桜紅葉

きょうはおかあさんと二人で近くにある府立農林センターまでお散歩しました。
おかあさんは気まぐれで、突然いつもと違うほうに歩き出すので、最初はびっくりしたけど、もう慣れました。
ちょっと遠いのだよ、おうちからは。
住宅地のはずれから裏口に入れるんだ。
その昔、日本武尊が羽根を広げて飛んでいったという丘陵なんだよ。
コスモスが咲いていて、おかあさんはさっそくカメラを取り出すの。しかたがないから、ぼくはおとなしく待っていた。
モウ～、モウ～って牛の声が聞える。ぼくは最初、牛に会ったときはびっくりして、ぼくもウ～って少し唸ってやったことあったけど、きょうはもう知っていたから、それにあんまりでっかいものだから視線をはずして見ないふりをしていました。
桜のトンネルがあるんだけど、今年はヘンな陽気だったからかしら、紅葉になっていなくて、もうほとんど葉っぱは散ってしまっていたの。
カンナの花も咲いていた。
大きなムラサキシキブの実がとってもきれいに紫に染まっていたよ。
温室の中にみかんの仲間みたいなでっかい、もしかしらメロンかなぁ、緑色のがぶらさがっていたけれど、その中にはは入れなかったんだ。
それからね、さすが農林技術センターだと思ったのは、金木犀の大木がずらりと並んでいるの。もう、その下は黄色いじゅうたんをしいたみたいに花がこぼれていたのよ。
夕方近かったから、近所のわんちゃんたちが次から次へとお散歩にきて、いろいろお話をしました。
目のまわりが黒くなって、眉のあたりに黒いほくろみたいな斑点がある柴犬を連れたおばさんとベンチに腰掛けて、お話したんだ。
そのおばさん、「この子は本当はとっても美人なのに、アレルギーで毛が抜けちゃって～」と、さかんに弁解してたっけ。弁解する気持ちわかるなぁ。
おとなしくブラッシをかけてもらってた。ぼくは自分の毛がくちゃくちゃなのが少し恥ずかしかったよ。
4つ目の黒い犬とも仲良しになってさ。
その子の友達の白い子もそばにやってきて。
イチョウ並木もとってもいいんだけど、まだ黄色にはなっていなかったけど、桜と同じように少しヘンかもしれないね。

どこかへ行きたい症候群のおかあさんは、少し納得してたみたいだけど、くたびれてたようです。ぼくも歩いている間は元気だったけど、おうちに帰ってからは、めったに入らない自分のベッドに埋まっていました。