン・コルトレーンの「Mr. P.C.」、フレディ・ハバードの「Red Clay」、チック・コリアの「Spain」と、ジャズ・カバーが中心。

始めは、ヨンリコ・スコットがドラムセットではなくカフォンだったのに少々がっかりもしましたが、このカフォンが驚く程に表情豊かで、流石はヨンリコ・スコット!!って感じでした。曲の展開ごとに雰囲気を変えるのはもちろん、メンバーを指差しながら自在にソロを振っていきつつ、そのソロのフレーズやフィーリングに併せてカフォンの表情も変えていく。実際、カフォンを叩くその手さばきも、カフォンの面上で色々細かい動きをしていまして、見ていて飽きませんでしたね。もちろん、メンバーにソロを振るだけではなくヨンリコ自身もソロをとる。スキャットしながらとか、アフリカ的な歌を歌いながらとか、力強くプリミティヴなリズムはパーカッションならではの魅力でした。

楽曲では、私の大好きな「The Chicken」をやってくれたのが嬉しかった! MCでジャコ・パストリアスの名前を挙げた上で、ちゃんとピー・ウィー・エリスについても語ってくれましたしね。あとジョン・コルトレーンの「Mr. P.C.」はデレク・トラックスの1st作でも取りあげられていた曲。もちろんデレクのヴァージョンとは大分違いましたが、そこがまた面白かったです。


バックのメンバーもそれぞれ良いソロを聴かせてくれましたが、少々遠慮がちというか、もう少し白熱した感じになるともっと良かったのですが。まあ、その分、ヨンリコ・スコットが独り気を吐いた感じで、彼のエンターテイナー振りも印象的でした。ちょっとしたブレイクに立ち上がってカフォンの前で一回転したり、終了間際にはカフォンを肩の辺りまで持ち上げて叩いてみせたりで、拍手喝采でした。最後はメンバー全員を中央に集め、肩を組んで観客達へしっかりお辞儀。それもヨンリコの人柄を伺わせる場面でしたね。


終了後はサイン会というか、ファンの人達と談笑して盛り上がっていました。英語のダメな私にはちょっとハードル高かったな…。