ロック探偵のMY GENERATION

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アメリカの歌が聴こえる……? 米大統領選、混迷

2020-11-06 21:28:55 | 時事

アメリカ大統領選が、混迷の度を深めています。
投票日から二日ほど過ぎましたが、現時点でもまだ結果は確定していません。バイデン候補有利の情勢ではあるものの、トランプ大統領の側は法廷闘争のかまえも見せており、泥沼の様相を呈しはじめてもいます。


  私にはアメリカの歌が聴こえる

アメリカ近代詩を代表する詩人ホイットマンの有名な詩の一節です。
果たして今アメリカの歌が聴こえるとしたら、それはどんな歌でしょうか――
私は、サイモン&ガーファンクルの「アメリカ」という歌が思い浮かびました。

Simon & Garfunkel - America (from The Concert in Central Park)

  “恋人になろう
  財産を一つにあわせよう”
  “このかばんのなかに ちょっとした不動産を持ってるんだ”
  そこで僕らは煙草をひと箱とミセス・ワグナーのパイを買って
  歩き出した アメリカを探しに

  “キャシー”
  ピッツバーグでグレイハウンドに乗り込むとき 僕はいった
  “いまじゃミシガンは夢のようだ”
  サギノーからヒッチハイクで4日
  僕はアメリカを探しに来たんだ
  

  バスの乗客たちの顔でゲームをして大笑い
  “ガバディーン・スーツの男はスパイよ”
  彼女はいった
  “気をつけろ”
  僕はいった
  “あいつの蝶ネクタイは本当は隠しカメラだぞ”
  
  “煙草を一本とってくれないか
  レインコートに入ってると思う”
  “一時間前に最後の一本を吸ってしまったわ”
  そこで僕は外の景色に目をやり
  彼女は雑誌に目を落とした
  平原に月がのぼった
  
  “キャシー、僕は迷ってしまったよ”
  僕はいった
  彼女が眠っているのはわかっていたけれど
  僕はからっぽで、苦しくて
  そのわけもわからないんだ

  ニュージャージー・ターンパイクに並ぶ
  車を数えて
  みんな アメリカを探しにきたんだ
 

歌の中に出てくるちょっとした言葉が、なにか今回の大統領選とリンクして聴こえるような気がしてきます。
今年は、コロナ禍があり、BLM運動の盛り上がりがあり、そしてこの混迷をきわめた大統領選。アメリカという国にとって大きな転換点であるのは間違いないでしょう。
みんながアメリカを探している――そんな時です。
果たしてそこで見つかるのは、どんなアメリカなのか。この混乱は、大きな変化への胎動なのか……期待と不安を抱えつつ、ひとまずは大統領選の決着を見届けようと思います。