ミセスローゼンの道後日記

有明の月に憑かれしピエロかな



我家の曼珠沙華。迷い猫の黒猫はまだ見つかってないらしい。見つかってポスターが剥がされる日が一日も早く来ますように。

ニックの弾く「ドビュッシーのチェロソナタ」にインスパイアされた今日の一句。

これが「チェロのヴィルトゥオーゾ(超絶技巧者)向けの曲」と言われる所以は、ピチカート、スピカートは無論のこと、ハーモニクスやポルタメンドが完璧に使いこなせなければ、曲の魅力が伝えられないからである。ジュリアードの学生や教授や有名なチェリストが弾くのを何度か聞いたけど、完成形を聞いたのはニックの演奏だけである。今言ったテクニックだけでは無い。顔を白く塗りたくって月を見ながら狂おしくマンドリンを弾くピエロになりきってニックが演じると、舞台の上に闇夜が現れ、月光が見えるのだ。光と闇を弾き分けられる演奏家を他に知らない。まるで能役者の舞を見ているやうなのだ。(大阪で再びこの曲が聞ける、今年はツイてる!)

この曲には、ドビュッシーが『月に憑かれたピエロ』という詩から生まれた音楽劇にインスパイアされて書いたという伝説がある。ニックも彼独自の、"月に憑かれたピエロ"を創造し、演じている。お弟子の方々には何とかこれを学んで頂きたい。この芸をニック一代で終わらせるのは惜しい。シュトラウスの交響詩『ドン・キホーテ』もだ。ニックは誰よりもドン・キホーテらしく演奏する。私の棺桶リストの中の、死ぬまでに生で聴きたい一曲。どこかのオケがこの曲をやるから是非弾きに来てくれ、と言ってくれんかな。



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ナサニエル・ローゼン公式ウェブサイト。
https://nathanielrosen.net/

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