今回は、映画評論記事です。
以前、映画系の記事として『エネミー・オブ・アメリカ』のことを書きました。
その社会派路線をもう少し継続して、今回は、『マーシャル・ロー』という映画を紹介したいと思います。
主演はデンゼル・ワシントン。
『エネミー・オブ・アメリカ』とほぼ同じ1998年に発表された映画で、同じように同時多発テロの前に発表された作品でありながら、その後のアメリカを予言するような作品となっています。
描かれるのは、ニューヨークで起きる連続テロ。
デンゼル・ワシントンが演じるFBI捜査官アンソニー・ハバードは、テロ対策本部長として捜査の陣頭指揮をとり、自身も負傷し、また仲間を失いながら、見えない敵を追います。
いっぽう、テロはニューヨーク市民のなかにアラブ系住民に対する猜疑心を引き起こし、市民の間に分断が生じていきます。その結果、アラブ系の住民に対する暴行事件などが起こる事態に。
そしてついには軍が戒厳令を敷く事態となり、アラブ系の住民を片っ端から拘束して、拷問まで使った取り調べが行われるようになります。
こうした筋書きが、同時多発テロ後のアメリカを予言しているように感じられるのです。
作中で、拘束したアラブ系住民を裸にして拷問するシーンがあるのですが、これはアブグレイブなどで実際に起きた捕虜虐待事件をほうふつとさせます。
また、アラブ系住民を狙い撃ちにしたことは、FBIのアラブ系捜査官が離反しかける事態も招きます。こういうことも、実際に21世紀のアメリカで人知れず起きていたんじゃないでしょうか。
ちなみに、この映画にはブルース・ウィリスも出演しています。
軍の将軍デヴローという役で、連続テロの脅威が頂点に達した時、戒厳令が出され、彼が軍隊を指揮します。
この戒厳令=マーシャル・ローが、映画の邦題となっています。(原題はThe Siege)
デヴローは、ブルックリンのアラブ系住民をスタジアムに収容し、さらには重要容疑者に拷問を行なおうとします。
これに、ハバードは激しく反発し、こう詰め寄ります。
この国を混乱させるのが奴らの狙いだったら?
通りには兵隊があふれ、人々は怒りと恐怖で彼ら眺める。
法は無視され、憲法の精神はゆがめられる。
もし今この男を拷問したら、我々が命をかけ、闘いのすえに手に入れてきたものが死んでしまう。
勝つのはやつらだ。
いや、もう勝ってる。
これはもう、まさしく同時多発テロ後のアメリカにむけられた言葉としか思えません。
この映画はそれ以前に作られたものですが、はからずもそうなっているわけです。
結末がどうなるかというのはネタバレになるので書かずにおきますが……クライマックスの場面でも、ハバードはしっかりその正義感を発揮してくれます。
テロ後のアメリカについてこのブログでいくつか記事を書いてきましたが、『マーシャル・ロー』は、そこで書いた問題意識が集約されたような映画です。
これはまさに、今だからこそ見てほしい映画なのです。
以前、映画系の記事として『エネミー・オブ・アメリカ』のことを書きました。
その社会派路線をもう少し継続して、今回は、『マーシャル・ロー』という映画を紹介したいと思います。
主演はデンゼル・ワシントン。
『エネミー・オブ・アメリカ』とほぼ同じ1998年に発表された映画で、同じように同時多発テロの前に発表された作品でありながら、その後のアメリカを予言するような作品となっています。
描かれるのは、ニューヨークで起きる連続テロ。
デンゼル・ワシントンが演じるFBI捜査官アンソニー・ハバードは、テロ対策本部長として捜査の陣頭指揮をとり、自身も負傷し、また仲間を失いながら、見えない敵を追います。
いっぽう、テロはニューヨーク市民のなかにアラブ系住民に対する猜疑心を引き起こし、市民の間に分断が生じていきます。その結果、アラブ系の住民に対する暴行事件などが起こる事態に。
そしてついには軍が戒厳令を敷く事態となり、アラブ系の住民を片っ端から拘束して、拷問まで使った取り調べが行われるようになります。
こうした筋書きが、同時多発テロ後のアメリカを予言しているように感じられるのです。
作中で、拘束したアラブ系住民を裸にして拷問するシーンがあるのですが、これはアブグレイブなどで実際に起きた捕虜虐待事件をほうふつとさせます。
また、アラブ系住民を狙い撃ちにしたことは、FBIのアラブ系捜査官が離反しかける事態も招きます。こういうことも、実際に21世紀のアメリカで人知れず起きていたんじゃないでしょうか。
ちなみに、この映画にはブルース・ウィリスも出演しています。
軍の将軍デヴローという役で、連続テロの脅威が頂点に達した時、戒厳令が出され、彼が軍隊を指揮します。
この戒厳令=マーシャル・ローが、映画の邦題となっています。(原題はThe Siege)
デヴローは、ブルックリンのアラブ系住民をスタジアムに収容し、さらには重要容疑者に拷問を行なおうとします。
これに、ハバードは激しく反発し、こう詰め寄ります。
この国を混乱させるのが奴らの狙いだったら?
通りには兵隊があふれ、人々は怒りと恐怖で彼ら眺める。
法は無視され、憲法の精神はゆがめられる。
もし今この男を拷問したら、我々が命をかけ、闘いのすえに手に入れてきたものが死んでしまう。
勝つのはやつらだ。
いや、もう勝ってる。
これはもう、まさしく同時多発テロ後のアメリカにむけられた言葉としか思えません。
この映画はそれ以前に作られたものですが、はからずもそうなっているわけです。
結末がどうなるかというのはネタバレになるので書かずにおきますが……クライマックスの場面でも、ハバードはしっかりその正義感を発揮してくれます。
テロ後のアメリカについてこのブログでいくつか記事を書いてきましたが、『マーシャル・ロー』は、そこで書いた問題意識が集約されたような映画です。
これはまさに、今だからこそ見てほしい映画なのです。