ロック探偵のMY GENERATION

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Bob Marley & The Wailers, High Tide Or Low Tide

2023-04-20 21:30:29 | 音楽批評

今回は、音楽記事です。

先日、「クイーンの日」で、クイーンが今年でデビュー50周年だという話をしました。

50周年ということでいうと、エアロスミスやKISSなんかもそうですが……もう一人、50周年を迎えるアーティストがいます。
ボブ・マーリィです。
インディーズ的な活動を含めるとキャリアはもっと長いですが、アルバムCatch a Fire でメジャーデビューしたのは、1973年。メジャーデビュー50周年ということになるのです。
というわけで、今回はボブ・マーリィ特集といきましょう。


はじめに、High Tide or Low Tide という曲を。
Catch a Fire のオリジナル盤には入っていませんが、後のバージョンにボーナストラックなどのかたちで収録されている曲。
セーブ・ザ・チルドレンの東アフリカアピールということで、この曲の動画が制作されています。

High Tide Or Low Tide (Save The Children's East Africa Appeal) - Bob Marley & The Wailers

ボブ・マーリィといえば、愛と平和を歌うだけでなく、行動にも移した人でした。
そうした活動が煙たがられたのか銃撃を受けたこともありましたが、「悪い奴らは休みなんかしないのに、俺が休んでなんかいられない」といってステージに立ったという逸話は語り草です。

そんなボブ・マーリィの歌は先ほどのセーブ・ザ・チルドレンのように、社会的な活動にもしばしば使われます。
そうした動画を、以下にいくつか紹介しましょう。


Playing For Change というプロジェクト。
このプロジェクトの動画はこれまでに何度か紹介してきましたが、ボブ・マーリィの曲もいくつかあったと思います。世界を変えようという趣旨なので、やはりボブ・マーリィとは相性がいいのです。
今回は、バニー・ウェイラーが参加している Soul Rebel の動画を。

Soul Rebel featuring Bunny Wailer and Manu Chao | Song Around The World | Playing For Change


PFCには、ボブ・マーリィの代表曲One Love/People Get Readyもあります。
英語のタイトルや説明書きが直訳されておかしなことになってますが……
先の動画にも出てきたマヌ・チャオがここでも参加。2000年代半ば、この方が一番ノっていたときでしょうか。

一つの愛|変更のために歌います|世界一周の歌  

もとになったカーティス・メイフィールドの People Get Ready はこのブログでいくつかのバージョンを紹介してきましたが、歌としてはこっちのほうが有名でしょう。
この歌のタイトルを冠した「ワン・ラブ・ピースコンサート」というのもありました。そこで、対立する二政党の党首に握手させたというエピソードも、ボブ・マーリィ伝説の一つとなっています。


PFCからもう一曲。Get Up, Stand Up です。
こちらは、キース・リチャーズが参加。ストーンズではキース推しの私としてはうれしいところ。

Get Up Stand Up | Playing For Change | Song Around The World


ここから、Get Up, Stand Up をもう二つ、別のカバーで。

一つ目は、「ライブ8」でのパフォーマンス。
あの伝説のライブエイドから20年を経て開催されたイベントです。ここで、ブラック・アイド・ピーズが、スティーヴン・マーリィ、リタ・マーリィとともに Get Up, Stand Up をやっています。

Black Eyed Peas / Rita Marley / Stephen Marley - Get Up, Stand Up (Live 8 2005)


Get Up, Stand Up は、「権利のために立ち上がれ」とストレートに呼びかける歌。「飢餓や貧困に苦しんでいる人に救いの手を差し伸べる」というニュアンスではありませんが、これも重要なメッセージなのです。チャリティだといって“施し”をするだけではだめだということでしょう。
そのメッセージを歌い上げるのにふさわしいメンツがそろった動画がありました。

Tracy Chapman, Bruce Springsteen, Peter Gabriel, Youssou N'Dour - Get Up, Stand Up (Live)

おなじみのボス、ブルース・スプリングスティーンとともに、ピーター・ガブリエル、トレイシー・チャップマン、ユッスー・ンドゥールと、豪華な顔ぶれです。
ブルース・スプリングスティーンというのはやや意外なようにも思えますが、ボブ・マーリィはスプリングスティーンの前座をつとめたこともあるのだとか。

ユッスー・ンドゥールは、セネガル出身のアーティスト。アフリカでは「ん」ではじまる人名地名は珍しくないのです。この方は、先日のクイーン50周年の記事でも南アのチャリティイベント動画に出ていました。そこに一緒にいたクイーンやボノはライブエイドに出ていたわけで、そうやってすべてがつながってくるのです。


最後に……これはチャリティの類ではありませんが、ボブ・マーリィといえばはずせないのが「リデンプション・ソング」。
先日、クリス・コーネルの追悼コンサートで歌われている動画を紹介しましたが、クラッシュ脱退後にジョー・ストラマーがカバーしたバージョンなんかもあります。

Joe Strummer & The Mescaleros - Redemption Song

パンクというジャンルは、その発展過程においてレゲエと密接にかかわってきました。
レベルミュージックという共通項をもち、クラッシュはまさにその結節点に位置するバンドでした。
パンクにかぎらず、ロックンロールはやはりこのスピリッツを根底にもっていてほしい。それがまさに、Catch a Fire ということなんじゃないか……今回、ボブ・マーリィ関連動画をいろいろ集めていて、そんなふうに思えました。