ロック探偵のMY GENERATION

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新青年」創刊100年 編集長・乾信一郎と横溝正史

2020-09-20 17:15:04 | 日記



くまもと文学・歴史館で行なわれている“「新青年」創刊100年 編集長・乾信一郎と横溝正史”という展示会にいってきました。

ともに雑誌『新青年』の編集長をつとめた二人。
乾信一郎が熊本にルーツを持つということで、こういう企画をやっているようです。

『新青年』は、戦前の日本ミステリーにおいて大きな影響を持った雑誌。その二代目編集長だったのが、このブログでたびたび名前が出てくる横溝正史です。
アメリカ生まれで英語が達者な乾信一郎は、その横溝のもとへ自らが訳した海外ミステリ短編の原稿を送り、それが認められたことで『新青年』編集部へ。
乾はその後、みずからも編集長となります。
国産ミステリがまだそれほど豊富でなかった時代には、翻訳物の需要が多く、結果として翻訳者の存在感も大きかったようです。乾は『新青年』の五代目編集長となるわけですが、その先々代である三代目は、ドイルの翻訳で有名な延原謙でした。

乾信一郎は、みずからも小説を書いているようですが、翻訳者のほうがおそらく本業でしょう。
オルツィや、クリスティなどの作品を翻訳しているということですが、あの『時計じかけのオレンジ』の邦訳も手がけているということで、それを考えるとすごいことです。

ちなみに、この企画展の会場となっている「くまもと文学・歴史館」というところですが……ネット上の地図にも載っていないのでどういうところかと思ったら、県立図書館に併設されている施設でした。道理で無料なわけです。

まあ、そういうことなのでそれほどボリュームのある展示ではありません。
しかし、展示のなかには、横溝正史や江戸川乱歩、小栗虫太郎といった人たちの書簡があって、これはなかなか貴重なものでしょう。
とりわけ、横溝とは親交が深かったようで、横溝の書簡はかなりの量がありました。
そのなかの一つには、「本陣殺人事件」について江戸川乱歩から辛辣な批判を受けたことについて、そういうこといってたら新人が推理小説を書きづらくなるだろう――みたいな愚痴を書いていたりして、なかなか興味深いものでした。
来年は横溝没後40年ということで、この「くまもと文学。歴史観」が所蔵する横溝書簡を一挙公開する予定もあるそうなので、そちらも楽しみです。

最後に、3DCG。
横溝正史ということで、犬神家のアノ人をもう一度。前に載せたものよりも、少しだけ下の方まで作っています。






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