ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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『ホテル・カリフォルニアの殺人』制作裏話・番外編 ~メフィストへの挑戦~

2017-11-04 17:11:48 | 『ホテル・カリフォルニアの殺人』
今回は、『ホテル・カリフォルニアの殺人』制作裏話シリーズの番外編です。

前回は、『ホテル・カリフォルニア』がこのミス大賞で最終候補に残ったものの落選した……というところまで書きました。

その後の話ですが、じつは、トミーシリーズはもう一つ別の賞に応募されています。

その賞とは、メフィスト賞です。

メフィスト賞……ご存知でしょうか?

『メフィスト』という雑誌があり、そこで募集されているものです。

いろいろと特殊な賞で、受賞する作品もまた、個性的なものが多いイメージがあります。

初期の4回の受賞作を並べてみただけでも、それははっきりわかるでしょう。

森博嗣さんの『すべてがFになる』は、画期的な密室トリック。清涼院流水さんの『コズミック』は、破天荒で物議をかもす密室トリック。蘇部健一さんの『6枚のとんかつ』は、いろんなコードのすれすれのところをいく連作ユーモアミステリー。乾くるみさんの『Jの神話』は、驚愕の展開に開いた口がふさがらないサスペンス……
その後も、高田崇史さん、霧舎巧さん、西尾維新さん、舞城王太郎さんなど、とにもかくにも強力な個性をもつ作家を輩出してきた賞です。

この賞に、トミーは挑戦しました。
そのタイトルは、『トミーはロック探偵』。
これまでとは趣向を変え、連作短編集となっていました。
(ちなみに、メフィスト賞では「自分内シリーズはNG」ということがずっと前からいわれていたのですが、これを書いていた時点では私はそのことを知りませんでした)

その結果は……
まあ、そこからデビューはしてないわけですから、あきらかですね。
落選でした。

しかし、座談会までは行くことができました。
座談会というのは、選考でいくつかにしぼられた作品をメフィスト編集部の方々が論評するというもので、ほかの賞でいう最終選考にあたります(初期のレイアウトから、“上段”とも呼ばれます)。
一般的な賞の最終選考に比べれば倍率はややゆるいですが、ともかくトミーはそこに残りました。横溝賞、『このミス』大賞に続いて、ファイナルに進出できたのです。

その座談会が掲載されているメフィストです。
太文字で書かれているところだけみると結構評価されてる感じですが、実際はそうでもありません。







2年ほどの間で3つの賞でファイナルステージに残ったというのは、それまで箸にも棒にもかからないという状態だった私にとっては、大きな躍進でした。自信にもなりました。

しかしながら、落選は落選です。

いったい、何がいけないのか……私も、そこを真剣に考え始めました。

そして、一つの結論として、トミーはふたたび封印されることになりました。

いったんトミーは封印し、自分のフィールドを広げてみよう。
そうすれば、新しい何かを発見できるかもしれないし、いずれまたトミー作品を書くときにもそれを活かせるはずだ……そういう方針です。

その封印期間中に、“超隠し玉”の話が出てくることになるのですが……それについては、また別の機会に書きたいと思います。