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忌野清志郎+坂本龍一「い・け・な・い ルージュマジック」

2020-04-03 19:54:11 | 音楽批評


先日、忌野清志郎の「地震のあとには戦争がやってくる」という名言を振り返る記事をアップしました。

そこで言及した朝日新聞の記事なんですが、その記事は、直接には坂本龍一さんへのインタビューです。そこで、「危機は権力に利用されやすい」という文脈でキヨシローの言葉が引用されています。

今年に入って、このブログでは忌野清志郎関連の曲をいくつか紹介してきましたが……
その流れで、今回は満を持して、忌野清志郎+坂本龍一「い・け・な・い ルージュマジック」について書こうと思います。

 

坂本龍一さんにとって忌野清志郎は、盟友ともいうべき存在でしたが、「い・け・な・いルージュマジック」は、その象徴と呼べるものでしょう。この二人が直接のつながりをもつきっかけとなった曲でもあります。
発表は1982年。
ギターでチャボさんも参加し、最強布陣で作られたこの歌は、見事にオリコン1位を獲得しました。

曲ばかりでなく、あの強烈なMVが印象的です。
資生堂のCMソングだったんですが、それで化粧しているのはまだわかるとしても、大量の万札をばらまくというのは、どこか挑発的でもあります。ウィキによれば、この撮影では本物の万札が使用され、撮影後に回収したものの数万円足りなかったとか。はじめに資生堂から提示された「すてきなルージュマジック」というタイトルを勝手に「いけないルージュマジック」に変えるなどというのも含めて、いかにも清志郎らしいセンスといえるでしょう。時代の流れに乗るのではなく、時代を挑発し、触発する――まさにロックンローラーです。

実はこれが清志郎にとって実質的にソロ第一作ということで……そういう意味では、坂本龍一さんとの共同作業によって、清志郎は新たなステージに足を踏み出したといえるかもしれません。
それは、ソロ活動をスターさせたことだけでなく、従来のロックの枠を超えて、ポップス性を打ち出したというこ意味においてもです。そして、その方面でも清志郎は天才性をいかんなく発揮します。


社会問題に対する問題意識も相当程度に共有していたようで、それは、双方の活動をみているとよくわかります。

先日あらためて紹介した「地震のあとには戦争がやってくる」という言葉について、清志郎一流の名言として坂本龍一さんはこれまでも何度か言及してきました。
たしかに、清志郎の時代を眺める鋭い批評眼があってはじめて出てくる言葉でしょう。
その意味を、深くかみしめるべきときなのかもしれません。

冒頭に紹介した朝日の記事で、坂本龍一さんは、ミュージシャンの公演などに対して経済支援せずに自粛要請することを「ひきょう」と批判してもいます。
ライブハウスがやり玉にあがったのに続いて、バーやクラブのこともいろいろいわれてるようですが……このあたりも何か、戦前・戦中の「ぜいたくは敵だ」精神のようにみえて、あまり気分がいいものじゃありませんね。




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