「ウルトラ五つの誓い」を観ました。
『帰ってきたウルトラマン』の最終回です。
また訃報の話になってしまいますが、『帰ってきたウルトラマン』(新マン)で主人公の郷秀樹役をつとめた団次郎さんが、先日亡くなりました。その追悼ということで、ウルトラマンの公式チャンネルが新マンの最終回を期間限定で公開しています。
五つの誓いというのはなんとなく知ってましたが、実際にこの最終回を観たことはなかったので、今回視聴してみました。
以前映画『シンウルトラマン』について書いたとき、“人間の物語としてのウルトラマン”ということを書きました。
もう少し詳しく書くと、それは「人間は何もしなくていいのか」ということです。
人間はただウルトラマンに頼るだけで、何もしなくてよいのか……これは、ウルトラシリーズの裏のテーマであり、歴代シリーズの結末は、そのテーマをさまざまに変奏してきました。
『帰ってきたウルトラマン』も、そうです。
あらためて観てみると、じつに印象深い描き方でした。
タロウの最終回にちょっと近い感じがあるでしょうか。“人間の物語”を、少年の成長と自立に仮託するという描き方でしょう。ウルトラ五つの誓いというのは、「天気の良い日に布団を干すこと」などたわいもない内容がほとんどですが、そのなかの「他人の力を頼りにしないこと」というのが、まさに先述したテーマに関わってくるわけです。
ウルトラマンは、いつかはいなくなる。自分の力で道を切り開いていかなければならない。悪しきものと戦わなければならない……そういうメッセージを、歴代ウルトラマンは伝えてきました。いよいよウルトラマンが去っていくというときに、泣きながら五つの誓いを唱和する次郎少年。力強いラストシーンでした。
このエンディングは多くの視聴者に感銘を与えたようで、いろんなところでパロディにされていたりします。また、(これはパロディと呼ぶべきではないでしょうが)公式からも「ウルトラ五つの誓い」と銘打った動画が何度か公開されています。
それは、東日本大震災であったり、コロナ禍であったり、そういう困難な状況が起きたときに発されるメッセージでした。
ついでなので、コロナ禍に際しての動画を貼っておきましょう。
ウルトラマンからのメッセージ「ウルトラ5つの誓い2020」【ウルトラマン基金】
このように、「ウルトラ五つの誓い」は、人類を鼓舞し続けてきたのです。
郷隊員がウルトラの星へ帰っていったとしても、その教えは永遠に生き続けることでしょう。