新型肺炎の感染が広がっています。
ここ数日で九州にも感染者が出て……というよりも、診断されていないだけで実際にはもうかなり広がっていると考えるべきなんでしょう。
全国各地で感染が発生していることからも、水際対策が失敗したことはあきらかです。
現時点では、一定程度の感染者が出ることは覚悟したうえで、感染の拡大を防ぐ努力をするよりほかないでしょう。
それにしても、政府の対応は後手にまわってるといわざるをえません。
ダイヤモンド・プリンセス号での感染拡大。およそきちんとしたゾーニングが行われているとは考え難い船内の画像が公開され、すぐに削除。厚生労働省の職員は、「検査して陽性だと業務に支障が出るから」という理由で検査せず。そして、乗客の下船に際しては検査ミスがあり、さらに検査で陰性とされて下船した乗客のなかから次々と感染者が出る。厚労省が「感染のリスクは低い」としていたにもかかわらず……これでは、国内の感染拡大を防げないのもむべなるかなというところでしょう。
この件に関して、非常時に政府を批判するべきではないという意見があるようですが……
私はむしろ、マスメディアによる政府への批判が十分になされないここ数年の状況こそが現状を招いたと思います。
以前どこかで一度書いたような気もしますが、経済学者のアマルティア・センは、抑圧的な国家は自然災害に弱いといったようなことをいっています。いまの日本は、まさにその状況なのではないか。
現場で懸命に働いている人たちを愚弄するのか、といった言い方をする人もいるようですが、それはお門違いでしょう。
精神主義でウィルスを防ぐことはできません。
まして、戦前の日本のように、その精神主義が上層部の失敗を糊塗するためのものであったら……国民は、その精神主義によって犠牲を強いられるばかりです。
もちろん、コロナウィルスの蔓延を食い止めることが最優先ですが……なぜこのような事態を招いたのかということは、きっちり究明されるべきでしょう。